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Drug Atlas · B11 Diuretics / 利尿薬

フィネレノン

finerenone

分類
Diuretics / 利尿薬
商品名(日本)
ケレンディア
商品名(EU)
Kerendia
科目
PharmacologyInternal Medicine
トピック
B6: Drugs acting on the renin-angiotensin-aldosterone-system (RAAS)B11: Potassium sparing diuretics, ADH antagonists, osmotic diureticsL-37: Chronic Kidney Disease and Uremic SyndromeE-11: Managing diabetic patients and their complications
承認適応
糖尿病性腎症慢性腎臓病慢性心不全
禁忌疾患
原発性副腎不全
副作用
低血圧
監視検査値
カリウムクレアチニン
相互作用
イトラコナゾールクラリスロマイシン

🧠 全体像と同じく(MR)を標的とするが、ステロイド骨格を持たない非ステロイド型MR拮抗薬という一点でこの2剤と根本的に袂を分かつ。結合様式が変わることでのリクルートパターンが変化し、抗炎症・が前面に出る一方で集合管でのNa再吸収抑制は弱く、利尿・はごく限定的にとどまる。血圧を下げる薬ではなく、2型糖尿病に合併したでRAS阻害薬・SGLT2阻害薬に続く「第3の柱」としてする腎・という、とは別カテゴリの地位を占める。

薬効群の中での位置づけ

項目
骨格 ステロイド型 ステロイド型 非ステロイド型
への交差 高い( 低い ほぼ無い
MRとの結合 だがが異なりリクルートが変化
前面に出る作用 Na再吸収抑制(利尿) Na再吸収抑制(利尿) 抗炎症・(利尿は弱い)
腎に偏る 腎に偏る 腎・心臓に相対的に均等
位置づけ ・抗アルドステロン薬 腎・(利尿薬としては使わない)

「なぜだけ利尿薬として使わないのか」がこのノートの核心。 ステロイド型2剤は集合管のNa再吸収を強く抑えるから・浮腫治療に使えるが、はこの経路への効きが弱い代わりに腎・心筋の炎症・線維化を直接止める方向へ振れている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='finerenone'>フィネレノン</span>が集合管・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal interstitium'>腎間質</span>・心筋・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>のMRへ非ステロイド骨格で結合"] --> B["アルドステロンの結合を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に阻害"]
    B --> C["受容体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>がステロイド型と異なり<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='coregulator (coactivator/corepressor)'>共役因子</span>のリクルートパターンが変化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory cytokine'>炎症性サイトカイン</span>産生・線維芽細胞のコラーゲン産生を抑制"]
    D --> E["腎糸球体・間質と心筋のリモデリングを抑制"]
    E --> F["腎機能低下の進行を遅らせ、心不全<span class='jp-term jp-term-diagram' title='all-or-none outcomes'>アウトカム</span>を改善"]
    B --> G["ENaC・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sodium-potassium ATPase'>Na⁺/K⁺-ATPase</span>の活性化は弱く<br>利尿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive effect'>降圧作用</span>はごく限定的"]

💡 ステロイド型2剤はNa再吸収系の遺伝子発現を強く動かすが、は炎症・線維化に関わる遺伝子発現の抑制に偏る。これが「利尿薬らしくないMR拮抗薬」の分子的根拠。

薬物動態

項目 値・特徴
約43.5%(消化管・肝でのあり)
代謝 CYP3A4(約9割)と一部CYP2C8でへ変換
半減期 約2〜3時間と短い
蛋白結合率 約92%

⚠️ CYP3A4依存はより徹底している。 強力なCYP3A4阻害薬(など)との併用は重篤な高K血症を招くためも同じ理由で避ける。強力・中程度のとの併用も効果減弱のため避ける。

適応

領域 使いどころ
を伴う2型糖尿病合併)。RAS阻害薬・SGLT2阻害薬を使用してもなおが残る例へ追加する1
循環器 40%以上の。心血管死・心不全入院・緊急受診を減らす目的で承認された2

根拠はFIDELIO-DKD試験(腎複合減少)3・FIGARO-DKD試験(心血管複合減少)4とその、心不全への拡大は別のFITS-HF試験2

⚠️ いずれも血清Kが正常で・心不全症状が残る例が対象で、透析域の重症CKDへの適応ではない。承認範囲は版で変わるため最新の添付文書で確認する。

用法・用量

CKD合併2型糖尿病ではeGFR 60mL/min/1.73m²以上で1日20mg、25以上60未満で1日10mgから開始し目標用量の1日20mgまで増量する。eGFR 25未満では開始しない2。心不全(40%以上)ではeGFRに応じ1日20〜40mgまで用いる。

⚠️ 開始前・開始後4週での血清K測定が必須で、あわせてクレアチニンから推算するeGFRも確認する。血清Kが5.0mEq/Lを超える場合は開始しない・増量しない2。増量後も4週後にK・eGFRを再評価し継続・減量・中止を判断する。閾値は改訂されうるため最新の添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:強力なCYP3A4阻害薬との併用、(アルドステロン欠乏状態へ抗アルドステロン作用が加わり高K血症・低血圧が増悪しうる)
  • 重度C)はデータが乏しく使用を避ける
  • ⚠️ RAS阻害薬との併用は高K血症を積み増す一方、SGLT2阻害薬はK排泄を促すためしうると報告されるが、Kモニタリングは省略しない
  • は避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 高K血症(試験では群約14%、群約7%)
注意 低血圧、低Na血症
重篤・まれ 重度高K血症による不整脈

まとめ

  • 非ステロイド型MR拮抗薬。性へのがほぼ無く、抗炎症・が前面に出る一方、利尿・は弱い。
  • 薬効群はだが、実際の使いどころは利尿薬ではなく腎・
  • 適応はを伴う2型糖尿病合併(RAS阻害薬・SGLT2阻害薬に続く第3の柱)と、40%以上の
  • 用法・用量はeGFRと血清Kで決まり、開始前・開始4週後のK測定が必須。K5.0mEq/L超では開始・増量しない。
  • CYP3A4で代謝されるため強力なCYP3A4阻害薬・を避ける。禁忌は同薬併用と。最重要副作用は高K血症。

出典

  1. 1.KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease(KDIGO・2024)2型糖尿病合併CKDでRAS阻害薬・SGLT2阻害薬に続く第3の柱としてフィネレノンの追加を推奨する(推奨度2A、FIDELIO-DKD/FIGARO-DKDとその統合解析FIDELITYが根拠)閲覧 2026-08-01
  2. 2.Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine・2020)2型糖尿病合併CKDでフィネレノンが腎複合アウトカム(eGFR持続低下・末期腎不全・腎死)を有意に減らした閲覧 2026-08-01
  3. 3.Cardiovascular Events with Finerenone in Kidney Disease and Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine・2021)アルブミン尿の軽い例を含む2型糖尿病合併CKDで、フィネレノンが心血管複合アウトカムを有意に減らした閲覧 2026-08-01
  4. 4.KERENDIA (finerenone) tablets, for oral use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration・2025)eGFR・血清K値による開始用量と開始可否の基準、および左室駆出率40%以上の心不全への適応拡大(FINEARTS-HF試験)閲覧 2026-08-01