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Disease Atlas · 神経 · 疾患

てんかん

Epilepsy

臓器系
神経
科目
NeurologyPharmacologyPediatrics
トピック
神経内科 G1-21:てんかん重積状態神経内科 G2-29:てんかん発作とてんかん(鑑別診断・分類・原因)神経内科 G2-30:てんかんの臨床管理薬理学 A21:抗てんかん薬・鎮痛補助薬小児科 3-10:小児てんかんと熱性けいれん
鑑別疾患
Brugada症候群Sandifer症候群カテコラミン誘発性多形性心室頻拍過剰驚愕症心因性非てんかん性発作身体症状症・変換症・病気不安症先天性QT延長症候群統合失調症片頭痛・一次性頭痛症候群
関連疾患
自閉スペクトラム症知的発達症
治療薬
ラモトリギンレベチラセタムカルバマゼピンエトスクシミドバルプロ酸ミダゾラムジアゼパム葉酸ラコサミドオクスカルバゼピンペランパネルチオペンタールゾニサミドフェニトインフェノバルビタールトピラマート
原因微生物
Taenia solium
症状
筋痛筋力低下錯乱自動症焦点性発作発作麻痺
検査値
血糖
スコア
ILAE分類
下位分類
Dravet症候群Lennox-Gastaut症候群てんかん性脳症若年ミオクロニーてんかん進行性ミオクローヌスてんかん睡眠関連過運動てんかん全般てんかん熱性けいれんプラス内側側頭葉てんかん乳児てんかん性スパズム症候群
元疾患
ウイルス性脳炎ミトコンドリア病水頭無脳症髄膜腫全前脳症多小脳回脳静脈洞血栓症脳穿通症脳膿瘍裂脳症
原因となる疾患
GLUT1欠損症候群Zimmermann-Laband症候群アンジェルマン症候群レット症候群海馬硬化外傷性脳損傷小児脳性麻痺低酸素性虚血性脳症(周産期仮死)熱性けいれん嚢虫症脳海綿状血管奇形脳梗塞
適応薬
ゾニサミドチアガビントピラマートビガバトリンフェルバマットブリバラセタムプリミドンペランパネルラコサミドレベチラセタム大麻
禁忌薬
イミペネム+シラスタチンカルベトシンシクロセリンセビメリンテリジドントラマドールピロカルピンファンプリジンブプロピオンフルマゼニルプロチオナミドベタネコールメトクロプラミドメフロキンリンデン

🧠 全体像:てんかんは、発作を生じる持続的な脳の素因をもつ疾患である。「発作という一回の出来事」と「反復素因としてのてんかん」を区別し、情報から発作型を分類したうえで、原因・症候群・併存症を統合して診断と治療を組み立てる。

定義

は、脳内の異常に過剰または同期した神経活動によって起こる一過性の徴候・症状である。てんかんは、そのような発作を生じる持続的素因と、それに伴う的・認知的・心理的・影響を含む脳疾患である。

ILAEの2014年実用的定義では、次のいずれかを満たすとてんかんと診断する1。

  1. 24時間を超えて間隔をあけた2回以上のまたは
  2. 1回のまたはに加え、2回の発作を起こした人の一般的な再発リスクと同程度(少なくとも60%)の再発確率が、今後10年間にわたって見込まれること
  3. の診断

💡 2の「60%」は任意の閾値ではなく、2回目の発作を起こした人のその後の再発リスクに合わせた数字である。1回目の発作であっても、構造病変やなどによって再発リスクがそこまで上がっているなら、2回目を待たずにてんかんとして扱ってよい、という考え方になっている。

低血糖、電解質異常、急性脳卒中、急性中枢神経感染、などに時間的に密接して起こるは、それだけではてんかんを意味しない。誘因のない発作と、脳への急性侵襲に反応した発作を分けることが診断の入口である。

同じ2014年の報告は、てんかんが解消した状態も定義している。で該当する年齢を過ぎた場合、または直近10年間発作がなく、かつ直近5年間はを使用していない場合である。ただしこれは従来の「寛解」「治癒」と必ずしも同義ではない1。

