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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬 · 必修

イトラコナゾール

itraconazole

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
イトリゾール
商品名(EU)
Sporanox
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
禁忌疾患
慢性心不全
標的微生物
Aspergillus fumigatusHistoplasma capsulatumCandida albicansTrichophyton rubrum
副作用
浮腫悪心
相互作用
アキシチニブアバプリチニブアルプラゾラムイバカフトールイリノテカンエスゾピクロンエレトリプタンエンホルツマブ ベドチンオラパリブクリゾチニブシクロスポリンシンバスタチンセベトラルスタットセルペルカチニブタクロリムスドセタキセルナルデメジンパゾパニブビンクリスチンビンデシンフィネレノンフェロジピンブデソニドプラルセチニブボクロスポリンリプレチニブ
自然耐性の微生物
Mucor indicusPneumocystis jiroveciiRhizomucor pusillusRhizopus oryzae
対象疾患
CARD9欠損症Parinaud眼腺症候群アスペルギルス症コクシジオイデス症スポロトリコーシスタラロミセス症ヒストプラズマ症マラセチア毛包炎リンパ管炎黄癬原発性免疫不全症候群(重症複合免疫不全症・ディジョージ症候群・X連鎖無ガンマグロブリン血症・慢性肉芽腫症・選択的IgA欠損症)皮膚糸状菌症(白癬)慢性皮膚粘膜カンジダ症癜風

🧠 全体像:はが苦手とするAspergillus・Histoplasmaへスペクトラムを一段広げた薬で、など領域でもとして使われる。との決定的な違いはにある——脂溶性が高く主体で、剤形(カプセルか内用液か)によって吸収の当てにする条件(食事・胃酸)が正反対という、他のにない癖の強さを持つ。もう一つの特徴がによる心不全誘発・増悪というのので、は禁忌にあたる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 Aspergillus Histoplasma Mucor 特記事項
トリ ✕ ✕ ✕ 水溶性・・良好
トリ ○ ◎ ✕ 脂溶性・、CHF患者に禁忌
トリ ◎第一選択 ○ ✕ 、CYP2C19多型
広域トリ ・ ○ ○ ○ にも活性

⭐ Histoplasmaはがの中で最も強い適応。 で抗真菌薬を経口で使うなら、まずである。ただし使う場面は2025〜2026年の米国感染症学会()の更新で整理し直された。

病型 の位置づけ
免疫正常・軽症の急性 抗真菌薬をには投与しないことが提案される(条件付き推奨)1
免疫正常・中等症の急性 治療・経過観察のどちらも許容。治療するならを6〜12週間1
播種へ進むリスクが中〜高の免疫不全者の急性 軽症・中等症でもで治療する1
重症の急性・播種性 単独では始めない。 (3 mg/kg、中枢神経病変では5 mg/kg)で導入し、改善後のとしてを使う2
死亡・臓器障害のリスクが低い慢性の播種性 で始めてもよい2

機序

真菌CYP51(lanosterol 14α-demethylase)を阻害し合成を止める点はと共通(詳細はの機序節を参照)。は分子側鎖のが高く、Aspergillus・HistoplasmaのCYP51へのがより強いため、スペクトラムが広がる。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形と吸収 カプセル:胃酸存在下・で吸収が上がる/内用液:空腹時の方が吸収が良い——剤形で服用条件が逆になる。同一用量でも内用液はカプセルよりが大きく、両者は代替不可34
分布 高い脂溶性・蛋白結合率。髄液へはほとんど移行しない
代謝 でされ、ヒドロキシを生成
排泄 代謝物として胆汁・
半減期 約1〜1.5日(で蓄積し実効半減期はさらに延びる)

⭐ やH2ブロッカーで胃酸が抑制されているとカプセル製剤の吸収が大きく落ちる。 併用時は内用液への切り替えを検討する。

適応

領域 使いどころ
(不耐用時の代替)。では治療が必要な急性の第一選択、重症・播種性では導入後の
慢性肺 でステロイド減量目的の併用
(が第一選択、菌種・併存症に応じた代替)
免疫不全 などでの抗真菌予防

