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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

リファンピシン

rifampicin

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
リファジン
商品名(EU)
Rifadin
科目
Pharmacology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs
標的微生物
Mycobacterium tuberculosisMycobacterium lepraeNeisseria meningitidis
副作用
黄疸発熱
影響検査値
ビリルビン
相互作用
アキシチニブアトバコンアバトロンボパグアバプリチニブアピキサバンアフィカムテンアメナメビルイストラデフィリンイバカフトールイリノテカンエスゾピクロンエチニルエストラジオールエチニルエストラジオール+レボノルゲストレルエドキサバンエトラビリンエラバサイクリンエルロチニブカスポファンギンカボテグラビルセルペルカチニブダビガトランエテキシラートチボザニブナルデメジンパゾパニブフシジン酸プラジカンテルプラルセチニブフルコナゾールベダキリンボリコナゾールマシテンタンマラビロクメタドンリトナビルリナグリプチンリバロキサバンリプレチニブルラシドンワルファリン
対象疾患
Parinaud眼腺症候群ハンセン病ブルセラ症リンパ管炎レジオネラ症化膿性汗腺炎化膿性肩峰下滑液包炎化膿性仙腸関節炎感染性心内膜炎結核結核腫結核性脊椎炎結節性血管炎骨髄炎細菌性髄膜炎進行性家族性肝内胆汁うっ滞症人工関節感染髄膜炎菌感染症腸腰筋膿瘍頭部解離性蜂窩織炎妊娠性肝内胆汁うっ滞症非結核性抗酸菌症毛包炎性脱毛症
原因となる疾患
バンコマイシン注入反応ポルフィリン症急性・慢性尿細管間質性腎炎薬剤性胆汁うっ滞

🧠 全体像:リファンピシンは第一選択RIPEの「R」であり、依存性ポリメラーゼを止めてを殺すの強さそのものよりも、強力なという上の性格が臨床上の存在感を決めている。結核治療がしばしば「他の慢性疾患の薬をどう管理するか」という問題に化けるのは、この誘導作用のせいである。体液(尿・涙・汗・便)が橙赤色に染まるという無害だが印象的な副作用も、この薬を覚える取っ掛かりになる。

薬効群の中での位置づけ

リファンピシンはの代表薬で、同系統には半減期を延ばして服薬回数を減らした誘導体がある。

薬剤 特徴 使い分け
リファンピシン 半減期約2〜5時間、誘導が最も強い RIPEの標準治療、、髄膜炎菌予防
半減期が長く誘導が弱い 感染者など強い相互作用を避けたい場面(・との併用)
半減期がさらに長い 週1回投与を活かした短期レジメン(3HP・4か月レジメンの一部)

⭐ RIPEの中でリファンピシンだけが「結核以外の適応」を複数持つ。 の標準治療(リファンピシン++)、髄膜炎菌・H. influenzae b型の、人工関節・での対策としての併用、さらにの難治性掻痒に対するなど、の枠を超えて使われる。

機序

flowchart TD
    A["リファンピシンが細菌の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>依存性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>ポリメラーゼ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta subunit'>βサブユニット</span>に結合"] --> B["プロモーターからの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcription initiation'>転写開始</span>を阻害"]
    B --> C["mRNA合成が止まる"]
    C --> D["蛋白合成ができず<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>に作用"]
    E["肝細胞核内のpregnane X受容体(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pregnane X receptor'>PXR</span>)を活性化"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>など多数の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450'>CYP</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='P-glycoprotein (P-gp)'>P-糖蛋白</span>の<br>発現を強力に誘導"]
    F --> G["併用薬の代謝・排出が促進され<br>血中濃度が下がる"]

ヒトのポリメラーゼには作用しないためが成り立つ。細胞内外どちらの菌にも到達しやすく、細胞内寄生するに対しても有効という点がと並ぶ強みになる。

💡 誘導は「酵素蛋白の量そのものを増やす」ため、効果が出るまでに数日、消えるまでに1〜2週間かかる。 阻害薬のように併用開始・中止の翌日から効くわけではなく、開始・中止のタイミングをずらしてもすぐには影響が消えない点が臨床上の落とし穴になる。

薬物動態

項目 値・特徴
良好。空腹時投与で吸収が最大化される(食事で遅延)
分布 脂溶性が高く良好。髄液へも炎症時に到達しに使える
代謝 肝で。(投与を続けると自身の代謝も速まり血中濃度が下がっていく)
排泄 主に胆汁排泄(あり)。一部
半減期 約2〜5時間だが、強い誘導作用ゆえに臨床的な影響は半減期以上に長引く

⭐ 胆汁排泄が主体という点がリファンピシンの立ち位置を決める。 腎機能低下例でもが原則不要な数少ないであり、腎障害患者のRIPEレジメンではリファンピシンとは標準量のまま、・の調整が主眼になる。

適応

領域 使いどころ
結核 RIPEレジメンの中核(第一選択)。を含むにも用いる
標準MDT(6か月・12か月)で・と併用
曝露後予防 髄膜炎菌によるの、H. influenzae b型髄膜炎の家庭内(小児)への
骨・ 人工関節など関連の骨髄炎で、へのを活かし他剤と併用
呼吸器 重症でに反応しない難治例に限り併用を検討(原則は不要)
産科 で単独では制御できない難治性掻痒への