病態

発作は、興奮性と抑制性の均衡が崩れ、神経ネットワークが異常に同期することで生じる。イオンチャネル、、神経回路、グリア機能の異常が単独または複合してを低下させる。

構造病変の後には、神経細胞死、炎症、軸索再編、受容体発現変化などを介してな発作素因が形成されることがある。この過程をという。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genetic predisposition'>遺伝的素因</span>・構造病変・感染・免疫・代謝異常"] --> B["興奮性と抑制性の均衡が破綻"]
    B --> C["神経ネットワークが過剰に同期"]
    C --> D["一過性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epileptic seizure'>てんかん発作</span>"]
    D --> E["意識・運動・感覚・自律神経・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive symptoms'>認知症状</span>"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な発作素因が形成"]
    F --> G["反復する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unprovoked'>非誘発性</span>発作"]

分類と原因

2025年ILAE発作分類

主分類 意味 記載の要点
片側大脳半球のネットワークから生じる 意識を認識と反応性の両面で評価し、徴候を時間順に記載する
両側性ネットワークへ速やかに関与する ・・その他の(、、、脱力、、など)の3群にまとめる
焦点性かか不明 発作であるが起始側を決める情報が不足する と同じく意識で分類する。病歴、EEG、画像が揃えば再分類する
発作 情報不足または既存分類に当てはまらない 無理に分類せず、観察できた現象を残す

2025年分類では、主分類名から「起始」が外された。にも焦点性の起始を示唆する所見があるためである。「意識」は認識と反応性の2つで操作的に定義され、2017年版の「認識」に代わる分類子となった。意識で分類するのはと起始不明の発作で、意識の状態が判定できなければ主分類名のまま留める。従来の運動性・の二分は、観察できる徴候の有無という記述へ置き換えられ、拡張版では最初の徴候だけでなく症状の時間的な連なり全体で発作を記述する。ではが新たに発作型として認められ、からは「」の語が外された(中にも運動現象がみられるため)。全体は4主分類・21発作型で、63発作型あった2017年版から大きく整理されている。は本分類の対象外で、別に公表された提言が扱う2。

病因分類

病因 代表例
構造的 脳卒中、外傷、腫瘍、、、(など)
遺伝的 遺伝性、、など
感染性 脳炎後、、関連中枢神経感染など
代謝性 特定の
免疫性 など
不明 適切な評価後も原因が同定されないもの

一人に複数の病因が重なる場合がある。年齢、発作型、発達、、EEG、画像、遺伝学を統合して、可能ならまで同定する。

構造的病因のうちは、病変そのものではなく病変の周囲がになる型の代表である。この奇形でもっとも多い臨床像は発作(約50%)で、(25%)・(25%)がこれに続く3。💡 発作は、初回の症候性出血によって、あるいはが繰り返されることによって誘発されると考えられている——いずれも周囲に血液()が残り、病変周囲のと炎症を起こすという同じ道筋をたどる4。⚠️ 2017年版のガイドラインは機序を「の反復」だけで書いていたが、2026年版は「初回の症候性出血」を並べて挙げている——1回の出血で完結しうる点が加わったということである34。

⭐ になりやすいのは・皮質、とくにの病変である。 ⭐ 薬物治療への反応は悪くない——に関連するてんかん(CRE)と診断された患者の約50〜60%はでに至る。⚠️ 一方、適切に選択・用量設定された2剤で抑えられないが約20〜25%に生じ、これもの病変で多い4。⚠️ この奇形によると考えられる初回発作にはを開始する(Class 1, Level B-NR)——確実なCREでは初回のの再発リスクが5年で90%超と高いためである4。⚠️ の病変が同定されるなら、とくにでは発作抑制を目的とした早期の摘出術が有用でありうる(Class 2a, Level B-NR)。⭐ のには、放射線手術ではなく摘出が妥当とされる4。💡 依拠する指針は2017年版(Angioma Alliance)から2026年版(Alliance to Cure Cavernous Malformation)へ替わっており、格付けの書き方もclass IIa, level BからAHA/ASA方式のClass 2a, Level B-NRへ変わった(クラスが推奨の強さ、レベルがエビデンスの質で、NRは非研究に基づくことを示す)4。

遺伝的病因の代表例として、ではてんかんが最大90%に生じ、15q11.2-q13欠失例でより高頻度である。発症は1〜3歳が多く、大半は5歳までに現れる。発作型は、脱力、全般、が多く、最大50%が複数の発作型をもつ。が20%にみられる一方、上のてんかん性変化を伴わない非てんかん性も20%にあり、真の発作と区別する必要がある5。

