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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 先天性疾患

慢性皮膚粘膜カンジダ症

Chronic mucocutaneous candidiasis

別名
CMCChronic mucocutaneous candidosis
臓器系
免疫・膠原病感染症皮膚
科目
DermatologyInternal Medicine
トピック
皮膚科 1-21:カンジダ症の臨床病型内科学 S-51:免疫不全症
上位概念
原発性免疫不全症候群(重症複合免疫不全症・ディジョージ症候群・X連鎖無ガンマグロブリン血症・慢性肉芽腫症・選択的IgA欠損症)
治療薬
フルコナゾールイトラコナゾールボリコナゾールバリシチニブルキソリチニブ
原因微生物
Candida albicans
症状
爪囲炎
原因となる疾患
自己免疫性多内分泌腺症候群1型

🧠 全体像は、は複数あってもすべてが「IL-17経路の破綻」という一点に収束する群である。皮膚・粘膜表面でのCandidaに対する防御はIL-17産生Th17細胞が担っており、この経路がどこで壊れても——サイトカイン産生のでも、受容体そのもの(IL17RA/RC/F)でも、自己抗体による中和(AIRE/APECED)でも——結果は同じ、乳児期からの反復・持続する口腔・皮膚・爪のカンジダ感染である。この「IL-17が守っている」という一点を理解すれば、なぜ抗IL-17薬(など)を投与するとカンジダ感染が増えるのかもそのまま説明できる——的なIL-17阻害は、この遺伝性疾患の表現型を人為的に、軽度に再現しているにすぎない。

病態

Th17細胞が産生するIL-17A・IL-17F・IL-22は、上皮の維持と好中球動員を介して粘膜表面のCandida増殖を抑える。この経路のどこが壊れるかで原因は分かれるが、表現型はいずれも同じ方向を向く。

flowchart TD
    A["IL-17経路の破綻(原因は複数)"] --> B["STAT1<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gain-of-function mutation'>機能獲得型変異</span><br>(最多、CMCの約半数)"]
    A --> C["IL17RA・IL17RC・IL17F欠損<br>(受容体・リガンドそのもの)"]
    A --> D["ACT1(TRAF3IP2)欠損<br>(受容体下流のアダプター分子)"]
    A --> E["AIRE変異によるAPECED<br>(IL-17A/F・IL-22への中和自己抗体)"]
    B --> F["Th17<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell differentiation'>細胞分化</span>の障害・IL-17シグナル低下"]
    C --> F
    D --> F
    E --> F
    F --> G["粘膜のCandida防御が破綻"]
    G --> H["慢性・反復性の口腔・皮膚・爪カンジダ症"]
    I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pharmacology'>薬理学</span>的なIL-17阻害<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secukinumab'>セクキヌマブ</span>等の抗IL-17薬)"] -.->|"同じ経路を人為的に阻害"| G
原因 遺伝形式・機序
STAT1 最多(CMC患者の約半数)。IL-27・IFN-α/βなどIL-17を抑制するサイトカインへのSTAT1応答が亢進し、Th17細胞への分化がかえって抑えられる1
IL17RA欠損 。IL-17受容体そのものの欠損でIL-17A/F両方のシグナルが途絶える1
IL17RC欠損 。IL17RA/RC受容体複合体の形成障害1
IL17F欠損 常染色体優性。IL-17F産生そのものの障害で表現型は比較的軽い1
ACT1(TRAF3IP2)欠損 。受容体下流のシグナル伝達アダプターの欠損1
AIRE変異(APECED/APS-1 。胸腺での提示不全から、IL-17A・IL-17F・IL-22に対する中和自己抗体を産生する1を来すとの三徴で知られる

⚠️ CARD9欠損は同じ「カンジダに弱くなる」免疫不全でもIL-17経路の障害ではなく、機序が異なる。 CARD9はC型受容体の下流で好中球の抗真菌殺菌能を担う分子で、その欠損は粘膜表面にとどまらず中枢神経系カンジダ症・など侵襲性のに進みうる点がIL-17経路の障害群と異なる。

臨床像

  • 乳児期〜小児期早期から発症する、口腔・食道・皮膚・爪の反復性・持続性Candida感染。
  • )が難治性・再発性に持続する。
  • 皮膚では紅斑性局面から肥厚性の角化局面まで多様な病変を呈する。
  • 爪の(慢性肥厚・変形)を高頻度に伴う。
  • AIRE変異によるAPECEDではを来すを合併し、CMCはしばしばこれらの内分泌症状に先行する。
  • STAT1では、カンジダ症に加えて他の感染症(細菌・ウイルス・)や自己免疫現象、血管病変を合併することがある。

診断

臨床像(乳幼児期からの難治性・反復性の粘膜)に加え、内分泌症状・他の易感染性所見の有無を評価し、(STAT1・IL17RA・IL17RC・IL17F・ACT1・AIRE)で原因を同定する。APECEDが疑われれば、副甲状腺・副腎機能の評価とIL-17A/F・IL-22に対する自己抗体の検索を追加する。

治療

まとめ

  • CMCは(STAT1・IL17RA/RC/F・ACT1・AIRE)が複数あっても、すべてIL-17経路の破綻による粘膜Candida防御の喪失という一点に収束する群である。
  • ⚠️ 抗IL-17薬(など)投与時のカンジダ感染増加は、この遺伝性疾患の表現型を的に軽く再現しているという対応関係で理解する。
  • CARD9欠損はIL-17経路の障害ではなく好中球の抗真菌殺菌能の欠損で、粘膜にとどまらず中枢神経系を含むに進みうる点で区別する。
  • 治療は抗真菌薬の長期投与が中心だが耐性が高頻度に生じる。STAT1にはJAK阻害薬、重症例にはHSCTが選択肢になる。

出典

  1. 1.Primary immunodeficiency and chronic mucocutaneous candidiasis: pathophysiological, diagnostic, and therapeutic approaches(Allergologia et Immunopathologia・2021)慢性皮膚粘膜カンジダ症の原因としてSTAT1機能獲得型変異(IL-27・IFN-α/βなどIL-17抑制性サイトカインへの反応性亢進を介しTh17分化を阻害、CMC患者の約半数を占める)、IL17RA・IL17RC・IL17F欠損、ACT1(TRAF3IP2)欠損、AIRE欠損によるAPECED(IL-17A・IL-17F・IL-22に対する中和自己抗体を産生)を挙げ、少なくとも1つのアゾール系薬に対する耐性がCMC患者で頻繁にみられることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Three Adult Cases of STAT1 Gain-of-Function with Chronic Mucocutaneous Candidiasis Treated with JAK Inhibitors(Journal of Clinical Immunology・2022)STAT1機能獲得型変異によるCMC成人例3例にJAK阻害薬(バリシチニブ2mg/日、ルキソリチニブ15mg/日)を投与し、バリシチニブ投与例で1か月以内の粘膜皮膚炎症の顕著な改善、6か月でのアフタ性潰瘍治癒を認めたこと、JAK阻害薬で不十分だった1例に減強前処置での造血幹細胞移植を行い1年後にCandida albicansの所見なく生着したことを確認した。閲覧 2026-08-11