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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬

テコビリマット

tecovirimat

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
テポックス
商品名(EU)
Tecovirimat SIGA
科目
PharmacologyMedical Microbiology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses3/19: Poxviruses
承認適応
エムポックス
標的微生物
痘瘡ウイルスエムポックスウイルス
副作用
頭痛悪心腹痛嘔吐
監視検査値
クレアチニン
相互作用
ミダゾラムレパグリニド

🧠 全体像:は「機序も動物データも揃っているのに、ヒトで効くと証明されていない薬」である。⭐ 標的はのVP37エンベロープ形成蛋白で、が細胞外へ包まれて出ていく最終段階を止める。⚠️ ところが米国の承認はAnimal Rule(による承認)で得られたもので、添付文書自身が「ヒトでは有効性は決定されていない」と明記している1。⚠️⚠️ その後に行われた4つの無作為化試験は、いずれもを示せなかった——コンゴ民主共和国のclade I患者597例を対象としたPALM007では病変消退までのが7日対8日、1.13(95%CI 0.97〜1.31、P=0.14)2、clade IIを対象に412例をしたSTOMPでは29日目までの臨床的軽快が83%対84%、0.98(95%CI 0.74〜1.31、P=0.89)で、いずれもに届かなかった3。⚠️⚠️ その結果、ではの適応が2026年に取り消された(欧州委員会決定2026年5月29日)——一方で日本では2024年12月にを含む適応で承認されている45。⭐ 「承認されている」と「効く」は別であるという一点を、この薬で覚える。

薬効群の中での位置づけ

に使いうる薬は、ウイルス複製を止める群と、複製後の粒子放出を止める群に分かれる。は後者に単独で立つ。

薬 標的 位置づけ 弱点
VP37エンベロープ形成蛋白(細胞外の形成) 経口が主体でが高い。米国はのみ、日本はを含む適応、⚠️ は2026年にの適応を取り消し(・・後合併症は残る) ⚠️ 無作為化試験でが示されていない。が実際に検出されている
(のリピッド) にのみ承認。は適応外 消化管毒性・肝毒性、長期投与で死亡率上昇の
適応は網膜炎のみ。への使用は適応外 強い腎毒性

⭐ 機序が違うのでは想定されない。 詳細はの項に譲る。

⚠️ は流行期を通じて人道的使用の枠組みで広く投与されてきたが、の証拠は無いままだった——第3相プラセボ対照試験(STOMP・PALM007)はいずれも治療におけるを示せていない6。💡 「広く使われている」は「効く」の証拠にならない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthopoxvirus'>オルソポックスウイルス</span>が細胞内で複製"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mature virion (MV)'>成熟ウイルス粒子</span>(MV)ができる"]
    B --> C["VP37蛋白がゴルジ由来の膜で粒子を包む"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular enveloped virus (EV)'>細胞外エンベロープウイルス</span>(EV)として放出"]
    D --> E["隣接細胞・全身へ拡散"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tecovirimat'>テコビリマット</span>"] -.->|"VP37を阻害"| C
    F -.-> G["細胞外への放出が止まり<br>ウイルスの拡散が抑えられる"]

💡 複製そのものは止めない。 は細胞内でのウイルス増殖を直接止めるのではなく、できあがった粒子が外へ出る経路を塞ぐ。この一段階だけの介入であることが、「ウイルス量は下がっても臨床経過は変わらない」というPALM007の結果——14日目の陰性化割合が両群で同様だった2——を理解する手がかりになる。

薬物動態

項目 値・特徴
経口カプセルが基本。内服できないときのみ静注1
食事の影響 ⚠️ 中〜高脂肪の食事の後30分以内に服用(絶食時に比べが39%増える)1
代謝 の加水分解+UGT1A1・UGT1A4による1
半減期 経口19時間、静注21時間1
酵素への作用 CYP3Aの弱い誘導、CYP2C8・CYP2C19の弱い阻害1

