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Drug Atlas · B14 Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬 · 必修

デュタステリド

dutasteride

分類
Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
商品名(日本)
アボルブザガーロ
商品名(EU)
Avodart
科目
Pharmacology
トピック
B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
承認適応
前立腺肥大症男性型脱毛症
副作用
女性化乳房勃起障害
監視検査値
AST・ALT
対象疾患
前頭部線維化性脱毛症

🧠 全体像:はと同じだが、2型だけでなく1型も阻害する点が唯一にして最大の違いである。この「阻害範囲の広さ」が、低下率の大きさ・半減期の桁違いの長さ・制限の厳しさまで、両薬の差をすべて説明する。

フィナステリドとの違い

項目
阻害する 2型のみ 1型+2型の両方
血中低下率 約70%(5 mg/日を4年間まで)1 約90%以上(0.5 mg/日で低下中央値が1年94%・2年93%)2
半減期 約6時間(70歳以上では約8時間)1 約3〜5週間(定常状態。日本の電子添文は3.4±1.2週間、米国添付文書は約5週間)234
服薬中止後の制限(日本赤十字社の基準) 1か月 6か月(半減期の長さを反映)5
BPH(米国PROSCARは5 mg錠で承認1)/(米国PROPECIAは1 mg、日本のプロペシアは0.2 mgを標準とし1 mgまで増量可。日本の電子添文は海外のBPH試験で用いられた5 mgを「本剤承認用量の5〜25倍用量」と記している)67 BPH(英国・日本・米国いずれも承認。日本では「アボルブ」0.5 mg)23/(日本では「ザガーロ」0.1 mgとして別製品として承認。英国SmPC・米国添付文書にはの適応が無い)824
前立腺体積縮小効果 有効 と同等かそれ以上とされる

⭐ 「なぜの方がをより強く下げるのに、第一選択が決まっているわけではないのか」——1型は皮膚・肝臓など前立腺以外の組織に多く、1型まで阻害することの臨床的な効果はBPHの症状改善では限定的とされ、・といった副作用の種類は両薬の添付文書でほぼ共通している。31 実地ではの選好・・との合剤(+配合剤)の有無で選択されることが多い。

💡 半減期の違いが実務上いちばん効いてくるのはとの判断。 は中止後も血清中に4〜6か月にわたって検出されうるため、の場面でより長いが必要になる4。パートナーの妊娠を計画する場合にも、精液特性への影響(0.5 mg/日52週で総精子数が平均23%減少し、24週の追跡後も同程度にとどまった。ただし平均値はいずれも正常範囲内)を説明したうえで判断する3。

適応・用法

BPH(アボルブ0.5 mg):(BPH)。1回0.5 mgを1日1回する。前立腺体積が大きい・進行リスクが高い症例で(など)と併用、または単独使用する。⚠️ 前立腺が肥大していない患者での有効性・安全性は確認されておらず、国内の対象は前立腺体積30 mL以上だった。 効果発現は緩徐で、治療効果を評価するには通常6か月の治療を要する3。

(ザガーロ0.1 mg):日本では「男性における」に対して別製品として承認されている。0.1 mgを1日1回、必要に応じて0.5 mgを1日1回。⚠️ 適応は男性ののみで、など他のには適応が無い。20歳未満での安全性・有効性は確立していない。 6か月以上投与しても改善がみられない場合は中止する8。

⚠️ 英国SmPC・米国添付文書にはBPHの適応しか無く、の適応は無い。 同じでも、日本ではBPH用の「アボルブ」0.5 mgと用の「ザガーロ」0.1 mgが別製品・別の電子添文として承認されている。適応・用量は国と製剤で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する2438。

💡 日本では「に使うかどうか」がそのまま保険給付の線引きになる。 ザガーロは基準に収載されておらず、電子添文の「保険給付上の注意」に保険給付の対象とならないと明記されている8。アボルブの電子添文も、効能又は効果が「」であることを保険給付上の注意に置いたうえで、本剤が「男性における」ので処方された場合は保険給付の対象としないと定めている3。のプロペシアも同様に基準未収載である7。つまり、同じでも「ので処方したかどうか」が給付の可否を分ける。

