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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

シドフォビル

cidofovir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(EU)
Vistide
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
禁忌疾患
慢性腎臓病
標的微生物
CytomegalovirusMolluscum contagiosum virus
監視検査値
クレアチニン好中球減少
影響検査値
クレアチニン好中球減少
相互作用
プロベネシド
対象疾患
出血性膀胱炎
原因となる疾患
Fanconi症候群

🧠 全体像の存在理由は一点に尽きる——ウイルス側の酵素による活性化(リン酸化)を必要とせずにウイルスDNAポリメラーゼを直接阻害すると並ぶ数少ない薬である。この性質のおかげで幅広いDNAウイルス(CMV、そしてを含むなど)に効きうるが、代償は極めて強い腎毒性。だからこそに限定され、のような他疾患への使用は難治例に限ったにとどまる。「効く範囲は広いが、使える場面は狭い」という薬である。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 活性化 対象 弱点
CMV系(型) (バル) CMV で活性化 CMV UL97変異で耐性化。骨髄抑制
キナーゼ非依存型 不要(リン酸化なしで 耐性HSV・耐性CMV 腎毒性・電解質異常
キナーゼ非依存型( 不要(すでにリン酸化された構造で細胞内キナーゼのみで活性化) 、適応外で難治性感染症など 強い腎毒性併用が必須)

は「ウイルス側の活性化酵素が要らない」という一点で共通するが、化学構造は異なる。 であり、すでにを持つ構造のため、ウイルスのによる最初のリン酸化ステップを省略できる(宿主細胞のキナーゼだけで活性化できる)。アナログで、そもそもリン酸化という概念自体が要らない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cidofovir'>シドフォビル</span>(すでに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phosphate group'>リン酸基</span>を持つ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleotide analogue'>ヌクレオチドアナログ</span>)"] --> B["宿主細胞のキナーゼのみで<br>活性型二リン酸体へ変換<br>(ウイルス酵素は不要)"]
    B --> C["ウイルスDNAポリメラーゼの基質として<br>新生DNA鎖に取り込まれる"]
    C --> D["DNA鎖の伸長を停止させる"]
    D --> E["ウイルスDNA複製が阻害される"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>への能動的取り込みが強い"] --> G["尿細管細胞内に高濃度で蓄積"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal tubular epithelium'>尿細管上皮</span>の障害→強い腎毒性"]

💡 腎毒性の理由は「効き方」ではなく「排泄経路」にある。 の輸送体で能動的に取り込まれるため、血中濃度以上に尿細管細胞内で高濃度になり障害を起こす。はこの尿細管への能動分泌をに阻害し、腎毒性を軽減するために必ず併用する——単なる相互作用の注意ではなく、投与プロトコルの必須要素である。

薬物動態

項目 値・特徴
での用法)
活性化 宿主細胞キナーゼのみで活性化(ウイルス酵素は不要)
排泄 が主体への能動的取り込みが腎毒性の根拠)
必須併用薬 による前後の

適応

領域 使いどころ
AIDS患者のCMV網膜炎
適応外(難治例) による難治性・広範囲病変(免疫不全患者)——局所(1〜3%)・・静注のいずれの経路でも症例報告あり1
適応外(耐性HSV等) アシクロビル耐性HSV、耐性CMVなど、他の抗ウイルス薬が無効な難治例

💡 はほとんどの症例で自然消退するため、の出番はごく限られる。 免疫正常者ではなどで足りるが、進行したHIV感染などで難治性・びまん性の病変となった例に限り、他の治療に反応しない場合の選択肢として検討される。

用法・用量

)の標準レジメンとして5 mg/kgを週1回、2週間静注し、その後維持療法として5 mg/kgを2週間に1回投与する。投与のたびに、以下のによるが必須である2

プロトコル要素 内容
(合計4 g) 開始3時間前に2 g終了2時間後に1 g終了8時間後に1 g
前に0.9%1 Lを1〜2時間かけて投与(があれば2本目の1 Lを開始時または終了後に1〜3時間かけて追加)