臨床像

発作症状

発作型 主な臨床像
片側の運動・、、、恐怖、嗅覚症状、など。両側へ進展しうる
突然始まり突然終わる短い反応停止。しばしば頻回で、の混乱は乏しい
一瞬の筋収縮。覚醒後や睡眠不足で目立つことがある
相に続く律動性、の眠気・混乱、筋痛を伴いうる
・ 筋緊張の急な増加または消失により転倒外傷を来しうる

では、症状の時間順序が焦点と伝播経路の推定に役立つ。舌咬傷、混乱、局在性の麻痺は支持所見だが、単独で診断を確定しない。

鑑別診断

鑑別 手掛かり
反射性失神 誘因、発汗・悪心・、蒼白、短い、速やかな回復
労作中または臥位での発症、、家族歴、心電図異常
片頭痛 数分かけて進展する陽性視覚・
突然の陰性が中心で、同じ短いをに反復することは少ない
低血糖 発汗、振戦、行動変化と血糖低値
睡眠段階との関連、比較的長い複雑行動、部分的覚醒
長く変動する経過などが手掛かり。典型発作をビデオEEGで捉えて診断する

はな行動ではなく、てんかんとの併存もある。頭皮EEGに変化が見えないもあるため、陰性EEGだけでと決めない。

てんかんに伴う精神病

てんかんにはが併存しうる。系統的レビューとの統合推定では、てんかん患者における精神病のは5.6%(95%CI 4.8〜6.4)で、対照群と比べたは7.8であった。では7%(95%CI 4.9〜9.1)と高く、病型別では精神病が5.2%(95%CI 3.3〜7.2)、精神病が2%(95%CI 1.2〜2.8)である6。いずれも観察研究の統合であり、因果の向きを決めるものではない。

病型 このレビューが採用した定義
精神病 てんかんが無ければのを満たすであろう。相応に長い経過をとり、発作の出現とは関連しない。「てんかんの様精神病」とも呼ばれる
精神病 発作の直後、または見かけ上正常な精神機能に戻ってから1週間以内に出現する精神病。24時間以上3か月以内持続する

⚠️ 精神病は定義上、てんかんの存在を除けばと区別がつかない。 逆に、だけを見てと判断すると、背景にあるを取り逃す。のある患者に、短くな反応停止の反復、、、、の混乱があれば、EEGを含めたてんかんの評価を行う。

小児と熱性けいれん

は、通常6か月〜5歳の発熱に伴う発作で、中枢神経感染、急性代謝異常、既往の無熱性発作がないものをいう。は、15分未満、24時間内1回であり、焦点性、15分以上、または24時間復のいずれかを満たせばである。

でに正常なら、EEG・画像・血液検査は通常不要で、長期による予防も通常行わない。、遷延する意識障害、、があれば髄膜炎・脳炎を評価する。5分以上続くけいれんは原因にかかわらず救急治療の対象である。

診断

初回発作の評価

発作前の誘因、姿勢、、左右差、眼球・頭部、反応性、、経過を本人と者から聴取する。スマート動画は診断精度を高めうる。

診察では、血糖、神経局在徴候、外傷、感染徴候を確認し、電解質、腎肝機能、妊娠可能性、薬物・飲酒歴などを臨床像に応じて調べる。で、を模倣する不整脈・の手掛かりを探す。

flowchart TD
    A["一過性の意識・運動・感覚イベント"] --> B["本人・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='witnessed'>目撃</span>者・動画から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='time course'>時間経過</span>を再構成"]
    B --> C["血糖・心電図・急性誘因を評価"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epileptic seizure'>てんかん発作</span>が疑わしいか"}
    D -->|"はい"| E["発作型を分類しEEGを検討"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epilepsy-protocol MRI'>てんかんプロトコルMRI</span>で構造病変を評価"]
    F --> G["病因・症候群・再発リスクを統合"]
    D -->|"不明または別疾患らしい"| H["失神・心疾患・片頭痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional seizure'>機能性発作</span>などを評価"]
    G --> I["個別化した治療と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='safety plan'>安全計画</span>"]

