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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

前頭部線維化性脱毛症

Frontal fibrosing alopecia

臓器系
皮膚免疫・膠原病
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-26:脱毛症の臨床型と治療
上位概念
脱毛症
鑑別疾患
中心遠心性瘢痕性脱毛症
関連疾患
扁平苔癬
治療薬
フィナステリドデュタステリドヒドロキシクロロキントリアムシノロンイソトレチノイン

🧠 全体像は、前頭・側頭の生え際がバンド状にし、しばしば毛脱落を伴うリンパ球性症である。の臨床亜型と位置づける見解が有力で、と同じ毛包を標的とするリンパ球性炎症が背景にある。他のと同じく、いったん毛包が破壊されれば発毛は期待できないため、は「発毛」ではなく「炎症を止めて進行を止めること」であり、国際コンセンサスは臨床的な炎症所見が明らかでなくても診断時点で治療を開始することを推奨している。

病態

FFAは主に閉経後女性に生じるが、妊孕性のある年代の女性や男性にも起こりうる1。毛包の・バルジ領域を標的とするリンパ球性炎症が生じ、毛包周囲に線維化が進むことで毛包幹細胞が失われ、二度と発毛しない状態になる。この炎症標的の共から、FFAはの毛包型であるの臨床亜型とする見解が有力である1

flowchart TD
    A["毛包<span class='jp-term jp-term-diagram' title='outer root sheath'>外毛根鞘</span>・バルジ領域への<br>リンパ球性炎症"] --> B["毛包周囲の線維化"]
    B --> C["毛包幹細胞の破壊"]
    C --> D["前頭・側頭生え際の帯状<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retraction'>後退</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eyebrow'>眉</span>毛・睫毛の脱落"]
    C --> F["顔面丘疹(毛包性)"]
    D --> G["いったん破壊された毛包は再生しない"]

毛脱毛は高頻度の随伴所見で、最大90%の患者が経験し、39%では頭皮の生え際よりも先に毛脱落が出現する2毛脱落だけで受診した患者でも、生え際の変化を必ず確認する。

臨床像

  • 前頭・側頭の生え際が左右対称にバンド状にし、した部位の皮膚は滑らかで毛包開口部を欠く。
  • 活動性の辺縁には毛包周囲の紅斑・鱗屑がみられ、単一の毛が孤立して残ることがある。
  • 毛・睫毛の脱落、顔面(特にこめかみ・頬)の毛包性丘疹を伴うことが多い。
  • 症状は軽微で、や違和感程度にとどまることが多い。

診断

(帯状の生え際毛脱落、活動性辺縁の毛包周囲紅斑)で診断できることが多いが、判断に迷う場合は活動性のある辺縁から生検し、毛包周囲のと線維化を確認する。

国際コンセンサスでは、疾患活動性のモニタリングにFFASI・FFASSなどのスコア、生え際の連続測定、連続写真撮影、を用いることで間の合意率が100%に達しており、最も信頼できる指標として位置づけられている2

治療

部位・状況 推奨される治療
頭皮生え際( 高力価〜超強力のを第一選択とし、3〜6か月継続する
全身治療(頭皮進行例) 2.5mg/日または0.5mg/日を最も優先し、5mg/kg/日を次に検討する2
毛脱毛 局所注射(2.5mg/mL、6〜8週間隔)2
顔面丘疹 低用量0.25mg/kg/日2

診断がついた時点で、明らかな臨床的炎症所見がなくても治療開始を検討することが国際の合意である2。毛包が破壊されてから治療を始めても失われた毛は戻らないため、「様子をみる」選択は進行を許すことと同義になりやすい。

⚠️ レーザーなどの物理療法、JAK阻害薬、メトトレキサート、は、いずれも間のコンセンサスに至らなかった。エビデンスが確立した標準治療ではない2

鑑別

鑑別 区別の要点
病変の主座が頭中心で性に拡大する点が、前頭・側頭生え際が主座のFFAと異なる
を含む頭皮各所に多巣性に生じるの毛包型で、FFAはその臨床亜型とされる
男性型・女性型 毛包は保たれるで、の不均一化が主体。毛包周囲の紅斑・鱗屑を欠く

まとめ

  • FFAは前頭・側頭生え際のバンド状と高頻度の毛脱落を特徴とするリンパ球性症で、の臨床亜型と位置づけられる。
  • 毛脱落は最大90%に生じ、4割弱の症例で頭皮の変化に先行する。
  • 診断はが中心で、活動性辺縁からの生検、、連続写真撮影で活動性を追跡する。
  • 局所は高力価ステロイド、全身治療はを最優先しを続けるのが国際合意である。
  • 毛包が破壊されれば不可逆であるため、診断時点で早期に治療を開始することが間の合意になっている。

出典

  1. 1.Statement from the frontal fibrosing alopecia international expert alliance: SOFFIA 2024(Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology・2025)招待した専門家69名中61名(88%)が365項目を評価し、204項目(56%)で合意に達したこと。局所治療は高力価〜超強力ステロイドが第一選択、全身治療は5α還元酵素阻害薬(フィナステリド2.5mg/日またはデュタステリド0.5mg/日)を最優先としヒドロキシクロロキン(5mg/kg/日)が続くこと。眉毛脱毛には局注トリアムシノロン(2.5mg/mL、6〜8週間隔)、顔面丘疹には低用量イソトレチノイン(0.25mg/kg/日)が推奨されること。最大90%の患者が眉毛脱毛を経験し39%では頭皮の脱毛に先行すること。診断時点で臨床的な炎症所見がなくても治療開始を検討することで合意したこと。疾患活動性のモニタリングにはFFASI・FFASSなどのスコア、連続した生え際計測・写真撮影・ダーモスコピーを用いることで100%合意したこと閲覧 2026-08-11
  2. 2.Enhanced Insights into Frontal Fibrosing Alopecia: Advancements in Pathogenesis Understanding and Management Strategies(Dermatology and Therapy・2024)主に閉経後女性に生じるが妊孕性のある年代の女性や男性にも起こりうること、FFAを毛孔性扁平苔癬の臨床亜型と位置づける見解があること(Starace らの報告を引用したナラティブレビュー)閲覧 2026-08-11