薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

レナカパビル

lenacapavir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
シュンレンカ
商品名(EU)
Sunlenca
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1
副作用
悪心頭痛
対象疾患
HIV感染症・AIDS

🧠 全体像は、これまでの抗HIV薬がどれも「複製環の1段階だけ」を止めていたのに対し、(p24を主体とする円錐形の殻)に結合して複数の段階を同時に邪魔するという点で一線を画す第一号のである。加えて半減期が数週間単位と極めて長く、皮下注射で半年に1回という抗HIV薬史上最長のを実現した。2022年に多剤耐性HIVの治療薬として承認され、2025年にはにも適応が拡大し、年2回の注射だけで高い予防効果を示したことから、PrEPの実践を大きく変えつつある薬として注目されている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lenacapavir'>レナカパビル</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capsid'>カプシド</span>蛋白の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hexamer'>六量体</span>(ヘキサマー)に結合"] --> B1["①ウイルス粒子の組み立て・出芽時:<br>正しい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capsid'>カプシド</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='grating'>格子</span>が形成されない"]
    A --> B2["②新規感染細胞への侵入後:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='capsid'>カプシド</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uncoating'>脱殻</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear import'>核内輸送</span>が阻害される"]
    B1 --> C1["異常な形態の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-infectious'>非感染性</span>ウイルス粒子ができる"]
    B2 --> C2["逆転写・核内への<br>ウイルスDNA輸送が進まない"]
    C1 --> D["複製環の**複数段階**が<br>同時に止まる"]
    C2 --> D

💡 「複数段階で効く」ことが、が多剤耐性HIVでも活性を保ちやすい理由の土台になっている。 NRTI・NNRTI・INSTI・PIはいずれもウイルスの単一酵素を標的にするため、その酵素に変異が入れば効果を失う。という構造そのものを狙うは、他クラスへのとは独立した弱点を突く。

薬物動態

項目 値・特徴
導入 経口錠を1・2・8日目に投与(ローディング)
維持 その後皮下注射を6か月ごと
半減期 数週間単位。この長さが半年間隔の投与を可能にしている
代謝 CYP3A4基質。強いリファンピシンなど)は避ける——長期間の曝露を支えるが誘導によって崩れると、低い血中濃度が長く続き耐性化リスクが高まる
蛋白結合 非常に高い

適応

状況 使いどころ
治療 多剤耐性HIV-1感染で、最適化された背景治療を組んでもなお十分抑制できない・組めない成人(
HIV陰性で継続的な曝露リスクがある人への年2回の皮下注射のみという、現時点で最もの長いPrEPの選択肢(2025年承認)

U=U(Undetectable = Untransmittable)とPrEPは、現在のHIV予防戦略の両輪である。 治療中の患者側でウイルス量を未満に保てば性的伝播はほぼ起こらない(U=U)一方、HIV陰性者側の予防としてはのようなが、毎日の内服が難しい人々のの壁を下げつつある。

用法・用量

導入は経口錠を1日目・2日目・8日目に投与し、以後は腹部への皮下注射を6か月ごとに継続する。次回投与が大きく遅れる見込みがある場合はへのを検討する。実際のスケジュールは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 強いCYP3A4(リファンピシンなど)とは併用しない。 長期間の低い曝露が続き、を選択するリスクが高まる
  • ⚠️ 注射部位反応(結節・紅斑・疼痛)が高頻度。 皮下デポとして長期間残るため反応も長引きやすい
  • と同様、投与を中断・延期した後も低い血中濃度が長く続く“テール”の存在に注意し、その間のHIV曝露は耐性化リスクを高める

副作用

頻度 内容
高頻度 注射部位反応(結節・紅斑・疼痛)、悪心
注意 頭痛
重篤・まれ 肝毒性、治療開始例での

まとめ

  • 第一号の蛋白のに結合し、ウイルス組み立て時と侵入後の機能の両方を同時に阻害する。
  • 半減期が数週間単位と極めて長く、経口導入後は皮下注射を半年に1回で維持できる。
  • 2022年に多剤耐性HIVの治療薬として承認、2025年にはPrEP(年2回注射)にも
  • リファンピシンなど強いCYP3A4とは併用しない。中断後の低濃度持続(テール)はと同様の注意点。
  • としてU=Uと並び、現在のHIV予防戦略を形作る中心的な選択肢になりつつある。