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Drug Atlas · A17 Hypnotics / 睡眠薬 · 必修

エスゾピクロン

eszopiclone

分類
Hypnotics / 睡眠薬
商品名(日本)
ルネスタ
科目
Pharmacology
トピック
A17: Non-benzodiazepine anxiolytics and non-benzodiazepine hypnotics
禁忌疾患
重症筋無力症急性閉塞隅角緑内障
副作用
味覚異常日中傾眠めまい
相互作用
イトラコナゾールリファンピシン
解毒薬
フルマゼニル

🧠 全体像活性型S-だけを取り出した製剤で、機序・受容体プロファイル・特有の金属様/まで元のをほぼそのまま引き継ぐ。特許切れが迫った既存薬から片方のだけを新薬として再承認させる「キラルスイッチ」という開発戦略の代表例であり、に対するを示す根拠は乏しい1クラス共通のリスクについて、米国添付文書にはが、日本の添付文書には冒頭の「」欄が、いずれも明記されている点が最重要。

ゾピクロンとの違い

項目 ((S)-単独)
化学系統 同じ(
GABA-A受容体への結合 α1/α2/α3/α5(やや非選択的) 同じ(活性はに由来)
半減期 約5時間 約6時間2
特有の副作用 金属様/ 同じく金属様/が高い:2mgで17%、3mgで34%)2
開発戦略上の位置づけ 先行の キラルスイッチの代表例。へののエビデンスは無い1
の扱い 米国では未承認のためは存在しない。日本の添付文書には同文の「」欄がある 米国はあり、日本も同内容の「」欄あり23

「なぜのうち片方だけを新薬にしたのか」はではなく特許戦略の問題。 活性のほとんどはに由来するとされるが、承認前試験で)そのものに対するは示されていない1

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eszopiclone'>エスゾピクロン</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zopiclon'>ゾピクロン</span>の(S)-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enantiomer'>エナンチオマー</span>)が<br>GABA-A受容体のα1/α2/α3/α5サブユニット近傍に結合"] --> B["Cl⁻チャネル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opening frequency'>開口頻度</span>を増加"]
    B --> C["神経細胞の過分極→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central nervous system depression'>中枢神経抑制</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnotic effect'>催眠作用</span>(入眠・睡眠維持)"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flumazenil'>フルマゼニル</span>"] -.->|"同じ結合部位を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に占拠"| A

💡 機序自体はと同一。 を分けているのは受容体の話ではなく、①製剤としての開発経緯(キラルスイッチ)と②が明記されたリスクの2点である。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 主にCYP3A4・CYP2E1。代謝物は(S)-N-オキシド及び(S)-N-脱メチル(後者は中枢への結合性がの約21分の1と弱い)3
半減期 約6時間2
食事の影響 後の服用でCmaxが低下・Tmaxが遅延し、効果発現が遅れうる
高齢者 クリアランス低下により血中濃度が高い傾向があり、などの副作用が起こりやすい3

適応

・睡眠維持障害)の治療。

用法・用量

PO(就寝前)。成人は1回2mg、高齢者は1回1mgから開始し、症状により適宜増減するが、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えない3。重度の・高度ののある患者は1回1mgとし、慎重に増量する。実際の用量は年齢・肝腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ )。 服用後に、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがあり、初回投与時を含めいつでも生じうる。重大な傷害・死亡につながった報告があり、入眠までの、あるいは時の出来事を記憶していないこともある23夢遊症状などのが生じた場合は投与を中止する
  • 禁忌(日本):本剤の成分又はに対し過敏症の既往歴のある患者(構造が近いための交差性)、重症筋無力症3
  • 禁忌(米国):本剤でを経験したことのある患者、本剤への過敏症2。⭐ 禁忌の中身が日米で重ならない——米国はの既往を禁忌に格上げしているが、日本は重症筋無力症・という由来の項目を挙げる(の日本の添付文書では異常行動の既往も禁忌に入っており、ルネスタとも異なる)
  • ⚠️ CYP3A4阻害薬(等)との併用での血中濃度が上昇し、鎮静・呼吸抑制が増強しうる。CYP3A4リファンピシン等)との併用では効果が減弱しうる
  • アルコール・他のとの併用でが増強
  • 依存を生じることがあり、連用中の急激な減量・中止はなどのを招くためする

副作用

頻度 内容
高頻度 (金属様/で2mg 17%、3mg 34%)2
注意 めまい、口渇、頭痛、翌朝の
重篤・まれ )、依存・、アナフィラキシー・2

まとめ

  • の活性型(S)-のみを取り出した製剤で、機序・受容体プロファイル・特有のとほぼ共通。
  • 特許切れ間近のから片方のを新薬として再承認する「キラルスイッチ」の代表例。へののエビデンスは無い。
  • FDA・PMDAともに(夢遊症状等)について欄が明記されている。初回投与時から生じうる。
  • 日本の禁忌は成分過敏症(との交差性を含む)・重症筋無力症・米国の禁忌は「本剤でを経験した患者」と過敏症の2つで、日米で中身が重ならない。
  • の高い金属様/の課題(3mgで約34%)。CYP3A4阻害薬・との相互作用にも注意。

出典

  1. 1.LUNESTA- eszopiclone tablet, coated (label)(U.S. National Library of Medicine DailyMed(FDA承認添付文書))枠組み警告(枠組み警告)に「Complex sleep behaviors including sleep-walking, sleep-driving, and engaging in other activities while not fully awake may occur following use of LUNESTA」と明記され、初回投与を含めいつでも生じうる重大な傷害・死亡につながりうる合併症とされていること。用量依存的な不快な味(Unpleasant Taste)が非高齢成人でプラセボ3%に対し2mg投与群17%、3mg投与群34%と高頻度に報告されること。半減期は約6時間で、CYP3A4・CYP2E1が代謝に関与すること。アナフィラキシー・血管浮腫の報告があること閲覧 2026-08-10
  2. 2.ルネスタ錠1mg・ルネスタ錠2mg・ルネスタ錠3mg添付文書(2024年12月改訂第2版)(エーザイ株式会社(PMDA承認の医療用医薬品添付文書)・2024)冒頭の赤枠「1. 警告」に「本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意すること」と明記されていること。禁忌は本剤の成分又はゾピクロンに対し過敏症の既往歴のある患者・重症筋無力症・急性閉塞隅角緑内障の患者であること。用法及び用量は成人1回2mg、高齢者1回1mgを就寝前に経口投与し、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えないこと。承認は2012年4月で、代謝物は(S)-ゾピクロンN-オキシド及び(S)-N-脱メチルゾピクロンでCYP3A4及びCYP2E1が関与すること。本剤はラセミ体であるゾピクロンの一方のエナンチオマー((S)-エナンチオマー)であること閲覧 2026-08-10
  3. 3.Assessing the chiral switch: approval and use of single-enantiomer drugs, 2001 to 2011(American Journal of Managed Care・2014)エスゾピクロンが2001〜2011年に承認された9つのキラルスイッチ(単一エナンチオマー化)医薬品の一例としてゾピクロンから挙げられており、承認前臨床試験でラセミ体(ゾピクロン)に対する優越性のエビデンスは無かったこと閲覧 2026-08-10