EEGと画像

  • EEGは発作型・症候群の診断を支持するが、正常でもてんかんを除外しない。
  • があっても、臨床イベントとの整合なしにてんかんと確定しない。
  • 通常EEGが正常でも疑いが残る場合、睡眠不足EEG、長時間・携帯型EEG、ビデオEEGを段階的に検討する。
  • は、、腫瘍、脳損傷などを検索する。特発性など、画像を省略できる典型例もある。

初回の治療は、、EEG、構造病変、既往脳損傷、症候群を基に再発リスクを評価し、薬剤の利益・有害事象と本人の希望を共有して決める。

治療

抗発作薬

原則として適切な単剤を少量から開始し、と副作用をみながら増量する。無効と判断する前に、診断、発作型、服薬状況、睡眠不足、飲酒、相互作用を再確認する。

主な初期選択 重要な注意
または カルバマゼピン、などは次の選択肢になりうる
、、バルプロ酸から個別選択 ・の併存を確認する
単独 他の発作型を伴う場合はを選ぶ
またはバルプロ酸 カルバマゼピン、、フェニトインなどは悪化させうる

薬剤は発作型だけでなく、、年齢、腎肝機能、気分・認知、体重、骨健康、相互作用、服薬回数、生殖計画を含めて選ぶ。は重篤な皮疹を避けるため緩徐に増量し、では・抑うつなどの精神を確認する。

⚠️ バルプロ酸の妊娠中曝露は、重大なと児のを来しうる。妊娠可能性のある患者では臨床的に可能なら避け、他に十分な発作抑制を得られる選択肢がない場合は、妊娠検査陰性の確認、有効性の高い避妊の継続、専門医による年1回以上の適応再評価を含むの条件下でのみ用いる7。

妊娠・生殖に関する管理

時期・状況 管理の要点
妊娠前 発作型に適するなら、、を検討する。バルプロ酸を避け、可能なら・も代替する。発作抑制と胎児リスクを両立する薬剤・用量を妊娠前から計画する
妊娠中 ・焦点性両側を最小化する。妊娠判明後に有効薬を自己中止・せず、専門医と産科で利益とリスクを再評価する
薬剤の妊娠中と臨床像に応じて測定・調整する。特にとは血中濃度が低下しやすい
葉酸 を使用する妊娠可能性のある患者では、少なくとも0.4 mg/日を妊娠前から妊娠中まで投与する。より高用量の適否は地域指針と個別リスクで決める
男性のバルプロ酸 3か月の父親曝露と児のについて研究結果は一致せず、は未確立である。潜在的リスク、、避妊・受胎計画を説明し、現地に沿って定期評価する

発作抑制不良そのものも妊娠中の本人と胎児を危険にさらす。薬剤の胎児リスクだけを見て治療を中断せず、妊娠前からを行う。

発作が抑制されても一律に中止せず、無間、症候群、病因、EEG、画像、生活上の影響を基に再発リスクを個別評価し、決定した場合は原則として緩徐に減量する。

薬剤抵抗性てんかん

適切に選択され、された2つの治療を、単剤または併用で十分に用いても持続的なが得られない場合をとする。薬剤を際限なく追加せず、包括的てんかんセンターへ早期に紹介する。

焦点がなら、外科手術が長期の最良の機会となりうる。切除・術のほか、、、、専門チーム管理下のを病態に応じて検討する。

てんかん重積状態

けいれんが5分以上続く、または意識が回復しないまま反復すれば、として直ちに治療する。

flowchart TD
    A["けいれんが5分以上または回復なく反復"] --> B["安全確保・ABC・酸素化・血糖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路</span>"]
    B --> C["十分量のベンゾジアゼピン"]
    C --> D{"発作が停止したか"}
    D -->|"いいえ"| E["規定時間後に第二投与まで行う"]
    E --> F["第二選択:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levetiracetam'>レベチラセタム</span>・フェニトイン系・バルプロ酸など"]
    F --> G{"なお持続するか"}
    G -->|"はい"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intensive care unit'>ICU</span>・気道管理・麻酔薬・持続EEG"]
    D -->|"はい"| I["意識回復を確認し原因治療"]
    G -->|"いいえ"| I

十分量のベンゾジアゼピンで停止しない場合、、フェニトイン(または)、バルプロ酸は同程度(約50%)の発作停止率と同様の安全性を示すため、いずれを第二選択としてもよい8。地域・院内の救急プロトコルと本人の個別緊急計画を優先する。発作が止まっても意識が戻らなければ、、鎮静薬作用、低血糖・電解質異常、脳損傷を再評価する。