適応

⚠️⚠️ 国によって承認されている疾患の範囲が違う。「欧米では」と一語でまとめない——3つの地域の答えが全部違う。⭐ 販売名も地域で違う(米国 TPOXX/ Tecovirimat SIGA/日本 テポックス)。

地域 に対する承認
米国(TPOXX) ⚠️ もともと無い 体重3 kg以上の成人・小児における()のみ1
EU(Tecovirimat SIGA) ⚠️⚠️ 2026年に取り消された CHMPが2026年3月26日に「の治療にはもはや用いるべきでない」と勧告し、欧州委員会が2026年5月29日に全加盟国を拘束する決定を出した。⭐ ・・ワクチン接種後の合併症(体重13 kg以上の成人・小児)の適応は残る4
日本(テポックス) ⭐ ある 、、、ワクチン接種後のワクチニアウイルスの増殖による合併症。テポックスカプセル200 mgが2024年12月27日に【】で承認された5

💡 なぜの制限がだけに限られたのか。 EMAは、疾患どうしで使用の状況も臨床経過も異なりうるため、の臨床データが他の疾患へ外挿できるとは限らないと述べている——・・後合併症についてはヒトでの有効性データが無く、承認時の in vitro および動物データが今も妥当と判断された4。⚠️ 「効かないと分かったのだから全適応を取り消すべき」ではないという論理の向きに注意する。

⚠️ これは代替薬が用意されたうえでの取り消しではない。 EMAは同時に「にはのの治療に承認された他の医薬品は無い」と述べている4。新規患者には開始しないが、既に開始した患者は治療を完了してよいとされた。💡 そもそもの承認自体がでの承認(希少あるいはヒトで完全なデータを集めることが不可能・非倫理的な場合に与えられる形式)であり、企業は毎年の有益性・危険性の更新を義務づけられていた4。

⭐ 日本の適応はを含む。 2024年12月27日に新含有医薬品として【】で承認された5。💡 このノートの frontmatter が「」にを挙げているのは、この日本の承認を根拠にしている。 このボルトは上の区分をのSmPCから順に採るが、は2026年に取り消し、米国はもともと適応が無いので、だけを見ると欄が空になる——適応薬として逆参照に出る根拠は日本の承認1件であることを踏まえて読む。⚠️ ただし適応があることと有効性が証明されていることは同じではない——次節のを必ずセットで読む。⚠️ 逆に、のようにの結果を受けて適応が取り消されることもある。

⚠️ 免疫不全患者では有効性が減弱しうる。 免疫不全で有効性の低下が示されているためで、ヒトでの検証によるものではない1。

用法・用量

経口(14日間)1

体重 用量
13 kg以上25 kg未満 200 mgを12時間ごと
25 kg以上40 kg未満 400 mgを12時間ごと
40 kg以上120 kg未満 600 mgを12時間ごと
120 kg以上 600 mgを8時間ごと(体重が大きいと曝露が下がるため)

静注(内服できない場合、6時間かけて、最長14日間):3 kg以上35 kg未満は6 mg/kg、35 kg以上120 kg未満は200 mg、120 kg以上は300 mgを12時間ごと1。

  • ⚠️ カプセルは中〜高脂肪の食事の後30分以内に飲む。 空腹時では曝露が落ちる1。
  • 内服できるようになったらできるだけ早く静注から経口へ切り替える1。

