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Drug Atlas · B14 Other / その他

ダポキセチン

dapoxetine

分類
Other / その他
商品名(EU)
Priligy
科目
Pharmacology
トピック
B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
禁忌疾患
気分障害(うつ病・双極性障害)
副作用
めまい頭痛悪心低血圧
相互作用
モクロベミド

🧠 全体像性ホルモン系の薬剤ではない——B14に分類されているが、実体は「を遅らせるために設計された短時間作用型SSRI」である。同じSSRIでもうつ病治療では血中濃度を一定に保つために連日投与するのに対し、性行為の数時間前だけ服用するオンデマンド投与が前提で設計されている。この「なぜ連日投与しないのか」を理解する鍵が、他のSSRIと際立って異なる(急速な吸収・消失)にある。

薬効群の中での位置づけ

B14の③性機能に作用する薬は、EDに使うと、に使うの2系統に分かれる——標的とする性機能の段階が異なる点が整理の軸になる。

薬剤 標的 機序 適応
(短時間)・(長時間) 勃起( PDE5阻害→cGMP↑ (ED)
(中枢 短時間作用型SSRI (PE)

に対しては、など通常のSSRIを連日投与でする処方も実地では行われるが、これは「効果発現に数週間かかる」薬を無理に流用している状態である。 は最初から専用に設計され、オンデマンド投与で効果を出せる点が的な差別化点になる。

機序

flowchart TD
    A["性的刺激で脊髄・脳幹の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculation'>射精</span>中枢が興奮"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serotonergic'>セロトニン作動性</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='descending inhibition'>下行性抑制</span>が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculatory reflex'>射精反射</span>のタイミングを調節"]
    C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dapoxetine'>ダポキセチン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presynaptic'>シナプス前</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='serotonin transporter (SERT)'>セロトニントランスポーター</span>(SERT)を阻害"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>のセロトニン濃度が急速に上昇"]
    D --> E["5-HT2C受容体を介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculation'>射精</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='inhibitory signal'>抑制シグナル</span>が増強"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejaculation'>射精</span>までの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IELT'>潜時</span>が延長"]

💡 急性投与だけで効くのは、他のSSRIとは違う理由による。 うつ病治療でSSRIが効くまでに数週間かかるのは、によるが必要なためだが、の遅延はセロトニン濃度のそのものが引き起こす急性効果であり、を待つ必要がない。だからこそ「性行為前だけ服用する」という使い方が成立する。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 速やか。服用後約1時間でに達する
消失 で極めて速い。初期半減期は約1.3時間、24時間後には血中濃度がピークの約5%まで低下する
約19〜22時間だが、この間の血中濃度は低くには初期の急速な低下が支配的
代謝 主にCYP3A4、一部CYP2D6で

「速い吸収・速い消失」がそのもの。 通常のSSRI(等)は半減期が長く連日投与で定常状態を作るのに対し、は服用のたびにな血中濃度の山を作ってだけを一時的に抑え、翌日には体内からほぼ消える。この違いが「オンデマンド専用SSRI」という独自ポジションを作っている。

適応

。性行為の数時間前にオンデマンドで内服する。うつ病・の治療には用いない(連日投与を前提とした設計ではない)。

用法・用量

PO(オンデマンド)。目安:性行為の1〜3時間前に30 mgを内服し、効果不十分なら次回以降60 mgまで増量する。1日1回・24時間以上の間隔をあけることを原則とする。実際の用量は年齢・肝腎機能・併用薬で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌躁病または重度うつ病の既往、失神の既往、心不全・弁膜症・などを来しやすい病態)、中等度以上の腎・
  • ⚠️ MAO阻害薬(など)との併用・投与中止後14日以内の使用は のリスクが急激に高まる
  • 他のSSRI/SNRI・薬剤との併用も同様にのリスクを高めるため避ける
  • ・失神のリスクがあるため、初回投与は座位または臥位で行い、服用後の急な起立を避けるよう指導する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心頭痛めまい
注意 低血圧、失神(特に初回投与時)
重篤・まれ (MAO阻害薬・他の併用時)

まとめ

  • 性ホルモン薬ではなく、を遅らせるために設計された短時間作用型SSRI
  • 通常のSSRIが連日投与で効果発現に数週間かかるのに対し、急速な吸収・消失を利用したオンデマンド投与(性行為の1〜3時間前)で効く。
  • 抑制はセロトニン濃度のによる急性効果であり、によるを必要としない。
  • MAO阻害薬との併用・14日以内の使用は)。
  • ・失神に注意し、初回投与は座位・臥位で行う。
  • 以外の適応(うつ病治療など)には用いない。