長期管理と安全

  • 睡眠不足、過量飲酒、など本人固有の誘因を減らす。
  • 入浴・水泳、高所、火気、機械、運転は発作型と地域の法規に合わせてを作る。
  • は危険物を除き、頭部を保護し、可能ならにする。口に物を入れず、無理に押さえつけない。
  • 5分以上の発作、回復しない反復、、重い外傷、妊娠中の発作、初回発作では救急要請する。
  • うつ、不安、自殺リスク、認知、発達、睡眠、骨健康、学業・就労への影響を定期的に評価する。

てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)のリスクは診断時から個別に説明する。特に制御不良のまたは焦点性両側、服薬不良、アルコール・、夜間発作はな重要因子である。発作抑制とを最優先し、夜間発作がある高リスク例では本人・家族と夜間監視や発作検知機器の利点と限界を相談する。

まとめ

  • は一過性の出来事、てんかんは発作を生じる持続的素因をもつ疾患である。
  • 2025年では焦点性、、焦点性かか不明、の4主分類を用いる。
  • 診断は情報を軸に、とを除外し、EEG・・病因・症候群を統合する。
  • は発作型と症候群に合わせ、併存症、相互作用、生殖リスクを含めて個別化する。
  • 適切な2治療が失敗したらと考え、を含む包括的評価へ早期に紹介する。
  • けいれんが5分続けば重積状態として治療し、長期管理では外傷予防、心理社会面、SUDEPまで扱う。

