検査値ノート一覧へ

Lab values · Published

カリウム

Potassium

別名
血清カリウムK値高カリウム血症低カリウム血症
臓器系
腎・泌尿器内分泌・代謝循環器
科目
Internal MedicinePathophysiology
トピック
内科学 N-05:電解質異常病態生理 2-19:カリウム平衡の異常
関連疾患
Waterhouse-Friderichsen症候群ウイルス性胃腸炎コレラコンパートメント症候群悪性高熱症悪性症候群横紋筋融解症急性腎障害血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)原発性アルドステロン症原発性副腎不全高血圧症周期性四肢麻痺心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)腎動脈狭窄症腎尿細管性アシドーシス先天性QT延長症候群先天性副腎過形成大腸腺腫糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群糖尿病性腎症尿路結石症副腎皮質癌慢性腎臓病溶血性尿毒症症候群
監視対象薬
アセタゾラミドアビラテロンアミロリドアンフォテリシンBイルベサルタンインダパミドエタクリン酸エナラプリルエプレレノンオシロドロスタットオンダンセトロンカプトプリルジギトキシンジゴキシンジゴキシン特異的抗体Fab断片ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムスピロノラクトンドロスピレノンパチロマーバルサルタンバルサルタン+サクビトリルパロノセトロンバンデタニブヒドロクロロチアジドヒドロコルチゾンフィネレノンフルドロコルチゾンフロセミドプロポフォールベネトクラクスペリンドプリルポリスチレンスルホン酸ナトリウムラミプリルレザフンギンロサルタン
影響する薬剤
アセタゾラミドエノキサパリンクラスコテロンサクシニルコリンサルブタモールサルメテロールシクロスポリンAスルファメトキサゾール+トリメトプリムセンノシドタクロリムステオフィリンテルブタリンビサコジルフェノテロールフォスカルネットペグセタコプランペニシリンGホルモテロール

🧠 全体像(K)は、総体内量のごく一部である細胞外Kを測る検査である。わずかな変化でも膜電位とを乱すため、値の高さ・低さだけでなく、変化速度、心電図、腎機能、酸塩基状態、検体のを同時に読む。高値と低値は同じ親ノートで扱い、緊急時は原因確定より不整脈予防を優先する。

何を測っているか

体内Kの約98%は細胞内にあり、血清・血漿中は約2%にすぎない。血中濃度は、摂取量よりも、アルドステロン、へのNa・水の供給、に強く左右される。

flowchart TD
    A["血清K異常"] --> B["検体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reliability'>信頼性</span>と心電図を確認"]
    B --> C{"高値か低値か"}
    C -->|"高値"| D["細胞外移動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal excretion (renal elimination)'>腎排泄</span>低下・細胞崩壊を分ける"]
    C -->|"低値"| E["細胞内移動・腎性喪失・腎外喪失を分ける"]
    D --> F["腎機能・薬剤・酸塩基・血糖を統合"]
    E --> F
    F --> G["緊急治療と原因治療を並行"]

インスリンとβ2刺激はを介してKを細胞内へ移し、や細胞崩壊は状況により細胞外へ移す。したがって血清Kは量と一致せず、では血清値が正常〜高値でもは欠乏し得る。

基準値と緊急度

成人の目安は約3.5〜5.0 mmol/Lだが、血清か血漿か、分析装置、年齢、施設で異なるため検査室基準を優先する。

区分 目安 読み方
低K血症 3.5 mmol/L未満 3.0未満で症状・不整脈リスクが上がる
重度低K血症 2.5 mmol/L未満、または症候性 心電図監視と迅速な補正を検討
高K血症 5.5 mmol/L以上 を確認しつつ原因評価
重度高K血症 6.5 mmol/L以上 原則として緊急評価・治療対象

