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Disease Atlas · 内分泌・代謝 · 疾患

副甲状腺機能低下症

Hypoparathyroidism

臓器系
内分泌・代謝
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-04:カルシウム代謝異常内科学 S-12:副甲状腺機能亢進症・低下症
続発疾患
白内障
関連疾患
原発性副甲状腺機能亢進症原発性副腎不全
治療薬
カルシトリオール
症状
しびれ喉頭痙攣痙攣テタニーChvostek徴候
検査値
アルブミンマグネシウムQT延長
原因となる疾患
自己免疫性多内分泌腺症候群1型

🧠 全体像は、低Ca血症にもかかわらず(parathyroid hormone:PTH)が低値または「不適切に正常」にとどまる病態で、とは対極に位置する。最多の原因は甲状腺・副甲状腺手術による医原性のもので、次いで自己免疫性・遺伝性が続く。急性期は低Ca血症そのものの症候(、痙攣、QT延長)への対応、慢性期は経口Ca+による補充が治療の骨格だが、目標を高く設定しすぎるとを招くという「補正しすぎのリスク」を常に意識する必要がある。

病態

何が起きているか

PTHは腎でのCa再吸収、産生を介した腸管Ca吸収、骨からのCa動員を通じて血清Caを維持している。この作用が欠落すると、低Ca血症と(PTHによるリン利尿が失われるため)が同時に起こる。

分類 代表原因 機序
術後性(最多) ・副甲状腺手術後 副甲状腺の切除・損傷・血流障害
自己免疫性 単独、または(APS-1/APECED) 副甲状腺への自己免疫性破壊。を伴うことがある
遺伝性 (22q11.2欠失)、(CaSR)など 副甲状腺の形成不全、またはの感度異常による過剰抑制
機能性 重症低Mg血症 PTH分泌・作用の両方を障害する
浸潤性・その他 、頸部放射線照射 副甲状腺実質の直接障害

💡 低Mg血症は「低Ca血症の原因」にも「治療抵抗性の原因」にもなる。Ca補充だけを続けてもMgを是正しなければ改善しないため、評価では必ずMgを同時に測定する。

偽性副甲状腺機能低下症との違い

は、PTHそのものは十分〜高値に分泌されているのに標的臓器がPTHに反応しないPTH抵抗性の病態である。低Ca血症・というは真のと似るが、PTHは高値であり、、円形など)を伴う型もある。PTH値を確認せずに「低Ca+高リン=」と即断しないことが重要。

flowchart TD
    A["低Ca血症+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperphosphatemia'>高リン血症</span>を確認"] --> B["PTHを測定"]
    B --> C{"PTHは低値/不適切に正常か"}
    C -->|"はい"| D["真の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoparathyroidism'>副甲状腺機能低下症</span>(術後・自己免疫・遺伝性など)"]
    C -->|"いいえ(PTH高値)"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudohypoparathyroidism'>偽性副甲状腺機能低下症</span>(PTH抵抗性)を考慮"]
    D --> F["Mg・25(OH)D・腎機能を同時に確認"]
    E --> F

臨床像

急性低Ca血症では性が亢進する。

  • 口周囲・四肢の、筋攣縮、、痙攣
  • (顔面神経で同側顔面筋が収縮)、(上腕を以上で約3分圧迫するとが誘発される)— いずれも感度・特異度が十分でなく、血液検査の代わりにはならない
  • 心電図でQT延長、不整脈

慢性・未治療の経過では、歯牙・皮膚の変化、抑うつなどが蓄積的に起こる。

⚠️ 急性の症候性低Ca血症(、痙攣、著明なQT延長)は緊急性が高い。血中Ca値だけでなく、症状の有無・進行速度で治療のを判断する。

診断

低Ca血症(Caまたはアルブミン補正総Ca)、、低値〜不適切に正常なPTHの組み合わせで診断する。Mg、、腎機能を同時に確認し、原因検索として・家族歴・自己免疫疾患の合併・カンジダ症の既往を聴取する。

治療

急性期

痙攣、、不整脈、著明な症候を伴う急性低Ca血症は、心電図モニター下で10%静注により補正し、同時にMgを補正する。

⚠️ 静注Caはや不整脈に注意し、ジゴキシン使用中は特に慎重に行う。

慢性期

経口Ca+などの製剤を基本とし、血清Caを「正常低値」に保つことを目標にする(正常化を急ぎすぎない)。尿中Caを定期的にモニターし、には食塩摂取の適正化やを併用する。

⚠️ 慢性治療で血清Caを高正常域まで上げ過ぎると、腎はPTHという「Ca再吸収を促すブレーキ」を欠いたままCaを排泄し続けるため、・腎結石・・腎機能低下を起こしやすい。「症状が取れる最低限のCa値」を目標にする。

難治例:PTH補充療法

経口Ca+だけでは血清Ca・尿中Caのコントロールが困難な慢性では、PTH補充療法を検討する。長年使用されてきた組換えヒトPTH(1-84)製剤は供給上の問題から製造中止となっており、現在は持続的なPTH曝露を目的とした長時間作用型PTH(1-34)アナログのなど)が、経口Ca・の必要量を減らし、尿中Caや腎機能の指標を改善する薬剤として承認され、選択肢の中心になっている。導入の適否は専門医管理下で判断する。

flowchart TD
    A["急性症候性低Ca血症"] --> B["静注<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcium gluconate'>グルコン酸Ca</span>+Mg補正、心電図監視"]
    A2["慢性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoparathyroidism'>副甲状腺機能低下症</span>"] --> C["経口Ca+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active vitamin D'>活性型ビタミンD</span>、正常低値を目標"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypercalciuria'>高Ca尿</span>・症状コントロール不良か"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiazide'>サイアザイド</span>・食塩制限を追加、専門管理下でPTH補充療法を検討"]
    D -->|"いいえ"| F["定期的にCa・尿中Ca・腎機能をフォロー"]

まとめ

  • は低Ca血症・にPTHの低値/不適切な正常値が伴う病態で、最多の原因は甲状腺・副甲状腺手術後。
  • PTHが高値なのに同様のを示す(PTH抵抗性)との鑑別にはPTH値の確認が必須。
  • 低Mg血症はPTH分泌・作用の両方を障害するため、評価と治療の両方でMgを同時に扱う。
  • 急性症候性低Ca血症は静注とMg補正で対応し、慢性期は経口Ca+で「正常低値」を目標に管理する。
  • 従来治療で制御困難な例では、専門管理下でPTH補充療法(長時間作用型PTHアナログなど)を検討する。