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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬

イサブコナゾニウム

isavuconazonium

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
クレセンバ
商品名(EU)
Cresemba
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
標的微生物
Aspergillus fumigatusCandida albicansRhizopus oryzaeMucor indicus
相互作用
シクロスポリンAタクロリムス
自然耐性の微生物
Pneumocystis jirovecii
対象疾患
アスペルギルス症ムーコル症眼窩尖端症候群

🧠 全体像:(水溶性ので、体内で活性体へ変換される)は、と並んでにも活性を持つ広域である。との両方に単剤で対応できる適応の広さに加え、で問題になる・がほぼ無く、静注製剤に腎の剤()を必要としないという扱いやすさが最大の強み。の中で唯一QTを延長ではなく短縮させるという逆方向の心電図変化を示す点も特徴的。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 Aspergillus Mucor QTへの影響 特記事項
トリ ◎第一選択 ✕ 延長 ・、CYP2C19多型、IV製剤は含有
広域トリ (活性体:) ○ ○ 短縮 、が少ない、IV製剤は剤不要
広域トリ ○ ○ 延長 主に予防投与で使用

⭐ 「Aspergillus + Mucorの両方をカバーし、かつ副作用がより穏やか」がこの薬の売り。 37例を対象としたVITAL試験(単群)では42日時点で11%・43%・死亡35%、一次治療症例のマッチド症例対照解析では治療群と同程度の42日死亡率(33% vs 39%)であり、「同等の有効性を持つ選択肢」として米国・欧州での適応承認の根拠になった1。ではSECURE試験でに対する(42日死亡率19% vs 20%)が示され、肝胆道系障害・眼障害・皮膚障害の頻度は群で低かった2。

機序

真菌CYP51(lanosterol 14α-demethylase)阻害で合成を止める点は他のと同じ(詳細はの機序節を参照)。のCYP51にも結合できる分子設計により、と同様に抗活性を持つ。

💡 「」という点が他のと一線を画す。 経口・静注いずれで投与しても、体内(主に)で速やかに活性体へ加水分解される。水溶性の塩を使うことで、・のIV製剤が必要とする系剤(腎機能低下例で蓄積し腎毒性懸念がある)を使わずに静注できる3。

薬物動態

項目 値・特徴
高い(食事の影響を受けにくい)
分布 高い脂溶性。組織移行が良好
代謝 からの加水分解のあと、活性体がで代謝
排泄 主に糞中排泄
半減期 長い(半減期約130時間、1日1回投与が可能)

適応

領域 使いどころ
侵襲性の肢(の代替。 2016年版ガイドラインで強い推奨・中等度のエビデンスの質)42
侵襲性の治療(米国・欧州で。に次ぐ、またはその代替)41

用法・用量

のあとへ移行する2段階投与が基本。経口・静注で不要(が高いため切り替えやすい)。実際の用量は適応・年齢・体重で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ には禁忌。 で唯一を短縮させる方向に作用し、相当でとの最小二乗-13.1ミリ秒、高用量相当で-24.6ミリ秒とに短縮する4
  • ⚠️ 阻害薬。 ・などの血中濃度を上昇させるため、併用時はとモニタリングを行う
  • 軽度・中等度の( A・B)は不要。では有益性が危険性を上回る場合にのみ使用する4

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、頭痛、
注意 注射部位反応(非含有のためはより少ない)
重篤・まれ 、重症過敏反応

まとめ

  • 広域の。体内で活性体に変換される。
  • と並びにも活性を持つ。・の両方に使える。
  • と異なり・が少なく、静注製剤に腎の剤を必要としない。
  • で唯一QTを短縮させる(には禁忌)。
  • 阻害薬として・との相互作用に注意する。

出典

  1. 1.Isavuconazole treatment for mucormycosis: a single-arm open-label trial and case-control analysis(The Lancet Infectious Diseases・2016)VITAL試験でムーコル症患者37例にイサブコナゾールを投与したところ、42日時点で部分奏効11%・病勢安定43%・死亡35%であったこと、一次治療としてイサブコナゾールを投与された21例とアムホテリシンBを投与された33例のマッチド症例対照解析では42日全死亡率がそれぞれ33%・39%と同程度であったことを確認した(本試験の結果が米国・欧州でのムーコル症適応承認の根拠となった)。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Isavuconazole versus voriconazole for primary treatment of invasive mould disease caused by Aspergillus and other filamentous fungi (SECURE): a phase 3, randomised-controlled, non-inferiority trial(The Lancet・2016)侵襲性糸状菌症(主にアスペルギルス症)を疑う患者527例を対象とした第3相非劣性試験で、投与開始から42日までの全死亡率がイサブコナゾール群19%・ボリコナゾール群20%(補正群間差−1.0%、95%信頼区間−7.8〜5.7%)と非劣性マージン10%を満たしたこと、イサブコナゾール群はボリコナゾール群より肝胆道系障害(9% vs 16%)・眼障害(15% vs 27%)・皮膚障害(33% vs 42%)の頻度が低かったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Isavuconazole in the treatment of invasive aspergillosis and mucormycosis infections(Infection and Drug Resistance・2016)イサブコナゾールの静注製剤はボリコナゾール・ポサコナゾールと異なり水溶性でありシクロデキストリン系可溶化剤を必要としないこと、ボリコナゾールIV製剤で問題となるシクロデキストリン系可溶化剤(スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)の腎機能低下例での蓄積・腎毒性懸念がこの薬では生じないことを確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.CRESEMBA (isavuconazonium sulfate) capsule, injection — Prescribing Information(Astellas Pharma US / DailyMed(米国FDA)・2026)CRESEMBAは侵襲性アスペルギルス症と侵襲性ムーコル症の両方が承認適応であること、家族性QT短縮症候群の患者には禁忌でありQTc間隔の用量依存性短縮(治療用量のカプセル2錠相当でプラセボとの最小二乗平均差-13.1ミリ秒、6錠相当で-24.6ミリ秒)が確認されていること、軽度・中等度肝機能障害(Child-Pugh A・B)では用量調整不要だが重度障害では有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること、腎機能障害患者では用量調整不要であることを確認した。閲覧 2026-08-27