禁忌・注意

⚠️⚠️ 最大の注意点は副作用ではなく「効果が証明されていないこと」である。

  • ⚠️ 4つの・・プラセボ対照試験のいずれもがを示せていない。 EMAが2026年の再審査でまとめたのは、clade Iを背景とするPALM007と、clade IIを背景とするSTOMP・UNITY・PLATINUM-UKの4試験である4。
試験 対象 の結果
PALM007(コンゴ民主共和国、clade I、597例) 入院患者 皮膚病変消退までのが群7日・プラセボ群8日、1.13(95%CI 0.97〜1.31、P=0.14)。発症7日以内に開始しても結果は変わらなかった2
STOMP/ACTG A5418(国際共同、clade II、412例=275例・137例) 検査確定の成人(主解析は活動性の皮膚・粘膜病変がある336例) 29日目までの臨床的軽快の推定が群83%・プラセボ群84%、0.98(95%CI 0.74〜1.31、P=0.89)3
  • ⭐ STOMPはでも差が出なかった。 ベースラインで重度の疼痛(0を疼痛なし・10を想像しうる最悪の疼痛とする尺度で7〜10)があった患者の疼痛軽減の群間差は0.1点(95%CI −0.8〜1.0)、病変の完全治癒は0.97(95%CI 0.75〜1.26)、ウイルスの陰性化にも実質的な差が無かった3。
  • ⚠️ ただしこのには限定が付いている。 EMAの原文は「おおむね免疫が保たれ、活動性の病変を有する患者において、検討された条件のもとで」4試験すべてがに届かなかった、と書いている4。高度免疫抑制例や、病変が出る前に投与した場合の成績は、これらの試験が答えていない。
  • 💡 「なぜ効かなかったのか」までEMAは書いている。 承認の根拠になった動物試験での改善が示されたのは曝露から4日以内に開始した場合で、非ヒト霊長類でウイルスの接種から6日目に開始するとは50%(4日目は83%、無治療は0%)へ落ちていた。一方、で実際に投与が始まったのは報告された発症からおよそ6〜9日後である。⚠️ EMA自身が「患者が有効となるほど早期に治療されていなかった可能性はもっともらしい」と述べており、動物データそのものが否定されたとは書いていない4。
  • 💡 PALM007で全体死亡率が1.7%と過去の報告(2023年DRCの4.6%)を下回ったのは、薬ではなく入院と支持療法の効果である可能性が高い2。
  • 禁忌:カプセルには禁忌なし。⚠️ 静注は30 mL/分未満の重度に禁忌——そのものではなく、がで排泄されるためである1。
  • ⚠️ 静注では投与前にクレアチニンクリアランスを測り、投与中も監視する。 軽度〜中等度のでは慎重投与とし、腎毒性が疑われれば経口へのか他剤を検討する。2歳未満の小児でもの蓄積が懸念され、投与後に腎機能を確認する1。
  • ⚠️ 併用で低血糖。 相互作用試験では健常成人3010人(軽度6人・中等度4人)が低血糖を来した。血糖と低血糖症状を監視する1。
  • は血中濃度が下がるため効果を確認する。(、、、)はの曝露を上げる1。
  • ⚠️ 生ワクチン()とのは、でワクチンへの免疫応答を低下させうると示されている(ヒトでの臨床的影響は不明)1。
  • ⚠️ 耐性が実地で出ている。 高度免疫抑制下の382例の症例集積(うち62例が投与)では、3例で耐性が検査室で確認された7。

副作用

は健常者を対象としたもので、患者での安全性は検討されていない1。

頻度 内容
2%以上(カプセル、健常成人359人) 頭痛12%(8%)、悪心5%(4%)、腹痛2%(1%)、嘔吐2%(0%)1
4%以上(静注) 、頭痛1
2%未満だが臨床的に重要 異常、口渇・口唇乾燥、・、抑うつ・・・、・皮疹・1

⭐ PALM007では有害事象の頻度がと変わらなかった(72.9%対70.5%、重篤5.1%対5.0%)2。STOMPでもGrade 3以上の有害事象は群4%・プラセボ群3%だった3。⭐ EMAも2026年の再審査で新たな安全性の懸念は認められなかったとしている4。安全だが効かない、というのがこの薬の現在の姿である——⭐ 「危険だから使わない」のではなく「効かないから使わない」というである。

