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Drug Atlas · C7 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

アデホビル ジピボキシル

adefovir dipivoxil

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
科目
PharmacologyMedical Microbiology
トピック
C7: Agents against hepatitis viruses3/8: Chemoprophylaxis and treatment of viral diseases
標的微生物
B型肝炎ウイルス

🧠 全体像: ジピボキシルは、・と同じ非環状ホスホネート族に属するB型肝炎治療薬で、経口吸収を高めるためにピボキシルしたという設計は ジソプロキシルと同じ発想である。かつて耐性に対する数少ない選択肢として使われたが、低い(長期投与で rtN236T・rtA181V/T 変異による耐性化)と腎毒性()という弱点のため、より強力での高い・に第一選択の座を譲った「世代交代を体現する薬」として位置づけると理解しやすい。

薬効群の中での位置づけ

項目 ジピボキシル 参考: 参考:
化学的分類 非環状ホスホネート() 非環状ホスホネート() 環状アナログ
低い(rtN236T、rtA181V/T) 高い 高い(既治療例では低下)
腎毒性 あり() あり(TDFで相対的に高頻度) 目立たない
現在の位置づけ 第一選択から外れた旧世代薬 第一選択 第一選択

⭐ とは同じ非環状ホスホネートでありながら、も腎毒性の頻度も対照的に語られる。 はより先に開発された低用量(10mg/日)の薬剤で、抗ウイルス自体が相対的に弱いために低用量にとどまり、それがの低さにもつながっている1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adefovir'>アデホビル</span> ジピボキシル<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral prodrug'>経口プロドラッグ</span>、ピボキシルエステル)"] --> B["加水分解を受け<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adefovir'>アデホビル</span>に変換"]
    B --> C["宿主細胞のキナーゼにより<br>2段階のリン酸化を受け<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='adefovir'>アデホビル</span>二リン酸へ"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatitis B virus'>HBV</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>ポリメラーゼ(逆転写酵素)の<br>基質として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に取り込まれる"]
    D --> E["新生<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>鎖に取り込まれると<br>3'-OHを欠くため次のヌクレオチドが結合できない"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>鎖の伸長が止まる<br>(chain termination)"]

💡 はアデノシン一リン酸(AMP)の非環状アナログである。 リン酸1個分に相当するホスホネート基(P–C結合)を最初から持つため、通常ののような3段階のリン酸化ではなく2段階で活性型に到達でき、ウイルス側の酵素に依存しない2。この点は・と共通する。

⚠️ 「」と「 ジピボキシル」は別物である。 が低い本体をそのまま服用しても吸収されにくいため、ピボキシルエステルを付加した( ジピボキシル)としてし、体内で加水分解を受けてから初めてリン酸化のサイクルに入る2。

薬物動態

項目 内容
経口(として吸収後、体内で加水分解)
活性化 宿主細胞キナーゼによる2段階のリン酸化のみ(ウイルス酵素は不要)。活性型は二リン酸2
排泄 が主体(+)。腎機能に応じた調整が必須3

適応

12歳以上で活動性の証拠がある慢性B型肝炎3。

⚠️ 現在はではない。 低いと腎毒性のため、AASLDガイダンスは・・のような低のを第一選択として推奨せず、・(TDF/TAF)を第一選択のとして推奨している1。かつては耐性への追加投与という位置づけで用いられていたが、より強力での高い薬剤が普及した現在は臨床での使用機会が乏しい。

用法・用量

50 mL/分以上 10mgを24時間ごと
30〜49 mL/分 10mgを48時間ごと
10〜29 mL/分 10mgを72時間ごと
患者 透析後に10mgを7日ごと

標準用量は10mg 1日1回だが、上表のとおり腎機能に応じて投与間隔を延長する(1回量を減らすのではない点に注意)3。

禁忌・注意

⚠️ が4系統ある3。

  • ・重度のを伴う(死亡例を含む)——製剤に共通する。
  • B型肝炎治療中止後の重度の——投与中止後は肝機能を綿密にモニタリングする。
  • 腎毒性——リスクのある患者へので生じうる。が中心。
  • での耐性化リスク——未診断・未治療の感染患者にを単剤で用いると、にも部分的な活性を持つため耐性が誘導されうる。/が疑われる患者では事前に感染の有無を確認する。

