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Drug Atlas · B29 Immunosuppressants / 免疫抑制薬 · 必修

リトレシチニブ

ritlecitinib

分類
Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(日本)
リットフーロ
商品名(EU)
Litfulo
科目
PharmacologyDermatology
トピック
B29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)3-26: Alopecia - Clinical Forms and Treatment
承認適応
円形脱毛症
副作用
頭痛発疹

🧠 全体像は重症に使う経口JAK阻害薬という点でと同じ土俵にいるが、軸が2つ違う。1つは標的キナーゼで、がJAK1/JAK2を阻害するのに対し、JAK3とTECファミリーキナーゼを不可逆的に共有結合で阻害し、JAK1/JAK2/TYK2にはほとんど作用しない選択性を持つ。もう1つは承認年齢で、が成人限定であるのに対し、12歳以上の青年期にも承認された唯一の治療薬である。同じ「重症へのJAK阻害薬」という文脈でも、この2つの軸で使い分けが生まれる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的キナーゼ 承認年齢 特徴
JAK3+TECファミリー(Cys-909への不可逆的共有結合) 12歳以上 唯一の小児・青年期適応。JAK1/JAK2/TYK2への親和性が低く選択性が高い
JAK1/JAK2 成人 重症で先に承認された薬。脂質・血算のモニタリングが重要
JAK1/JAK3 が中心) 実地では使用例があるが正式な適応は取得していない

「12歳以上に承認された唯一のJAK阻害薬」という一点が、を他の治療薬から際立たせる最大の特徴。 重症は思春期に発症することも多く、青年期の患者に正式な適応を持つ経口治療薬という位置づけは臨床的な意味が大きい1

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ritlecitinib'>リトレシチニブ</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>(50mg 1日1回)"] --> B["JAK3のCys-909に不可逆的に共有結合"]
    B --> C["JAK3依存性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma chain'>γ鎖</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytokine receptor'>サイトカイン受容体</span>シグナルを遮断<br>(IL-2・IL-4・IL-7・IL-9・IL-15・IL-21など)"]
    A --> D["TECファミリーキナーゼ(ITKなど)も阻害"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotoxic T cell'>細胞傷害性T細胞</span>の活性化シグナルを抑制"]
    C --> F["自己反応性CD8+T細胞による毛包への攻撃が減弱"]
    E --> F
    F --> G["毛包の免疫特権が回復し再増毛につながる"]

💡 「不可逆的」という一語が選択性の理由になっている。 はJAK3のに共有結合するため、他のJAK阻害薬のようにを可逆的に競合するのではなく、JAK3という特定の標的に長時間結合し続ける。この結合様式の違いが、JAK1・JAK2・TYK2への親和性を低く保ちながらJAK3・TECファミリーを強力に阻害するという選択性プロファイルを生んでいる2

適応

領域 使いどころ
重症(頭部の概ね50%以上の脱毛が持続する状態が目安)。12歳以上の成人・青年期患者1

同じ「」でも、自己免疫性のとアンドロゲン依存性の男性型・女性型では治療の系統がまったく異なる。後者の中心である外用や・アンドロゲン代謝に働きかける薬であり、毛包へのそのものを止めるとは適応もも別である。

用法・用量

50mg を1日1回、する。他のJAK阻害薬でみられるようなは不要で、承認用量は一貫して50mgである2。開始前に結核を含む感染症のスクリーニング、悪性腫瘍・心血管リスクの評価を行う。実際の投与継続期間・中止基準は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ (他のJAK阻害薬と共通のクラス表示):重篤感染症(結核を含む)・死亡・悪性腫瘍・主要心血管有害事象(MACE)・血栓症1
  • 開始前に症・結核の評価、生ワクチン接種歴の確認を行う
  • 妊娠中は避ける
  • 長期投与例では発疹などの状に加え帯状疱疹の報告がある3

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛(21% vs 19%)、(20% vs 17%)、(13% vs 10%)2
頻度1%以上(添付文書) 下痢、発疹、蕁麻疹、、発熱、、帯状疱疹1
長期投与(ALLEGRO-LT、447例) 治療下発現有害事象86.1%(大部分は軽度〜中等度)、重篤な有害事象4.9%、帯状疱疹1.3%3
重篤・まれ 重篤感染症、悪性腫瘍、MACE、血栓症(JAK阻害薬クラス共通の

まとめ

  • 重症に使う経口JAK阻害薬で、と同じ文脈に登場するが、標的キナーゼ(JAK3+TECファミリー vs JAK1/JAK2)と承認年齢(12歳以上 vs 成人)の2軸で使い分ける
  • JAK3のCys-909への不可逆的な共有結合によりJAK1/JAK2/TYK2への影響を抑えた選択性を持ち、TECファミリーキナーゼの阻害を通じてによる毛包攻撃を減弱させる。
  • 承認用量は50mg 1日1回で、他のJAK阻害薬にみられるは不要。
  • 重篤感染症・悪性腫瘍・MACE・血栓症のは他のJAK阻害薬と共通のクラス表示であり、開始前の感染症・が必須。
  • 長期投与でのでも新たな安全性シグナルは報告されていないが、帯状疱疹の発生には留意する。

出典

  1. 1.LITFULO (ritlecitinib) Prescribing Information — severe alopecia areata approval(U.S. Food and Drug Administration・2023)リトレシチニブが12歳以上の重症円形脱毛症患者に承認され、枠組み警告として重篤感染症(結核含む)・死亡・悪性腫瘍・主要心血管有害事象(MACE)・血栓症が記載され、主な副作用(頻度1%以上)に頭痛・下痢・にきび・発疹・蕁麻疹・毛包炎・発熱・アトピー性皮膚炎・帯状疱疹などが挙げられていることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Ritlecitinib: First Approval(Drugs(Adis)・2023)リトレシチニブがJAK3のCys-909に不可逆的に共有結合して高い選択性を示し、TECファミリーキナーゼも阻害する一方でJAK1・JAK2・TYK2への親和性は極めて低いこと、承認用量が50mg 1日1回であること、プラセボ対照試験での主な有害事象(頭痛21% vs プラセボ19%、上気道感染20% vs 17%、にきび13% vs 10%)を確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Long-term safety and efficacy of ritlecitinib in adults and adolescents with alopecia areata and at least 25% scalp hair loss: Results from the ALLEGRO-LT phase 3, open-label study(Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology・2025)長期投与を評価したALLEGRO-LT試験のde novoコホート(投与例447例)で、385例(86.1%)に1件以上の治療下発現有害事象がみられ大部分は軽度〜中等度、重篤な有害事象は22例(4.9%)、帯状疱疹は6例(1.3%)にみられ、24か月時点でSALTスコア≤20の達成率は336例中247例(73.5%、観察データ)だったことを確認した閲覧 2026-08-10