まとめ

  • のVP37エンベロープ形成蛋白を阻害し、細胞外へのの放出を止める。ウイルス複製そのものは止めない。
  • 米国の承認はAnimal Ruleによる。添付文書自身が「ヒトでは有効性が決定されていない」と明記し、有効性の根拠はサル・ウサギのデータだけである。
  • ⚠️ 4つの・プラセボ対照試験(PALM007/STOMP/UNITY/PLATINUM-UK)がいずれもを示せなかった。 STOMP(clade II、412例)は29日目の臨床的軽快が83%対84%、PALM007(clade I、597例)は病変消退までの7日対8日である。「承認されている=効く」と暗記しない。
  • ⚠️⚠️ 上の位置づけは3地域で違い、「欧米では」でまとめられない。 米国はもともとの適応が無くのみ、は2026年5月29日の欧州委員会決定での適応が取り消され(・・後合併症は体重13 kg以上で残る)、日本は2024年12月27日にテポックスとしてを含む適応で承認されている。⭐ の制限がに限られたのは、の臨床データが他の疾患へ外挿できるとは限らないためである。
  • 経口600 mg 12時間ごと14日間(120 kg以上は8時間ごと)。中〜の後30分以内に服用する。静注は内服不能時に限り、のためCCr 30 mL/分未満で禁忌。
  • 副作用は頭痛・悪心が中心では高い。併用で低血糖、は効果減弱に注意する。

