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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤

グセルクマブ

guselkumab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
トレムフィア
商品名(EU)
Tremfya
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
尋常性乾癬乾癬性関節炎Crohn病潰瘍性大腸炎
禁忌疾患
結核

🧠 全体像IL-23のp19サブユニットだけを選択的に狙う(語尾 -umab)で、(IL-12/23共通のp40を狙う)との対比が最大の理解ポイントになる。p19だけを止めることでIL-12(Th1経路、抗ウイルス・抗腫瘍免疫を担う)を温存しながらIL-23(Th17維持経路)だけを断つ、より的を絞った設計。

薬効群の中での位置づけ

標的 薬剤(語尾) 抗体の由来 主な適応
IL-23選択的p19 (-umab)(-zumab) ヒト/ヒト化 乾癬・PsA・IBD(Crohn病1
IL-12/23共通p40 (-umab) ヒト 乾癬・IBD
IL-17A ヒト/ヒト化 乾癬・PsA・
IL-17受容体A ヒト 乾癬

p19 = IL-23だけの固有サブユニット、p40 = IL-12とIL-23の共通サブユニット。 がp40を介して両方止めるのに対し、IL-23だけを狙う「一歩進んだ」選択性を持つ。理論上はIL-12依存の感染防御(結核・ウイルス感染など)への影響が小さく済むと期待される

機序

flowchart TD
    A["IL-23(p19+p40の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterodimer'>ヘテロ二量体</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guselkumab'>グセルクマブ</span>がp19サブユニットに<br>選択的に結合"]
    B --> C["IL-23受容体への結合を阻止"]
    C --> D["すでに分化したTh17細胞の<br>維持シグナルが途絶える"]
    D --> E["IL-17・IL-22産生↓"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratinocyte'>ケラチノサイト</span>増殖↓・炎症↓"]
    G["IL-12(p35+p40)"] -.->|"p40を共有しないp19だけを狙うため<br>IL-12経路は温存される"| H["Th1・NK細胞の抗ウイルス/抗腫瘍免疫は保たれる"]

💡 「Th17の分化」ではなく「Th17の維持」を狙う設計。 Th17細胞への分化そのものはTGF-β+IL-6が引き金だが、分化後の細胞が病原性を保ち続けるにはIL-23による維持シグナルが必要とされる。IL-23選択的阻害薬は、この「維持」段階だけを狙い撃つことで慢性の皮膚・関節炎症を制御しつつ急性感染防御への影響を最小化することを狙っている。

薬物動態

項目 値・特徴
SC皮下注射(IBDでは静注導入の選択肢もある)
分布 血漿・炎症組織中心
代謝
排泄 でのクリアランス
半減期 約15〜18日

適応

は皮膚・関節限定」という整理は既に古い。 IL-23選択的p19抗体は乾癬・から出発したが、は米国で(2024年9月)に続きCrohn病(2025年3月)でも承認され、と同じくIBDまで適応が広がった。EUでの承認は米国より遅く2025年4月・Crohn病2025年5月に欧州委員会が承認している。IL-23選択性とIBDへの有効性は矛盾しない——腸管の慢性炎症でもTh17維持シグナルが病態の中心にあるためである。

用法・用量

乾癬・ではSC皮下注射、固定用量。導入期(0・4週)の後、は8週ごとに投与するレジメンが基本。

IBD(・Crohn病)では導入・維持とも用量が別に定められており、導入は静注200 mgを0・4・8週または皮下注400 mgを0・4・8週のいずれかを選べる。維持は皮下注100 mgを16週から8週ごと、または皮下注200 mgを12週から4週ごとである1。実際の用量・導入スケジュールは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌結核を含む重篤な、過敏症
  • ⚠️ 投与前に結核(を含む)のスクリーニングを行う
  • 生ワクチン接種は投与中避ける
  • IL-23選択的阻害はTNF阻害薬・IL-17阻害薬と比べの頻度は低いとされるが、スクリーニングを省略してよい根拠にはならない
  • ⚠️ IBD(・Crohn病)に用いるときは、とビリルビンを投与前と投与開始後16週まで、その後も定期的に測る。 乾癬・の用法には無い、IBD用量に固有の注意である1

副作用

頻度 内容
高頻度 、注射部位反応
注意 、頭痛
重篤・まれ 重症感染、結核の再活性化、過敏症反応

まとめ

  • 抗IL-23 p19選択的ヒト抗体(-umab)。IL-12を共有するp40ではなく、IL-23固有のp19サブユニットだけを狙う。
  • (p40阻害)との対比が理解の軸:p19阻害はIL-12(Th1)経路を温存しつつIL-23(Th17維持)だけを止める、より選択的な設計。
  • 適応は乾癬・に加え、とCrohn病へ広がった(米国は2024年9月・2025年3月、EUは2025年4月・2025年5月に承認)。IBDでは静注または皮下注の導入レジメンを選べる。
  • は必要だが、IL-23選択的阻害はTNF阻害薬より再活性化リスクが低いとされる。
  • 半減期約15〜18日で、は8週ごとまで間隔を延ばせる。
  • とは標的(p19)が同じで、由来(完全ヒト vs ヒト化)と半減期が異なる。適応範囲は現在ほぼ重なっており、「Crohn病の有無」で区別する古い整理は使えない。

出典

  1. 1.TREMFYA (guselkumab) injection, for subcutaneous or intravenous use — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Janssen Biotech・2026)適応に中等症〜重症の潰瘍性大腸炎とCrohn病を含む。IBDの導入は静注200 mg(0・4・8週)または皮下注400 mg(0・4・8週)、維持は皮下注100 mg(16週から8週ごと)または200 mg(12週から4週ごと)。IBDでは肝酵素・ビリルビンを投与前と16週まで、その後も定期的に測る閲覧 2026-08-03
  2. 2.Tremfya 200 mg concentrate for solution for infusion — Summary of Product Characteristics(electronic Medicines Compendium(UK、EU由来のSmPC)・2026)EUでのIBD適応(潰瘍性大腸炎・Crohn病)の用量はIV導入200mgをweek0・4・8、以降はSC維持100mgを8週ごと、またはSC維持200mgを4週ごと。SC導入オプション(400mgをweek0・4・8)もある。米国添付文書の用量と同一。閲覧 2026-08-04