禁忌・注意・副作用

  • 禁忌(日本の電子添文・英国SmPCで共通)32
    • 本剤の成分および他のに対する過敏症の既往(英国SmPCでは大豆・ピーナッツへの過敏症も含む——軟カプセルにを含むため)
    • 女性(妊婦を含む。催奇形性——男子胎児の外性器の発達を阻害しうるため、女性・小児は破損したカプセルから漏れた薬剤に触れない)
    • 小児等
    • ⚠️ 重度の(主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇するおそれがある)
  • ⚠️ 重大な副作用は(1.5%)・黄疸。 ・・ビリルビンの上昇を伴うことがあるので、定期的に肝機能を確認する3
  • ⚠️ ()を投与6か月後に約50%低下させる。 前立腺癌が存在していても低下するため、6か月以上投与している患者では測定値を2倍した値をと比較する。投与中止後6か月以内に投与前値へ戻る。free/total 比は一定に保たれるので、% free を使う場合は補正不要32
  • ⚠️ 前立腺癌の発現率が上昇しうる。 REDUCE試験(生検陰性の既往があり 2.5〜10.0 ng/mLの50〜75歳男性、4年間)で8〜10の前立腺癌は1.0%対0.5%、5 mgの7年間試験でも1.8%対1.1%と同様だった。は前立腺癌の予防には承認されていない4
  • ⚠️ 日本赤十字社の基準では、服薬中止後6か月はできない(の1か月より厳しい)5。米国の添付文書も「最終投与から少なくとも6か月」を本文に定めており、その目的は妊娠中の輸血患者にが渡るのを防ぐことである4
  • 注意すべき副作用:()減退、、・、(いずれもと共通)3
  • 相互作用:主にで代謝されるため、など阻害作用を有する薬剤との併用で血中濃度が上昇しうる3

まとめ

  • との違いは1型も阻害するかどうかの一点に尽きる。低下率はの方が大きい(0.5 mg/日で1年後の中央値94% vs 5 mgで約70%)。
  • 脂溶性が高く定常状態の半減期が約3〜5週間と(約6時間、高齢者では約8時間)より桁違いに長い。
  • この半減期の差が制限(日本赤十字社の基準で6か月 vs 1か月)に直結する、試験で問われやすいポイント。
  • 適応はBPHが中心(日本ではアボルブ)で、には日本では別製品「ザガーロ」として承認されている。英国SmPC・米国添付文書にはの適応が無い。
  • 低下(6か月で約50%、評価時は2倍して比較)・催奇形性・・重度の禁忌はと共通または本剤特有の注意点として押さえる。