出典

  1. 1.TPOXX (tecovirimat) capsules, for oral use; TPOXX (tecovirimat) injection, for intravenous use — Prescribing Information(DailyMed(U.S. National Library of Medicine)/SIGA Technologies・2025)openFDAのラベルAPI経由でSPL全文(effective_time 2025年12月31日)を確認した。米国の適応が体重3 kg以上の成人・小児における痘瘡(variola virus によるヒト天然痘)の治療に限られ、Limitations of Use に「適切な野外試験が実施不可能でヒトに天然痘を発症させて有効性を調べることは倫理的に許されないため、天然痘治療における有効性はヒトでは決定されていない」と明記されていること、免疫不全動物モデルで有効性が低下したことから免疫不全患者では有効性が減弱しうるとされること、TPOXXが「orthopoxvirus VP37 envelope wrapping protein の阻害薬」と規定されていること、有効性がカニクイザル(サル痘ウイルス感染)とニュージーランドホワイトウサギ(ラビットポックスウイルス感染)の動物有効性試験のみで確立され、皮膚病変出現後(感染後4日目)の投与開始で生存率がプラセボ0%に対し80〜100%へ改善した一方、サルで6日目に開始した群では有意差が出なかった(50%、p=0.1231)こと、経口用量が体重40 kg以上120 kg未満で1回600 mg 12時間ごと14日間・120 kg以上で1回600 mg 8時間ごと14日間、13〜25 kgで200 mg・25〜40 kgで400 mgを12時間ごと14日間であること、カプセルは中〜高脂肪の食事の後30分以内に服用すること、静注が3 kg以上に6 mg/kg(35〜120 kgでは200 mg、120 kg以上では300 mg)12時間ごと6時間かけて最長14日間であること、カプセルには禁忌がなく静注は賦形剤ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが糸球体濾過で排泄されるためクレアチニンクリアランス30 mL/分未満の重度腎機能障害患者に禁忌であること、警告がレパグリニド併用時の低血糖(健常者30人中10人が軽度〜中等度の低血糖を来した)とシクロデキストリン賦形剤の腎機能障害・2歳未満での蓄積であること、カプセルで2%以上に生じた副作用が頭痛12%・悪心5%・腹痛2%・嘔吐2%(プラセボはそれぞれ8%・4%・1%・0%)であること、テコビリマットがCYP3Aの弱い誘導薬・CYP2C8とCYP2C19の弱い阻害薬でありレパグリニドの血中濃度を上げミダゾラムの血中濃度を下げること、リン酸結合薬の併用でテコビリマットのバイオアベイラビリティが上がること、生ワクチン(ワクシニアウイルス)と同時併用すると動物ではワクチン免疫応答が低下しうること、代謝がアミド結合の加水分解とUGT1A1・UGT1A4によるグルクロン酸抱合で半減期が経口19時間・静注21時間であることを確認した。閲覧 2026-09-03
  2. 2.Tecovirimat for Clade I MPXV Infection in the Democratic Republic of Congo(New England Journal of Medicine(PALM007 Writing Group)・2025)Europe PMC経由で抄録を確認した(PMID 40239067)。テコビリマットが動物での有効性試験と健常人での安全性評価に基づいて欧州・米国で使用可能になっており、mpox患者での安全性・有効性の無作為化比較試験による裏づけが欠けていたこと、コンゴ民主共和国でclade I MPXV陽性のmpox患者597例(テコビリマット295例・プラセボ302例)を1対1に割り付けた二重盲検プラセボ対照試験で全例が支持療法を受けたこと、主要評価項目である皮膚病変消退までの期間中央値がテコビリマット7日・プラセボ8日、競合リスクハザード比1.13(95%CI 0.97〜1.31、P=0.14)であったこと、発症7日以内の開始(1.16、95%CI 0.98〜1.37)でも7日超の開始(1.00、95%CI 0.71〜1.40)でも同様であったこと、全体の死亡率が1.7%で2023年にDRCで報告された致死率4.6%を下回ったこと、14日目に血液・病変・中咽頭検体のPCR陰性化割合が両群で同様であったこと、有害事象がテコビリマット群72.9%・プラセボ群70.5%、重篤な有害事象が5.1%と5.0%であったこと、結論が「clade I MPXVによるmpox患者で病変消退までの日数を短縮しなかった。安全性の懸念は同定されなかった」であることを確認した。さらに Europe PMC(PMC12158442)で全文を取得し、抄録に無い次の2点を逐語で確認した。組入れ例は全例が入院している(All patients were hospitalized for 14 days of tecovirimat period, regardless of lesion status)。死亡率については While the level of care provided in PALM007 likely improved outcomes, it may not be easily provided in resource-limited and outpatient settings とあり、1.7%は58日時点の全死亡で実薬5/295・プラセボ5/302と両群同値である。閲覧 2026-09-03