用法・用量

結核治療:にRIPEレジメンの一部として体重換算で1日1回、空腹時(食前1時間または食後2時間)にする。髄膜炎菌予防:成人には短期間の高用量を用いる。:標準MDTでは月1回のが基本。実際の用量・期間は適応・年齢・体重・肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:重度肝障害(・肝硬変)、過敏症
  • ⚠️ 強力な・CYP2C9誘導が処方全体を狂わせる。 誘導は(・・等)の血中濃度を大きく下げるためとされ、CYP2C9誘導は(S)-ワルファリンの血中濃度を下げる1。経口避妊薬(低下のため代替避妊法の検討が必要)2・()・その他多くの(一部の)の効果も減弱させるため、併用薬を必ず総ざらいする。陽性の結核患者では、相互作用を理由に結核治療またはARTを自己中断させず、への変更やで両立させる
  • ⚠️ 維持療法中の患者ではに注意。 誘導により血中濃度が下がりを起こしうる
  • パーキンソン病の補助薬イストラデフィリンの効果も大きく減弱しうる。本剤との併用でイストラデフィリンのが約8割低下し、米国の添付文書は強いとの併用を避けるよう求め3、日本の電子添文(ノウリアスト)は併用注意に置いて、イストラデフィリンの作用が減弱する可能性があるとしている4
  • は禁止(結核治療では必ず)
  • 再投与時の過敏反応:や自己中断後の再開で、に加え急性の溶血・血小板減少・急性・を起こすことがある2

副作用

頻度 内容
高頻度 体液(尿・涙・汗・便)の橙赤色着色(無害、事前に説明しておく)2、消化器症状
注意 上昇、優位の黄疸(胆汁排泄のによる無害な現象で、による黄疸と区別する)、時の発熱を伴う2
重篤・まれ 、血小板減少・溶血性貧血(特に再投与時)、急性・、ショック様反応

まとめ

  • RIPEの「R」。依存性ポリメラーゼを阻害しに作用する。
  • 最大の特徴は強力な誘導。経口避妊薬・ワルファリン・・など多数の薬の効果を減弱させる。誘導は数日かけて、中止後も1〜2週間残る。
  • 体液(尿・涙・汗)の橙赤色着色は無害だが患者への事前説明が重要。
  • 結核以外に、髄膜炎菌曝露後予防、の併用薬、の難治性掻痒など適応が広い。
  • 胆汁排泄主体のため腎機能低下でもが原則不要(RIPEの他剤との違い)。
  • 優位の黄疸は胆汁排泄のによる無害な現象で、肝毒性による黄疸と区別する。
  • ・再投与では溶血・血小板減少・を伴う過敏反応のリスクがある。

出典

  1. 1.Pharmacokinetic interactions with rifampicin: clinical relevance(Clinical Pharmacokinetics・2003)リファンピシンは肝・小腸のCYP3A4を最も強く誘導し、HIVプロテアーゼ阻害薬(インジナビル・ネルフィナビル・サキナビル等)の血中濃度を大きく低下させるため併用禁忌とされること、CYP2C9誘導により(S)-ワルファリンの血中濃度も低下することを、アブストラクトで確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.RIFAMPIN capsule(DailyMed (U.S. FDA); Lannett Company・2010)リファンピシンが尿・汗・喀痰・涙を赤色(橙赤色)に着色させるため事前に患者へ説明すべきこと、経口ホルモン避妊薬の信頼性が損なわれうるため代替避妊法を検討すべきこと、600 mgを超える用量を週1〜2回投与する間欠投与でインフルエンザ様症候群・アナフィラキシー等の頻度が上がること、再投与時にまれな腎過敏反応が報告されていることを添付文書で確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.NOURIANZ (istradefylline) tablets, for oral use — Full Prescribing Information(Kyowa Kirin, Inc.(米国添付文書。DailyMed SPL)・2023)DailyMedのSPL(setid a7d008cb-b273-4049-a5d2-9c6902910d58、version 6)を取得して確認した。7.1 が、強いCYP3A4誘導薬であるリファンピシンとの併用でイストラデフィリンのCmaxが45%・AUCinfが81%低下したとし、2.3 とあわせて強いCYP3A4誘導薬(カルバマゼピン・リファンピシン・フェニトイン・セイヨウオトギリソウ)との併用を避けるよう求めていること。⚠️ この処方情報のHighlights末尾の改訂表示は Revised: 7/2023 で、yearはこれに従う。SPLのeffectiveTime 20250520(DailyMedの Updated May 20, 2025)は掲載側の更新日であり改訂年ではない閲覧 2026-09-16
  4. 4.ノウリアスト錠20mg 電子添文(2022年4月改訂・第1版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2022)電子添文の本文を取得して確認した。10.2併用注意にCYP3Aを誘導する薬剤としてリファンピシン・カルバマゼピン等が挙がり(本剤の作用が減弱する可能性)、16.7.2で健康成人においてリファンピシン(600mg/日、20日間反復投与)との併用により本剤(40mg単回投与)のCmaxが55.5%、AUC0-∞が19.2%に低下したこと(外国人データ)閲覧 2026-09-16