用法・用量

カプセルは、内用液は空腹時服用が原則という剤形依存の服用条件を必ず確認する34。では(1週間服用・3週間を繰り返す)が使われることがある。の急性では成人200 mgを1日3回3日間の負荷の後、200 mgを1日2回で6〜12週間とし、(TDM)で1 mg/L超・3〜4 mg/L未満を目標にすることが2025年版ガイドラインで推奨されている1。重症例での後に使うときは、開始1〜2週後に全例で濃度を測り、随時採血で1〜4 mg/Lを目標とする2。💡 濃度測定が標準になったのは、吸収が剤形・食事・胃酸で大きくぶれ、同じ用量でも濃度が足りない例と過剰な例が出るためである。実際の用量は適応・剤形・年齢・体重・肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 禁忌:・障害(既往を含む)。 によりCHFを誘発・増悪しうるというのがある3
  • ⚠️ 強力な阻害薬。 (・)・スタチン(など)・・一部のとの併用で重大な相互作用を起こす3
  • ⚠️ 相手側の添付文書が「併用を避ける」根拠としてを名指しすることがある。 のでは、200 mgを1日1回6日間併用するとCmaxが2.4倍・(0-inf)が5.2倍になり、米国添付文書は強力な阻害薬との併用を避けるよう求めている(中等度阻害薬のでもCmax 1.8倍・ 2倍)5。⚠️ 同じ相互作用でも国によって扱いが違う——のは肝機能が正常なら不要としており、「併用を避ける」は米国の判断である
  • の既往では慎重投与、定期的な肝機能モニタリングを検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、腹痛、頭痛
注意 、浮腫・(と関連)
重篤・まれ の誘発・増悪、

まとめ

  • 。CYP51阻害で合成を止める点はと共通。
  • と違いAspergillus・Histoplasmaに活性を持つ。にも使う。
  • 剤形で吸収条件が逆(カプセルは食後・酸性、内用液は空腹時)という上の癖がある。
  • は禁忌(によるCHF誘発・増悪、の)。
  • 強力な阻害薬で、・スタチンなどとの相互作用が重大。
  • 髄液へほとんど移行しないため中枢神経感染には向かない。