  3. 3.Tecovirimat for the Treatment of Mpox(New England Journal of Medicine(STOMP/ACTG A5418 Study Team)・2026)Europe PMC の抄録(PMID 41740032・PMC13440037)で確認した。テコビリマットがFDAのAnimal Rule(動物有効性試験による承認制度)のもとで非ヒト霊長類のmpoxモデルでの有効性を根拠に痘そう治療薬として承認されており、ヒトのclade II mpoxに対する臨床的有効性は不明であったこと、検査で確定した成人のclade II mpoxを対象とした第3相・国際共同・二重盲検・プラセボ対照試験で2対1に割り付けて14日間経口投与したこと、無作為化された412例(テコビリマット275例・プラセボ137例)のうち344例が検査で確定し、活動性の皮膚または粘膜病変を有する336例が主解析に組み入れられたこと、主要評価項目である臨床的軽快の29日目までの推定累積発生割合がテコビリマット83%・プラセボ84%、競合リスクハザード比0.98(95%CI 0.74〜1.31、P=0.89)であったこと、ベースラインで重度の疼痛(0を疼痛なし・10を想像しうる最悪の疼痛とする尺度で7〜10)があった患者の疼痛軽減の群間差が0.1点(95%CI −0.8〜1.0)、病変の完全治癒の競合リスクハザード比が0.97(95%CI 0.75〜1.26)で、ウイルスDNAの陰性化にも実質的な群間差が無かったこと、Grade 3以上の有害事象がテコビリマット群4%・プラセボ群3%であったこと、結論が「成人のclade II mpoxにおいてテコビリマット治療が臨床的軽快までの時間を短縮し、疼痛を軽減し、あるいはウイルス排除を増加させたという証拠は示されなかった」であることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-07
  4. 4.EMA recommends restricting use of Tecovirimat SIGA — The medicine was not effective for the treatment of mpox in randomised clinical trials(European Medicines Agency・2026)欧州委員会の要請により開始されたRegulation (EC) No 726/2004 第20条の再審査についてのEMA文書(2026年6月1日付、EMA/59974/2026)のPDF全文で確認した。CHMPが2026年3月26日に「Tecovirimat SIGAはmpoxの治療にはもはや用いるべきでない」と勧告し、欧州委員会が2026年5月29日に全加盟国に適用される最終的な法的拘束力のある決定を出したこと、その結果Tecovirimat SIGAがEUにおいてmpoxの治療について承認を失ったこと、この制限が痘そう・牛痘・痘そうワクチン接種後の合併症(体重13 kg以上の成人および小児)の適応には及ばないこと、根拠が異なる地域で行われた4つの無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験(clade IIの流行を背景とするSTOMP・UNITY・PLATINUM-UK、コンゴ民主共和国でclade Iを背景とするPALM007)であること、原文が「おおむね免疫が保たれ活動性のmpox病変を有する患者において、検討された条件のもとで、4試験すべてで主要評価項目である病変の臨床的消退までの時間がプラセボに勝てなかった」と限定を付けて述べていること、疼痛軽減やウイルスDNAなどの副次評価項目でも優越性が示されなかったこと、PALM007では死亡が両群とも低く死亡に対する有益性は検出できなかったこと、承認時の動物試験では曝露から4日以内に開始した場合に有効性が示され、非ヒト霊長類でmonkeypoxウイルスの静脈内接種から6日目に開始すると生存率が50%(4日目は83%、無治療は0%)へ低下したこと、一方で臨床試験の投与開始は報告された発症からおよそ6〜9日後であり「患者が有効となるほど早期に治療されていなかった可能性はもっともらしい」と述べていること、4試験の成績の熟度がPALM007は最終成績・STOMPは主解析のみ・UNITYは要約成績・PLATINUM-UKは未公表原稿であったこと、新たな安全性の懸念は認められなかったこと、既に投与を開始した患者は治療を完了してよいとされたこと、「EUにはmpoxの活動性感染の治療に承認された他の医薬品は無い」と明記されていること、そしてTecovirimat SIGAが例外的状況下での承認(authorisation under exceptional circumstances)であったことを確認した。閲覧 2026-09-07
  5. 5.承認品目一覧(新医薬品:2024年4月~2025年3月)(独立行政法人医薬品医療機器総合機構・2025)2024年度の新医薬品承認品目一覧の第4回分に「2024.12.27 テポックスカプセル200 mg(日本バイオテクノファーマ㈱)承認 テコビリマト水和物」が収載され、効能・効果が「痘そう、エムポックス、牛痘、痘そうワクチン接種後のワクチニアウイルスの増殖による合併症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品と記載され、【迅速審査】の指定が付されていることを確認した。閲覧 2026-09-03
  6. 6.Mpox therapeutics in the post-STOMP/PALM era(Current Opinion in HIV and AIDS・2026)テコビリマットが流行期を通じて人道的使用で広く投与されてきたにもかかわらず臨床的有効性の証拠が無いこと、複数の第3相プラセボ対照試験(STOMP・PALM007)がいずれもmpox治療におけるテコビリマットの臨床的有効性を示せなかったこと、およびSummaryが「テコビリマット・ブリンシドフォビル・シドフォビル・トリフルリジン・VIGIVを含む現行の治療推奨(current treatment recommendations)の根拠と、それ以外の研究段階の治療(other investigational treatments)をまとめる」と述べていることを、Europe PMC の抄録で確認した。⚠️ 全文はOvidの購読制で取得できず、抄録はこれら5剤を investigational treatments と切り分けている閲覧 2026-08-26
  7. 7.Mpox in people with advanced HIV infection: a global case series(The Lancet・2023)Europe PMC経由で抄録を確認した(PMID 36828001)。19か国の臨床医ネットワークが2022年5月11日〜2023年1月18日に集めたCD4陽性細胞数350/mm³未満のHIV感染者のmpox 382例の症例集積で、382例中62例(16%)がテコビリマットの投与を受け、7例(2%)がシドフォビルまたはブリンシドフォビルの投与を受けたこと、3例でテコビリマット耐性が検査室で確認されたことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03