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Drug Atlas · C7 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

エンテカビル

entecavir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
バラクルード
商品名(EU)
Baraclude
科目
Pharmacology
トピック
C7: Agents against hepatitis viruses
標的微生物
B型肝炎ウイルス (HBV)
副作用
頭痛悪心
監視検査値
クレアチニン
対象疾患
ウイルス性肝炎急性肝不全結節性多発動脈炎膜性増殖性糸球体腎炎

🧠 全体像は、と並ぶHBVの現行で、両者を分けるのは「の高さ」と「HIVへの活性の有無」の2点である。類似体としてHBVポリメラーゼ(逆転写酵素)を直接止める点はと同じだが、HCV DAAのように「治す」薬ではなく「抑える」薬であることが最大の前提になる——ウイルスの複製鋳型であるcccDNAを排除できないため、多くの患者で治療は長期・実質的に無期限に続き、自己判断での中止はの引き金になる。

薬効群の中での位置づけ

世代・特徴 代表薬 使い分け
世代 低い(単剤で年間60〜70%が5年内に耐性化) 現在は新規の単剤開始をしない。過去のが後続薬の効きを左右する「起点」として重要
世代 高い(治療未経験例で年間耐性率1%未満) 現行ガイドラインの第一選択の二本柱

「高」はな性質ではなく、既往歴に左右される。 が必要とする耐性獲得には複数の変異の同時蓄積が必要だが、耐性歴がある患者ではその変異の一部が既に揃っているため、単剤でもが大きく崩れる)。この場合はが優先される。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='entecavir'>エンテカビル</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanosine'>グアノシン</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleoside'>ヌクレオシド</span>類似体)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='in the hepatocyte'>肝細胞内</span>でリン酸化を受け<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='triphosphate form'>三リン酸型</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>)へ変換"]
    B --> C["HBVポリメラーゼ(逆転写酵素)に対し<br>①<span class='jp-term jp-term-diagram' title='priming'>プライミング</span>反応<br>②mRNAからの(−)鎖DNA合成(逆転写)<br>③(−)鎖からの(+)鎖DNA合成<br>の3段階すべてを阻害"]
    C --> D["dGTPと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に取り込まれ<br>DNA鎖の伸長が止まる(chain termination)"]
    D --> E["HBV DNA複製が強く抑制される"]

💡 が1段階(chain termination)のみを主に止めるのに対し、はHBV逆転写の複数段階に作用する。 この多段階阻害が、の高い抗ウイルスの一因とされる。

薬物動態

項目 値・特徴
高い。ただし食事で吸収が低下するため空腹時(食前2時間・食後2時間を避ける)に服用
代謝 ほとんどを受けない
排泄 が主体を含む)。腎機能低下でが必要
半減期 血漿中は短いが、細胞内の半減期は長く1日1回投与が成立する

適応

領域 使いどころ
慢性B型肝炎 HBV DNA量・ALT・線維化・年齢などを踏まえて適応を判断する第一選択の一つ。と並ぶ高
急性B型肝炎の重症・劇症化 通常の急性B型肝炎は支持療法のみだが、重症化・へ進む例ではまたは)を開始する
HBV関連疾患の周辺管理 HBV関連など、免疫と並行してHBV複製を抑える目的でも使われる

⚠️ HIV感染を合併し(ART)を受けていない患者への単独投与は避ける。 は弱いながらHIV逆転写酵素にも活性を持つため、HIV/HBV例に本剤単独を使うとHIVの(M184V)を選択してしまうリスクがある。この場合はを含む完全なART併用レジメンの中で管理する。

用法・用量

治療未経験の慢性B型肝炎では通常成人量0.5mgを1日1回、空腹時にする。抵抗性・耐性例やでは1mgへ増量する。腎機能低下ではCrClに応じてを延ばす。 実際の用量・治療期間は・HBe抗原の状態・妊娠の可能性などで大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • が主体のため、CrClに応じたが必須
  • ⚠️ HIV/HBVで、ART未施行のままの単独投与は避ける(HIV選択のリスク、上記「適応」参照)
  • ⚠️ 自己判断での中止・治療脱落に注意。 cccDNAを排除できないため、投与中止後に重症の、まれに肝不全)が起こりうる。中止を検討する場合は専門医の判断のもとで血清学的指標(HBe抗原、HBs抗原量など)を確認し、中止後も慎重にフォローする
  • 過去に耐性の既往がある場合はが低下するため、への変更を検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛、疲労感、めまい、悪心(いずれもと大差ない程度では高い)
注意 血清クレアチニン上昇(腎機能モニタリングの対象)
重篤・まれ ・重度のを伴うクラス共通の)、投与中止後の

まとめ

  • HBVポリメラーゼ(逆転写酵素)を阻害する類似体。と並ぶ現行
  • 「治す」薬ではなく「抑える」薬。cccDNAは排除できず、多くの例で長期・無期限投与になる。
  • は高いがではない。 耐性歴があるとでバリアが崩れる。
  • ⚠️ HIV/HBVでART未施行のまま単独投与すると、HIVにM184Vを誘導しうる。
  • 空腹時服用、腎機能に応じたが必要。
  • ⚠️ 中止は重症のを招きうる。 自己判断で中断させない。
  • は高く、副作用の多くはと大差ない頻度にとどまる。