出典

  1. 1.PROSCAR (finasteride) Tablets — Full Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書)・2026)フィナステリドは2型5α還元酵素の競合的阻害薬であり、5 mg/日を4年間まで投与したとき血清DHT濃度を約70%低下させること。健常若年者での血漿中平均消失半減期は6時間(範囲3〜16時間)で、70歳以上では約8時間であること。米国の適応は前立腺肥大症であり、前立腺癌の予防には承認されていないこと。添付文書に献血に関する記載は無いこと閲覧 2026-09-05
  2. 2.Avodart 0.5 mg soft capsules — Summary of Product Characteristics(electronic Medicines Compendium(英国)・2026)英国SmPC(2026年8月11日改訂)の承認適応は中等度から重度の症状を有する前立腺肥大症の治療、および同症例における急性尿閉・手術リスクの低減であり、男性型脱毛症の適応は無いこと。禁忌は女性・小児および青年、デュタステリドや他の5α還元酵素阻害薬・大豆・ピーナッツ・添加剤への過敏症、重度の肝機能障害であること。0.5 mg/日反復投与時の半減期が約3〜5週間であること。前立腺肥大症患者で血清DHTの低下中央値が1年で94%、2年で93%であること。治療6か月後に平均血清PSAが約50%低下すること閲覧 2026-09-05
  3. 3.アボルブカプセル0.5mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)2025年8月改訂(第2版)。効能又は効果は「前立腺肥大症」のみで、前立腺が肥大していない患者での有効性・安全性は未確認、国内臨床試験は前立腺体積30 mL以上を対象としたこと。用法は1回0.5 mgを1日1回、効果判定には通常6か月を要すること。禁忌は過敏症の既往、女性、小児等、重度の肝機能障害の4項目。PSAは投与6か月後に約50%減少するため6か月以上投与例では測定値を2倍して基準値と比較し、投与中止後6か月以内に投与前値へ戻ること、free/total PSA比は一定に保たれること。0.5 mg投与の定常状態における消失半減期は3.4±1.2週間であること。重大な副作用は肝機能障害(1.5%)・黄疸であること。10.2併用注意にCYP3A4阻害作用を有する薬剤(リトナビル等)が挙げられていること。25.保険給付上の注意に「本製剤の効能又は効果は、『前立腺肥大症』であること」「本製剤が『男性における男性型脱毛症』の治療目的で処方された場合には、保険給付の対象としないこととする」と定められていること閲覧 2026-09-05
  4. 4.AVODART (dutasteride) soft gelatin capsules — Full Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書)・2023)米国の適応は前立腺肥大症のみで、前立腺癌の予防には承認されていないこと。「最終投与から少なくとも6か月間は献血しない」ことが添付文書本文(5.5)に定められ、その目的が妊娠中の輸血患者へのデュタステリド投与を防ぐことであること。REDUCE試験(前立腺生検陰性の既往があり基線PSA 2.5〜10.0 ng/mLの50〜75歳男性、4年間)でGleasonスコア8〜10の前立腺癌の発現率がデュタステリド1.0%対プラセボ0.5%であり、フィナステリド5 mgの7年間試験でも同様の結果(1.8%対1.1%)が得られたこと。定常状態での終末消失半減期が約5週間で、中止後4〜6か月まで血清中に検出されうること。血清DHTの低下中央値が1週で85%、2週で90%であること閲覧 2026-09-08
  5. 5.服薬と献血について(日本赤十字社(福岡県赤十字血液センター)・2026)日本の献血基準では、フィナステリド(プロペシア・プロスカー等)は服薬中止後1か月、デュタステリド(ザガーロ・アダボート等)は服薬中止後6か月、献血できないと定められていること。なおページに改訂年月の記載が無く、year は閲覧年である閲覧 2026-09-05
  6. 6.PROPECIA (finasteride) tablets for oral use — Full Prescribing Information(米国FDA(DailyMed収載の添付文書)・2023)2023年11月改訂。米国の男性型脱毛症の適応はPROPECIA(フィナステリド1 mg)が担い、「男性のみ」で女性には適応が無いこと。推奨用量は1 mg錠を1日1回で、効果の判定に通常3か月以上を要すること。BPHの適応を持つPROSCAR(5 mg)とは別製剤であること閲覧 2026-09-05
  7. 7.プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2023)2023年8月改訂(第4版)。日本の規格は0.2 mg錠と1 mg錠で、効能又は効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」。用法は男性成人に0.2 mgを1日1回、必要に応じて増量できるが1日1 mgを上限とすること(米国PROPECIAの1 mg 1日1回とは標準用量が異なる)。海外のBPH臨床試験で用いられたフィナステリド5 mgを「本剤承認用量の5〜25倍用量」と記していること。25.保険給付上の注意に「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。」と記載されていること閲覧 2026-09-05
  8. 8.ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)2025年8月改訂(第2版)。効能又は効果は「男性における男性型脱毛症」のみで、他の脱毛症に対する適応は無く、20歳未満での安全性・有効性は確立していないこと。用法は男性成人に0.1 mgを1日1回、必要に応じて0.5 mgを1日1回。効果判定には通常6か月を要し、6か月以上投与しても改善がみられない場合は中止すること。禁忌はアボルブと同一の4項目であること。25.保険給付上の注意に「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。」と記載されていること閲覧 2026-09-05