出典

  1. 1.2025 Clinical Practice Guideline Update by the Infectious Diseases Society of America on Histoplasmosis: Treatment of Asymptomatic Histoplasma Pulmonary Nodules (Histoplasmomas) and Mild or Moderate Acute Pulmonary Histoplasmosis in Adults, Children, and Pregnant People(Infectious Diseases Society of America (IDSA)・2025)免疫正常患者の軽症・急性肺ヒストプラズマ症(播種性ではない肺限局型)では抗真菌薬を投与せず経過観察することを条件付きで推奨するよう2007年版から方針転換したこと(エビデンスの確実性は非常に低い)、中等症では治療または経過観察のいずれも許容される条件付き推奨としたこと、治療する場合はイトラコナゾールが引き続き優先される薬剤であり治療期間は6〜12週間で変わらないこと、有効性確保と毒性回避のためトラフ濃度1 mg/L超・3〜4 mg/L未満を目標とした治療薬物モニタリング(TDM)を新たに推奨したことを確認した。閲覧 2026-09-27
  2. 2.Histoplasmosis in Adults, Children, and Pregnant Individuals — Consensus Statement: Initial Antifungal Treatment of Severe Histoplasmosis(Infectious Diseases Society of America (IDSA)・2026)IDSA公式サイトのガイドライン頁(2026年9月16日更新)の合意声明で確認した。重症の急性肺ヒストプラズマ症と播種性ヒストプラズマ症では全例でアムホテリシンBによる初期治療を提案し、リポソーマル製剤を優先して中枢神経病変のない重症例は3 mg/kgを1日1回、中枢神経病変では5 mg/kgを1日1回とする。導入期間は非中枢神経病変で従来7〜14日とされてきたが、臨床的に改善し内服できる例や毒性が出た例では短縮と早期の経口薬への移行が妥当でありうる。中枢神経病変では一般に4〜6週間。導入後はイトラコナゾールを優先し、開始1〜2週後に全例で治療薬物モニタリングを行い随時採血で1〜4 mg/Lを目標とする。重症度の低い播種性疾患の最適な初期薬は根拠不十分で、死亡・臓器障害のリスクが低いと判断される慢性の播種性疾患ではイトラコナゾールで開始してもよい。閲覧 2026-09-27
  3. 3.SPORANOX (itraconazole) capsule — Prescribing Information(Janssen Pharmaceuticals, Inc. / DailyMed(米国FDA)・2026)SPORANOXカプセルは爪白癬治療目的では心室機能障害の所見またはうっ血性心不全(CHF)の既往がある患者には投与しない旨の枠組み警告があり、その根拠として静注イトラコナゾールが動物・健常人で陰性変力作用を示したことが記載されていること、多数のCYP3A4基質薬(一部の抗不整脈薬・スタチン・ビンカアルカロイドなど)との併用が禁忌とされていること、カプセルの経口バイオアベイラビリティは食直後の投与で最大になること、同一用量でもカプセルより内用液の方が曝露量が大きく両剤形は代替不可であることを確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.SPORANOX (itraconazole) oral solution — Prescribing Information(Janssen Pharmaceuticals, Inc. / DailyMed(米国FDA)・2026)SPORANOX内用液は可能な限り食事なしで(空腹時に)服用するよう指示されていること、内用液はカプセルと同一用量でも曝露量が大きいため両剤形は代替不可であること、口腔・食道カンジダ症に有効性が確認されているのは内用液のみであることを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.EKTERLY (sebetralstat) prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2025)sebetralstatが血漿カリクレインの競合的・可逆的阻害薬であり、12歳以上のHAE急性発作に対して1回600mg(追加投与可、24時間で最大1,200mg)を経口投与する初の経口オンデマンド治療薬であること、中等度CYP3A4阻害薬併用時・中等度肝機能障害では300mgへ減量し、強力なCYP3A4阻害薬併用・重度肝機能障害では使用を避けることを確認した。あわせて12.3の逐語が "Following administration of a single oral dose of 600 mg sebetralstat, the mean (SD) elimination half-life of sebetralstat ranged from 5.3 (2.3) to 8.9 (5.1) hours." であり、括弧内の数値が標準偏差(SD)であること、この値が600mg単回投与についてのものであること、Tmax中央値が600mg単回で約1時間、みかけの分布容積Vz/Fが70.1L、CL/Fが30.7L/h、血漿蛋白結合率が in vitro で77%であること、本文末尾の改訂表示が2025年7月であることを確認した。さらに 4 CONTRAINDICATIONS が逐語で None であること、12.2 の心電気生理の項がQTc間隔の最大平均増加を 10.4 msec(信頼区間上限 15.3 msec)とし、その用量を「最大推奨用量の2.5倍」と表現していること(EUと日本は同じ3,000mgを1日最大用量の5倍と書く)、12.3 の食事の影響が「高脂肪食(総900〜1,000kcal、うち脂質500〜600kcal・炭水化物250kcal・蛋白質150kcal)の後で臨床的に意味のある差は認められなかった」であって数値を示していないこと、8.1 の非臨床データがラットの器官形成期投与で最大推奨1日用量のAUCの60倍にあたる曝露量で口蓋裂と心室中隔欠損を含む奇形と胚・胎児の喪失が増加したとすること、6.1 の Table 3 が2%以上かつプラセボより高率だった副作用として頭痛のみ(600mg群93例中3例=3.2%、プラセボ83例中1例=1.2%)を挙げること、避妊に関する記載が文書全体(患者向け情報を含む)に一度も現れないことを確認した。閲覧 2026-08-10