⚠️ の3回のうち後の2回は「投与前」ではなく「終了後」である。 「前・中・後」ではなく「3時間前/終了2時間後/終了8時間後」と時点で覚える。

などでは、局所・内・静注いずれかの経路が症例に応じて選択され、静注では5 mg/kgを週1回、その後2週おきという報告例がある1。実際の用量・投与法は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ 添付文書のは4項目からなる2。1本ではないことに注意する。

# の内容
1 腎障害が最大の毒性——わずか1〜2回の投与でも透析を要する・死亡に寄与した例がある。腎毒性を減らすためによる前負荷との併用を毎回必ず行う。投与ごとに直前48時間以内にと尿蛋白を測定し、腎機能の変化に応じて減量・中止する。他のを併用している患者には禁忌
2 好中球減少が報告されており、投与中は好中球数をモニタリングする
3 適応はAIDS患者のの治療に限られる
4 発癌性・催奇形性が示され、精子減少が生じた
  • 禁忌:ベースラインの腎障害(>1.5 mg/dL、≦55 mL/分、尿蛋白≧100 mg/dLのいずれか)がある患者2
  • 禁忌:他のの併用、本剤またはへの過敏症、眼内への直接注射
  • ⚠️ 投与のたびに、投与直前48時間以内にクレアチニン・尿蛋白を確認し、腎機能の変化に応じて減量・中止を判断する(投与後ではなく投与前の確認である点に注意)
  • ⚠️ 好中球減少の報告があり、好中球数のモニタリングを要する

副作用

頻度 内容
高頻度 腎機能低下の徴候(蛋白尿など)、悪心・嘔吐(併用による影響も含む)
注意 好中球減少、代謝性アシドーシス
重篤・まれ (透析・死亡に至る例あり)様の低下・ぶどう膜炎(時)

まとめ

  • ウイルス側の活性化酵素を必要とせず、宿主細胞キナーゼのみでウイルスDNAポリメラーゼを阻害すると並ぶキナーゼ非依存型抗ウイルス薬
  • はAIDS患者ののみ。の難治例などへの使用は適応外であり、免疫不全患者の広範囲・難治性病変に限って検討される。
  • への能動的取り込みが強い腎毒性の根拠——わずか1〜2回の投与でもを起こしうる。は4項目(腎障害+必須の併用の禁忌/好中球減少/適応の限定/動物での発癌性・催奇形性・精子減少)。
  • (3時間前2 g、終了2時間後1 g、終了8時間後1 g)+1 Lの前負荷が投与のたびに必須。 単なる相互作用ではなく投与プロトコルの一部で、に明記されている。
  • クレアチニン・尿蛋白は投与ごとに、好中球数も定期的にモニタリングする。ベースラインの腎障害があれば禁忌。

出典

  1. 1.VISTIDE (cidofovir injection) — Prescribing Information(FDA / DailyMed・1996)米国初回承認年(1996年)、枠組み警告が4項目(腎障害と必須の生理食塩水前負荷・プロベネシド併用および腎毒性薬併用の禁忌、好中球減少、適応がAIDS患者のCMV網膜炎に限られること、動物実験での発癌性・催奇形性・精子減少)からなること、腎機能・尿蛋白に関する禁忌基準(血清クレアチニン>1.5 mg/dL、クレアチニンクリアランス≦55 mL/分、尿蛋白≧100 mg/dL)、導入・維持投与量(5 mg/kg週1回×2週間、以後2週間ごと)、プロベネシドの投与スケジュール(点滴3時間前に2 g、終了2時間後に1 g、終了8時間後に1 g、合計4 g)と生理食塩水1 Lを1〜2時間かけた前負荷閲覧 2026-08-10
  2. 2.Cidofovir for the Treatment of Molluscum Contagiosum Virus(Viruses (journal)・2022)局所(1〜3%クリーム)・病巣内・静注のいずれの投与経路でも免疫不全患者(特にHIV/AIDS)の難治性伝染性軟属腫に有効であった症例報告・パイロット試験のまとめ閲覧 2026-08-10