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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬 · 必修

フルコナゾール

fluconazole

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
ジフルカン
商品名(EU)
Diflucan
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
標的微生物
Candida albicansCandida tropicalisCandida glabrataCryptococcus neoformans
副作用
悪心頭痛
相互作用
アバトロンボパグアブロシチニブグリクラジドグリメピリドナルデメジンリファンピシンルキソリチニブワルファリン
自然耐性の微生物
Aspergillus flavusAspergillus fumigatusAspergillus nigerCandida kruseiMucor indicusPneumocystis jiroveciiRhizomucor pusillusRhizopus oryzae
対象疾患
HIV感染症・AIDSカテーテル関連血流感染カンジダ症クリプトコーマクリプトコッカス症コクシジオイデス症マラセチア毛包炎感染性心内膜炎高IgE症候群自己免疫性多内分泌腺症候群1型特発性CD4リンパ球減少症皮膚糸状菌症(白癬)慢性皮膚粘膜カンジダ症癜風

🧠 全体像:はの中で唯一「経口も静注も水溶性が高く、髄液へよく移行する」という上の特徴を持ち、それゆえカンジダ症との実務の主力になっている。一方で構造上 Aspergillus の CYP51 にほとんど結合できず無効という明確な弱点があり、この「効く・効かない」のを知っているかどうかが、全体を理解する最初の関門になる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 Aspergillus Candida Mucor 特記事項
トリ ✕ 無効 ○(C. glabrata/C. kruseiは耐性傾向) ✕ 水溶性が高くが良い唯一の
トリ ○ ○ ✕ Histoplasma・にも使う
トリ ◎第一選択 ○ ✕ ・、CYP2C19多型
広域トリ ・ ○ ○ ○ にも活性を持つ唯一の群

⭐ 「はAspergillusに無効」は抗真菌薬で最も問われる一文。 を疑う場面でをに選ぶのは誤り。同じ「-conazole」でもスペクトラムはの中で状に広がっていく。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluconazole'>フルコナゾール</span>が真菌細胞内へ拡散"] --> B["真菌CYP51<br>(lanosterol 14α-demethylase)に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lanosterol'>ラノステロール</span>→<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergosterol'>エルゴステロール</span>への変換が止まる"]
    C --> D["毒性のある14α-メチルステロールが蓄積"]
    D --> E["細胞膜の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluidity'>流動性</span>・機能が破綻<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fungistatic'>静真菌的</span>)"]
    B -.->|"ヒト<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>等にも<br>親和性を持つ"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450'>CYP</span>阻害による薬物相互作用"]

💡 Aspergillusに効かない理由は「CYP51へのの差」。 は分子構造上Candida属のCYP51には強く結合できるが、AspergillusのCYP51への親和性が低く、臨床的に意味のある濃度では阻害できない。以降のは分子側鎖の工夫でこのを広げた薬にあたる。

薬物動態

項目 値・特徴
90%超(の中で最も高く安定)
分布 水溶性が高く蛋白結合率が低い。髄液・唾液・尿への移行が良好
代謝 は限定的(他のより少ない)。CYP2C9・を阻害する
排泄 主に未変化体のまま(他のと異なる特徴)
半減期 約30時間と長く、1日1回投与が可能

⭐ ・高い水溶性というこの2点が、以降の(脂溶性・主体)との上の。 腎機能低下例ではが必要になる一方、肝障害の影響は相対的に受けにくい。

適応

領域 使いどころ
カンジダ症 ・()、
中枢神経感染 の・維持療法(+によるのあと、800 mg/日8週間→維持200 mg/日)1
予防 感染者・好中球減少患者でのカンジダ症予防
の一部(など)

用法・用量

経口・静注とも同一用量で切り替え可能(高いのため)なのが実務上の利点。ではのあとへ移行するレジメンが一般的。の維持療法では長期(数か月〜免疫状態が回復するまで)継続する。実際の用量は適応・腎機能・体重で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ CYP2C9・阻害薬。 ワルファリン・(・など)の作用を増強するため、併用時は・モニタリングを強化する
  • ⚠️ 妊娠:高用量(400〜800 mg/日)を妊娠初期にした症例で、頭蓋顔面・骨格・からなる特有のパターン(頭蓋早期癒合・・湾曲・など)が症例報告で示されている2。に用いる単回150 mgについても、・疫学研究で議論が続いている。 ケベック州の妊娠441,949件を対象としたでは、低用量(150 mg以下)でもの2.23、高用量(150 mg超)では3.20と報告されたが、対照試験では確認されておらず、単回低用量の治療における扱いは今も議論されている32
  • Candida glabrataは多くので感受性が中間的(に低下)、Candida kruseiは内因性に耐性であるため、これらの菌種が疑われる場合は他剤へ切り替える2

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、頭痛、腹痛
注意 、QT延長()2
重篤・まれ (など)、肝不全

まとめ

  • 。CYP51阻害で合成を止める。
  • が90%超と高く、水溶性が高いため髄液へよく移行する唯一の。
  • Candida・Cryptococcusに強いがAspergillusには無効——で最も問われる対比。
  • では+の後の維持療法を担う。
  • 主に未変化体でされるため腎機能に応じたが必要。
  • CYP2C9/3A4阻害薬としてワルファリン・の作用を増強する。

出典

  1. 1.Recommendations on induction, consolidation and maintenance antifungal treatment regimens — Guidelines for Diagnosing, Preventing and Managing Cryptococcal Disease Among Adults, Adolescents and Children Living with HIV(World Health Organization・2022)HIV関連クリプトコッカス髄膜炎で、導入療法(リポソーマルアムホテリシンB単回高用量+フルシトシン14日間+フルコナゾール1200 mg/日)のあと、地固め療法としてフルコナゾール800 mg/日を8週間、維持療法としてフルコナゾール200 mg/日をCD4数200/µL超かつARTによるウイルス抑制達成まで継続することを推奨している。閲覧 2026-08-27
  2. 2.FLUCONAZOLE tablet — Prescribing Information(DailyMed(米国FDA)・2024)妊娠初期に高用量(400〜800 mg/日)を反復投与された症例で頭蓋顔面・骨格・心奇形(頭蓋早期癒合、顔貌異常、口蓋裂、大腿骨湾曲、先天性心疾患など)からなる特有のパターンが症例報告で示されていること、腟カンジダ症に用いる単回または反復の150 mgでも自然流産・先天異常のリスク上昇を示唆する疫学研究があるが対照試験では確認されていないこと、Candida krusei は内因性耐性・Candida glabrata は多くの分離株が中間感受性であること、QT間隔延長との関連があることを確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Associations between low- and high-dose oral fluconazole and pregnancy outcomes: 3 nested case-control studies(CMAJ (Canadian Medical Association Journal)・2019)ケベック州の妊娠441,949件を対象とした入れ子式症例対照研究で、腟カンジダ症の標準用量に相当する低用量(150 mg以下)の経口フルコナゾール曝露でも自然流産の補正オッズ比が2.23(95%信頼区間1.96-2.54)、高用量(150 mg超)では3.20(95%信頼区間2.73-3.75)であったこと、高用量曝露は心室中隔欠損など心奇形のリスク上昇(オッズ比1.81)と関連したが、先天奇形全体・死産とは関連しなかったことを確認した。閲覧 2026-08-27