⚠️ K値と心電図所見は平行しない。正常心電図でも重度高K血症を安全とは判断できず、急速な上昇、腎不全、筋力低下、徐脈・QRS幅延長があれば直ちに対応する。

高値の意味

機序 代表的状況 同時に見るもの
採血時溶血、強い握りし運動、長い、著明な血小板・白血球増加 、血漿K、血算、再採血
低下 AKI、CKD、、4型 クレアチニン、尿量、酸塩基
薬剤 、NSAIDs、、ヘパリン 開始時期、併用、腎機能
細胞外移動 、代謝性アシドーシス、β遮断、 血糖、血液ガス、薬剤歴
細胞崩壊 、腫瘍崩壊、溶血、熱傷 CK、尿酸、リン、Ca、LDH

高K血症では、、P波消失、QRS幅延長、、徐脈、を来し得る。ただし典型的な順序を必ずたどるわけではない。

緊急対応の骨格

  1. 心電図変化があれば静注Caで膜を安定化する。CaはKを下げない。
  2. インスリン+ブドウ糖と吸入でKを一時的に細胞内へ移す。
  3. 原因薬を止め、尿量があれば利尿、病態に応じまたは透析で体外へ除去する。
  4. K、血糖、心電図を反復し、移動療法後のと低血糖を監視する。

は急性高K血症へ一律に投与せず、重い代謝性アシドーシスなど別の適応がある場合に検討する。

低値の意味

機序 代表的状況 鑑別の軸
消化管喪失 下痢、嘔吐、下剤、瘻孔 病歴、酸塩基、尿中K
腎性喪失 ループ・、1・2型RTA 血圧、尿中K、酸塩基
細胞内移動 インスリン、、アルカローシス、 発症速度、薬剤、甲状腺、リン
摂取不足 、長期絶食、(多因子) Mg、、併存する喪失

低K血症は筋力低下、麻痺、、便秘・イレウスを起こし、心電図ではT波平低化、ST低下、、QU延長、を認め得る。

安定して経口可能なら経口塩化Kを優先する。重度、症候性、心電図異常、経口不能では監視下の静注補充を行い、・濃度・速度は施設手順に従う。低値を同時に補正しないと、腎からKが失われ補正抵抗性になりやすい。

原因を絞る組合せ

所見の組合せ 考え方
低K+代謝性アシドーシス 下痢、1・2型RTA、治療中など
低K++低血圧 嘔吐、利尿薬、Bartter・
低K++高血圧 など
高K+正常AG性アシドーシス 4型RTA、作用

尿中Kは採取時の血清K、尿量、Na供給、利尿薬の影響を受ける。単一の尿中K固定値だけで腎性・腎外性を断定せず、、酸塩基状態、血圧と組み合わせる。

測定上の注意

⚠️ 予想外の高値で患者が安定している場合は、治療を遅らせない範囲で非溶血検体を再採取する。採血時の握りし運動、細い針、強い吸引、長い、激しい振盪、搬送遅延はを作る。

  • 著明な白血球増加では採血後の細胞崩壊で、逆に室温放置中の細胞取り込みでが起こり得る。
  • 血清Kは凝固時の血小板放出により血漿Kよりやや高い。経時比較では検体種をそろえる。
  • 輸液ラインからの採血ではK含有液やブドウ糖液の混入を避ける。
  • 臨床現場即時と中央が違うときは検体種、溶血検出能、採取時刻を確認する。

経時変化とモニタリング

急性異常では単回値より治療後の推移が重要である。高K血症は細胞内移動療法の効果が切れた後、低K血症は補充終了後や酸塩基・インスリン状態の変化後にし得る。Kとともに心電図、血糖、Mg、、腎機能、尿量を同じ時間軸で追う。

まとめ

  • 血清Kは総体内量ではなく、の合成結果である。
  • 高値ではまず、心電図、腎機能を確認し、重度例では・細胞内移動・を並行する。
  • 低値では尿中K、酸塩基、血圧、Mgから喪失部位と機序を絞る。
  • 正常心電図は重度高K血症を除外せず、治療後も変化を監視する。
  • 検体種と採血手技をそろえ、予想外の値はと再検で確かめる。