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Drug Atlas · B21 Bronchodilators / 気管支拡張薬 · 必修

テオフィリン

theophylline

分類
Bronchodilators / 気管支拡張薬
商品名(日本)
テオドールユニフィルLA
商品名(EU)
Uniphyllin
科目
PharmacologyPulmonology
トピック
B21: Selective β2-stimulants and other bronchodilators16: 呼吸器疾患の全身薬物療法
副作用
痙攣悪心振戦
影響検査値
カリウム
相互作用
アデノシンクラリスロマイシンジピリダモールシプロフロキサシンシメチジン
対象疾患
気管支喘息慢性閉塞性肺疾患

🧠 全体像という、とは全く別系統のである。と同じ仲間の薬という出自どおり、気道を広げるだけでなく中枢神経を刺激し、利尿・も促す。治療域とが近接しており、しかも主なCYP1A2は喫煙・多くの薬剤で活性が動くため、「効いているつもりが実はに入っている」という事故が起こりやすい。ICS・LABA・LAMAという安全な選択肢が揃った現在、優先順位の低い限定的な追加薬と位置づける。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 機序 位置づけ
刺激→cAMP↑ 発作治療・維持療法の主軸
拮抗 ・COPD維持
非選択的PDE阻害+ 治療域が狭く必須。他剤でコントロール不十分な場合の追加薬

を直接標的にしない。 へ作用するのに対し、ではPDE3/4阻害やなど複数の機序が提唱されている。ただし気道での作用機序は完全には確定しておらず、単一経路だけで説明しない。1

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='theophylline'>テオフィリン</span>"] --> B["部分機序としてPDE3/4阻害が提唱"]
    B --> C["cAMP・cGMPの分解↓→細胞内濃度↑"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway smooth muscle relaxation'>気道平滑筋弛緩</span>"]
    A --> E["アデノシンA1/A2受容体を拮抗"]
    E --> F["投与したアデノシンの作用を弱める"]
    E --> G["中枢神経刺激・利尿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric acid secretion'>胃酸分泌</span>亢進"]
    E --> H["アデノシンが本来持つ抗痙攣作用が失われる"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lowering of the seizure threshold'>痙攣閾値低下</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toxic range'>中毒域</span>で痙攣)"]
    A --> J["低用量でのHDAC2活性化が提唱"]
    J --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steroid-sensitive'>ステロイド感受性</span>回復という機序的仮説"]

💡 は、中毒症状と薬物相互作用を理解する鍵になる。 アデノシンは本来、中枢神経系を抑制し痙攣を起こしにくくする方向に働く内因性物質である。がこの働きを遮断すると中枢神経が刺激され、治療域を超えると不眠・振戦にとどまらず痙攣という重篤な中毒症状にまで至る。として投与するアデノシンの効果が併用下で減弱するのも、この機序の裏返しである。1

💡 低用量には「」とは別の機序が提唱されている。 低用量では2(HDAC2)を介してを回復させる可能性が研究されてきた。ただし、この機序的仮説はCOPDの増悪抑制効果としては確認されておらず、低用量を増悪予防目的に定型使用しない。2

薬物動態

項目 値・特徴
ほぼ100%(製剤は食事の影響を受けることがある)
血中濃度と効果 気管支拡張は5〜20 μg/mLでみられるが、多くの患者では定常状態のピーク値10〜15 μg/mLで効果と安全性の均衡を取り、20 μg/mL超で有害事象が増える1
蛋白結合率 約40%
代謝 主に肝CYP1A2(一部CYP3A4・CYP2E1)で複数経路に代謝
排泄 代謝物として
半減期 が大きい。標識情報の平均は健康な非喫煙成人で8.7時間、高齢者で9.8時間。乳幼児・小児では年齢差が大きく、喫煙で短縮、肝疾患・心不全・発熱・敗血症などで延長しうる1

CYP1A2の活性が・薬剤相互作用の中心。 喫煙は代謝経路を誘導してクリアランスを速める。禁煙後1週間でクリアランスが約40%低下した標識データがあり、禁煙開始時は減量の要否を検討して血中濃度を頻回に確認する。喫煙状況の変化そのものがのトリガーになる薬である。1

適応

領域 使いどころ
・ICSでコントロール不十分な場合の追加治療。治療域の狭さから現在は優先順位が下がっている
COPD に、吸入で不十分または利用できない場合に慎重に検討する限定的な追加治療

⚠️ を区別する。 COPDでは経口を限定的な追加薬として検討しうるが、中等症・重症のに静注またはアミノフィリンを投与することは、有効性が乏しく有害事象が多いため推奨されない。2

用法・用量

の追加治療として経口製剤を使用する場合は、少量から漸増し、製剤ごとに定められた採血時点で定常状態のを確認する。多くの患者ではピーク10〜15 μg/mLで効果と安全性の均衡を取り、20 μg/mL以上では無症状でも減量を検討する。開始・増量時、中毒症状出現時、発熱・肝疾患・心不全、禁煙、相互作用薬の追加・中止時に再測定する。実際の用量と採血時点は製剤間で異なるため、使用製剤の添付文書に従う。1

禁忌・注意

  • 禁忌または製剤成分への過敏症。活動性消化性潰瘍、痙攣性疾患(てんかんなど)、徐脈性以外の不整脈では病態を悪化させるおそれがあるため、利益と危険を評価して極めて慎重に用いる。1
  • ⚠️ 治療域が狭く、代謝・クリアランスの変動で容易にへ入る。 はCYP1A2阻害により、はクリアランス低下により血中濃度を上げうる。一方、フェニトイン・カルバマゼピン・リファンピシンや喫煙は血中濃度を下げうる。マクロライド系を一括して同じ強さのCYP1A2阻害薬とは扱わない。1
  • ⚠️ 中毒症状は段階的に進む。 悪心・嘔吐・頭痛といった軽微な症状で始まることが多いが、慢性中毒では症状なくいきなり痙攣やに至ることがある点がとの違いであり、慢性の軽度症状を軽視できない理由になる
  • 重症の中毒では)、痙攣にはベンゾジアゼピン、への対応、重症例ではを検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心・嘔吐、頭痛、不眠
注意 頻脈・振戦カリウム低下(低K血症)、の増悪
重篤・まれ 不整脈()、痙攣、慢性中毒ではなく出現しうる)

まとめ

  • 。非選択的PDE阻害+という、とは全く異なる機序で気管支を拡張する。
  • アデノシン拮抗という機序が、気管支拡張・中枢刺激・のすべてを説明する共通の鍵になる。
  • 血中濃度と効果・毒性が近接し、多くの患者では定常状態のピーク10〜15 μg/mLを目安に個別調整する。20 μg/mL超では有害事象が増える。
  • CYP1A2を含む複数経路で代謝され、喫煙、などで血中濃度が動く。 禁煙後は血中濃度が上がりうるため、減量の要否と再測定を検討する。
  • 中毒症状は悪心・頻脈から始まり、慢性中毒ではなく痙攣・に至りうる。
  • ICS・LABA・LAMAという安全な選択肢が普及した現在、優先順位が下がった「他剤でコントロール不十分な場合の追加薬」という位置づけに変わっている。

出典

  1. 1.Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 2026 Report(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)・2026)COPD中等症・重症増悪での静注メチルキサンチン非推奨と、安定期における限定的な追加治療の位置づけを確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.Theophylline (Anhydrous) Extended-Release Tablets: Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine DailyMed・2024)血中濃度と効果・毒性、年齢・疾患・喫煙によるクリアランス変化、禁忌・慎重投与、相互作用、血中濃度測定法閲覧 2026-08-02