薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

ラミブジン

lamivudine

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
エピビルゼフィックス
商品名(EU)
EpivirZeffix
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1HIV-2B型肝炎ウイルス
副作用
頭痛悪心
対象疾患
HIV感染症・AIDS

🧠 全体像(3TC)はNRTIの中でも指折りにが高く相互作用の少ない薬だが、二つの点で試験に頻出する。一つはHIVとB型肝炎ウイルス(HBV)の両方に活性を持つこと——同じ「逆転写酵素を止める」という発想がウイルスであるHIVと、逆転写を複製環に含むHBVの両方に通用する。もう一つは耐性への遺伝子的バリアが低いことで、HIV側もHBV側も単一変異(それぞれM184V、YMDDモチーフの変異)で高度耐性が生じる。この低いバリアは弱点であると同時に、力を落とす・他のNRTIへの感受性を保つという副次効果もあり、との2剤レジメンで積極的に使われる根拠にもなっている。

薬効群の中での位置づけ

半減期・投与 現在の主な役割
は短いが1日1回投与が可能 との2剤レジメン、HIV/HBV、HBV単独感染(低用量の別製剤)
がより長い 現行の単剤配合錠(PrEP・治療とも)で選ばれることが多い

同じHBV活性を持つ薬でも「HIV感染の有無」で使う用量・製剤が変わる。 HIV感染がない患者のB型治療には低用量の専用製剤(ゼス、1日100mg)を使うが、HIV/HBVの患者にこの低用量を使うと、HIVに対しては事実上の低用量になり急速にHIV耐性を誘導してしまう。 では必ずHIV治療量(1日300mgまたは150mg×2)で、他の抗HIV薬と併用する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lamivudine'>ラミブジン</span>が細胞内で<br>リン酸化され<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lamivudine'>ラミブジン</span>三リン酸に活性化"] --> B["HIV逆転写酵素またはHBVポリメラーゼが<br>dCTPの代わりに取り込む"]
    B --> C["3'-OHを欠くため<br>次のヌクレオチドが結合できない"]
    C --> D["DNA鎖の伸長が止まる"]
    E["HIVもHBVも複製環に<br>逆転写のステップを持つ"] -.->|"同じ機序が両方に通用する"| B

薬物動態

項目 値・特徴
高い(約80〜85%)
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 主に(未変化体)。腎機能低下でが必要
相互作用 CYPをほとんど介さないため、薬物相互作用は少ない部類

適応

領域 使いどころ
HIV治療 の構成要素。との2剤レジメンにも使われる
B型(HIV非感染) 低用量の専用製剤で単独使用することがあるが、の低さから現在はが優先されることが多い
HIV/HBV HIV治療量で他の抗HIV薬と併用し、両方をカバーする

用法・用量

HIV感染に対しては通常成人量1日1回300mg(または1回150mgを1日2回)。B型単独(HIV非感染)には低用量の専用製剤(1日100mg)を用いる。この二つを混同しない。 腎機能低下例では・用量を調整する。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ HIV/HBVで、を含むレジメンを中止・変更する際は要注意。 HBVに対する抑制効果が急になくなると、重症の(フレア)を起こすことがある。中止する場合は肝機能を密にモニタリングする
  • HIV治療量とHBV単独治療量を混同しない。 にHBV用の低用量を使うと、HIVに対して事実上の単剤低用量療法となり急速に耐性を招く
  • NRTIクラス共通:まれにによるを伴うを起こす
  • 小児で膵炎の報告がある

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛感、悪心
注意 (NRTIクラス共通のまれな
重篤・まれ HIV/HBVでの中止後の、小児での膵炎

まとめ

  • のNRTI。HIV逆転写酵素とHBVポリメラーゼの両方をchain terminationで止める数少ない「二刀流」の薬。
  • HIV・HBVいずれに対しても耐性への遺伝子的バリアが低く、単一変異(M184V/YMDDモチーフ変異)で高度耐性が生じる。
  • HIV治療量とHBV単独治療量は別製剤・別用量——で低用量を使うとHIV耐性を招く。
  • ⚠️ HIV/HBVを中止・変更するときはのリスクに注意し、肝機能をモニタリングする。
  • CYPをほとんど介さず相互作用が少ない、の高いNRTI。
  • とはほぼ同じ機序・スペクトラムを持つ「きょうだい」の関係にある。