⭐ 長期投与では(rtN236T、rtA181V/T)が生じうる。 これがのの低さの実体であり、第一選択から外れた最大の理由の一つである1。

副作用

脱力感・頭痛・腹痛・下痢・悪心・・に加え、腎毒性を反映した血中クレアチニン上昇・が主な副作用として記載される3。

まとめ

  • ⭐ ・と同じ非環状ホスホネートで、ホスホネート基(P–C結合)によりウイルス酵素非依存の2段階リン酸化で活性化する。
  • 経口吸収を高めるための(ピボキシルエステル)であり、体内で加水分解されてからリン酸化される。
  • ⚠️ は/B型(中止後)/腎毒性/での耐性化の4系統。
  • 性のため、に応じてを調整する(1回量ではない)。
  • 低い(rtN236T、rtA181V/T)と腎毒性のため、現在は・に第一選択の座を譲った旧世代薬という位置づけで理解する。

出典

  1. 1.Update on Prevention, Diagnosis, and Treatment of Chronic Hepatitis B: AASLD 2018 Hepatitis B Guidance(Hepatology (AASLD)・2018)表1はラミブジン・アデホビル・テルビブジンを "Non-Preferred" に分類し、耐性の遺伝学的障壁が低いことを理由に挙げる。⚠️ 一方で preferred 側は逐語 "Tenofovir alafenamide joins the list of preferred HBV therapies, along with entecavir, tenofovir disoproxil fumarate (TDF), and peginterferon (peg-IFN)" であり、**ペグインターフェロンを含む4剤**である(エンテカビルとテノホビルの2剤ではない)。⚠️ この2018年版は逐語 "without formal systematic review or use of the Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation system" と述べ、推奨の強さやエビデンスの質の格付けを持たない閲覧 2026-09-08
  2. 2.Clinical Potential of the Acyclic Nucleoside Phosphonates Cidofovir, Adefovir, and Tenofovir in Treatment of DNA Virus and Retrovirus Infections(Clinical Microbiology Reviews・2003)PMCのHTML全文(PMC207110)で確認した。アデホビル(PMEA)はシドフォビル(HPMPC)・テノホビル(PMPA)と同じ非環状ヌクレオシドホスホネートであり、P–C結合のホスホネート基を持つためエステラーゼで切り離されず、活性化に必要なリン酸化が3段階ではなく2段階で足りウイルス誘導性キナーゼに依存しないこと。アデホビルの経口バイオアベイラビリティが低いためピボキシルエステル化した経口プロドラッグ(アデホビル ジピボキシル)にされていること。アデホビルの二リン酸体への変換は5-ホスホリボシル-1-ピロリン酸合成酵素またはAMP(dAMP)キナーゼの働きで達成されること閲覧 2026-09-08
  3. 3.HEPSERA (adefovir dipivoxil) tablet — Prescribing Information(FDA / DailyMed・2009)DailyMedのSPL(設定ID 80595d45-…、改訂表示2009年10月27日)で確認した。枠組み警告は、核酸アナログ製剤に共通する乳酸アシドーシス・重度の肝腫大を伴う脂肪肝(死亡例を含む)、B型肝炎治療の中止後に生じうる重度の急性増悪、腎機能障害リスク患者への慢性投与による腎毒性、未診断・未治療のHIV重複感染患者でHIV耐性が出現しうることの4点。適応は活動性ウイルス複製の証拠がある12歳以上の慢性B型肝炎。用法は10mg 1日1回経口で、クレアチニンクリアランスに応じて投与間隔を調整する(50 mL/分以上は24時間ごと、30〜49は48時間ごと、10〜29は72時間ごと、血液透析患者は透析後に7日ごと)。作用機序はアデノシン一リン酸の非環状ヌクレオチドアナログであり、細胞キナーゼにより活性代謝物アデホビル二リン酸へリン酸化され、これがHBV DNAポリメラーゼを阻害するという記載。主な副作用は脱力感・頭痛・腹痛・下痢・悪心・消化不良・腹部膨満感・血中クレアチニン上昇・低リン酸血症閲覧 2026-09-08