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Drug Atlas · B29 Immunosuppressants / 免疫抑制薬 · 必修

エトラシモド

etrasimod

分類
Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(日本)
ベルスピティ
商品名(EU)
Velsipity
科目
Pharmacology
トピック
B29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)
承認適応
潰瘍性大腸炎
禁忌疾患
急性冠症候群脳梗塞心不全(非代償性・Class III/IV)
副作用
頭痛悪心めまい
監視検査値
白血球数(リンパ球数)
影響検査値
アミノトランスフェラーゼ
原因となる疾患
黄斑浮腫

🧠 全体像:エトラシモドはオザニモドに続く2剤目ので、専用の適応を持たない)に開発された薬である。S1P1・4・5受容体に選択的に結合する点はオザニモドに似るが、最大の違いはそのものが不要なこと——初日からの2mgを1日1回投与でき、の中でもっとも導入がシンプルな薬という位置づけになる。2023年10月に中等症〜重症の経口治療薬として米国で承認された1

薬効群の中での位置づけ

薬剤 S1P 導入時の漸増 適応
非選択的(S1P1・3・4・5) 漸増はせず初回から0.5mg。代わりに初回投与時6時間の院内モニタリング(心電図・バイタル)が必須
オザニモド S1P1・S1P5選択的 必須(7日間の外来漸増)
エトラシモド S1P1・4・5選択的 不要(初日から2mg固定用量) のみ

同じでも「導入時に何を要求されるか」が処方のしやすさを大きく左右する。 は漸増こそしないが初回投与時の院内観察を要し、オザニモドは7日間の漸増でその観察を不要にした。エトラシモドは徐脈への影響がさらに小さいため漸増自体を省略でき、不要の固定用量という運用のシンプルさが臨床上の強みになる。ただし固定用量である以上、禁忌となる心血管疾患の既往確認は他のと同様に重要である。

機序

flowchart TD
    A["エトラシモドがS1P1・S1P4・S1P5<br>受容体に選択的に結合"] --> B["S1P1受容体が細胞内へ<br>取り込まれ分解される"]
    B --> C["リンパ球がリンパ節から<br>脱出できず閉じ込められる"]
    C --> D["末梢循環中のリンパ球が減少"]
    D --> E["腸管粘膜への<br>自己反応性リンパ球の浸潤が減る"]
    A -.->|"S1P2・S1P3には結合しない"| F["心筋・血管系への影響が<br>比較的小さく漸増が不要"]

💡 「S1P2・S1P3を避ける」という選択性の設計が漸増不要の根拠。 S1P受容体の複数のうちへの影響に関わるとされるへの結合を避けることで、やオザニモドのような段階的な導入を経ずに固定用量から開始できる2

薬物動態

項目 値・特徴
半減期 約30時間
肝・腎機能や年齢による調節が不要な固定用量2mg
クリアランス 見かけの経口クリアランス約1 L/h

適応

中等症〜重症の(高度治療未使用例を含む高有効性薬の一つ)3の適応は持たない。

用法・用量

2mgを1日1回、食事に関わらずする。漸増やは不要な固定用量である。実際の適応判断は施設のプロトコル・添付文書で確認する2

禁忌・注意

  • 禁忌:直近6か月以内の(心筋梗塞・)・脳卒中・TIA・入院を要する心不全またはClass III/IVの心不全
  • ⚠️ 50/分未満、・反復性の・重度未治療睡眠時無呼吸の既往がある場合は投与前に循環器科へ相談する
  • ⚠️ のリスクがあり、投与開始前の(黄斑を含む)が必要。糖尿病・ぶどう膜炎既往例はリスクが高い
  • 投与前に・ビリルビンを確認し、有意な肝障害が確認されたら中止する
  • 感染症リスクの上昇(が意図された薬理効果であるため)に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛肝機能上昇、めまい
注意 悪心、感染症リスク上昇
重篤・まれ 、重篤な肝障害、重篤感染症

まとめ

  • エトラシモドはS1P1・4・5選択的なで、専用に開発された(の適応なし)。
  • S1P2・S1P3を避ける選択性により、・オザニモドと異なり漸増不要の固定用量2mgから開始できる。
  • 禁忌は直近の心筋梗塞・脳卒中・など心血管疾患の既往に集約される。
  • ・肝障害・感染症リスクはに共通するモニタリング項目として残る。
  • 半減期は約30時間で、不要な点が処方のシンプルさにつながる。

出典

  1. 1.VELSIPITY (etrasimod) tablets, for oral use — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2023)エトラシモドの初回承認が2023年であること、用量調節不要の2mg1日1回固定用量であること、禁忌(直近6か月以内の心筋梗塞・不安定狭心症・脳卒中・TIA・入院を要する非代償性心不全またはClass III/IVの心不全)、半減期約30時間、黄斑浮腫・肝機能障害の警告と投与前の眼底・肝機能評価を確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.U.S. FDA Approves Pfizer's VELSIPITY (etrasimod) for Adults with Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis (UC)(Pfizer・2023)エトラシモドが2023年10月12日、中等症〜重症潰瘍性大腸炎の経口治療薬としてFDA承認されたことを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.AGA Living Clinical Practice Guideline on Pharmacological Management of Moderate-to-Severe Ulcerative Colitis(American Gastroenterological Association・2024)高度治療未使用の中等症〜重症潰瘍性大腸炎において、エトラシモドを含む高有効性薬の位置づけを確認した。閲覧 2026-08-10