出典

  1. 1.ILAE official report: a practical clinical definition of epilepsy(Epilepsia(International League Against Epilepsy)・2014)抄録を閲覧した(全文は未取得)。実用的定義の第2項が「1回の非誘発性(または反射性)発作と、2回の非誘発性発作後の一般的再発リスクと同程度(少なくとも60%)の再発確率が今後10年間にわたって見込まれること」であり、60%が任意の閾値ではなく2回目の発作後の再発リスクに合わせた数字であること、および「解消(resolved)」を「年齢依存性てんかん症候群で該当年齢を過ぎた場合、または直近10年間発作がなく、かつ直近5年間は抗発作薬を使用していない場合」と定義し、これが従来の寛解・治癒と必ずしも同一ではないと明記していることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Updated classification of epileptic seizures: Position paper of the International League Against Epilepsy(International League Against Epilepsy・2025)Europe PMC(PMC12169392)で全文を閲覧した。2025年改訂のILAE発作分類が焦点性・全般性・不明・未分類の4主分類を維持すること、Table 3 の変更点が「主分類名から onset を外した(全般性発作にも焦点性起始を示唆する所見があるため)」「分類子(classifier)と記述子(descriptor)を区別した」「awareness に代えて consciousness を分類子とし、awareness と responsiveness で操作的に定義した」「運動性/非運動性の二分を observable/nonobservable manifestations へ置き換えた」「最初の徴候だけでなく症状の時間的連なりで記述する」「てんかん性陰性ミオクローヌスを発作型として認めた」の6点であること、意識による下位分類が焦点性発作と起始不明の発作に適用され判定できない場合は主分類名に留めること、全般性発作を欠神・全般強直間代・その他の全般発作の3群にまとめたこと、欠神発作から nonmotor の語を外したこと、4主分類・21発作型(2017年版は63発作型)であること、新生児発作は本分類の対象外で別の提言が扱うことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Synopsis of Guidelines for the Clinical Management of Cerebral Cavernous Malformations: Consensus Recommendations Based on Systematic Literature Review by the Angioma Alliance Scientific Advisory Board Clinical Experts Panel(Neurosurgery (Angioma Alliance Scientific Advisory Board)・2017)Europe PMCで全文(PMC5808153)を取得して確認した。脳海綿状血管奇形(CCM)の最多の臨床像が発作(50%)で頭蓋内出血25%・巣症状25%が続くこと、発作の機序を逐語で "Seizures related to CCM are thought to be induced by recurrent microhemorrhages, resulting in surrounding blood (hemosiderin), perilesional gliosis, and inflammation." と説明していること、CCM関連てんかん(CRE)の診断で薬物治療を行った患者の約50〜60%が初回診断後に発作消失に至ること("Approximately 50% to 60% of patients will become seizure free on medication after the first diagnosis of CRE.")、住民ベース研究では初回発作の5年リスクが頭蓋内出血・巣症状で発症した群6%・偶発発見群4%であったこと、薬剤抵抗性でそのCCMがてんかん原性であることに疑いが無い場合には早期の摘出術を考慮する(class IIa, level B)という推奨があることを確認した。閲覧 2026-09-16
  4. 4.Guidelines for the Diagnosis and Clinical Management of Cavernous Malformations of the Brain and Spinal Cord: Consensus Recommendations Based on a Systematic Literature Review by the Alliance to Cure Cavernous Malformation Clinical Advisory Board Experts Panel(Neurosurgery 98(1):3-22 (Alliance to Cure Cavernous Malformation Clinical Advisory Board)・2026)Europe PMCの全文(PMC12680281)を取得して確認した。2017年のAngioma Alliance版の改訂版であること、発作の機序を逐語で「Seizures related to CM are believed to be induced by a first symptomatic hemorrhage or by recurrent microhemorrhages, resulting in surrounding blood (hemosiderin), perilesional gliosis, and inflammation.」と述べ、2017年版に無かった「初回の症候性出血」が機序に加わっていること、CM関連てんかん(CRE)がテント上・皮質のCM、とくに側頭葉のCMで多いこと、確実なCREでは初回非誘発性発作後の再発リスクが5年で90%超であること、CMによると考えられる初回発作への抗発作薬投与が推奨されること(Class 1, Level B-NR)、薬物治療を始めた患者の約50〜60%が発作消失に至り(「Approximately 50% to 60% of patients will become seizure-free on medication after the first diagnosis of CRE.」)、適切に選択・用量設定された2剤で抑えられない薬剤抵抗性てんかんが約20〜25%に生じ側頭葉のCMと関連が強いこと、手術の推奨がTable 4 rec 4で逐語「Early surgical resection of CM for seizure control can be useful, especially with medically refractory epilepsy, if the epileptogenic CM responsible for epilepsy is identified. CM excision is reasonable, rather than radiosurgery for epileptogenic CM.」=Class 2a, Level B-NRであり、2017年版のclass IIa, level Bから格付けの書き方がAHA/ASA方式へ変わったことを確認した。閲覧 2026-09-16
  5. 5.Angelman Syndrome(GeneReviews(R), University of Washington, Seattle・2025)NCBI の live ページ(Last Revision: May 1, 2025)で全文を閲覧した。Table 2 が発作90%・非けいれん性てんかん重積20%・非てんかん性ミオクローヌス20%と示すこと、本文が「てんかんは最大90%に生じ、15q11.2-q13欠失例でより多くみられる」「発作の発症は1〜3歳が多く、いずれの年齢でも起こりうるが大半は5歳までに現れる」「発作型は多様で、最も多いのはミオクロニー・脱力・全般強直間代・非定型欠神であり、最大50%が複数の発作型をもち、点頭てんかんはまれ」「非てんかん性ミオクローヌスは脳波上のてんかん性変化を伴わず、脳波所見をもつ真の発作と区別すべきで、10歳代から若年成人に多い」と述べていることを確認した閲覧 2026-09-05
  6. 6.The prevalence of psychosis in epilepsy; a systematic review and meta-analysis(BMC Psychiatry・2014)本メタ解析自身の統合推定として、てんかん患者の精神病の有病率5.6%(95%CI 4.8〜6.4)、対照群に対するオッズ比7.8、側頭葉てんかんでの有病率7%(95%CI 4.9〜9.1)、発作間欠期精神病5.2%(95%CI 3.3〜7.2)、発作後精神病2%(95%CI 1.2〜2.8)を確認した。また本レビューが採用した定義(発作間欠期精神病=てんかんが無ければ統合失調症の診断基準を満たす精神病性障害で発作の出現と関連しない、発作後精神病=発作直後または見かけ上正常な精神機能への回復から1週間以内に出現し24時間以上3か月以内持続する)も本文Methodsで確認した閲覧 2026-09-05
  7. 7.Valproate and related substances - referral(European Medicines Agency・2018)妊娠可能性がある人にはバルプロ酸を、妊娠検査・有効な避妊・専門医の定期評価を含む妊娠防止プログラムの条件を満たさない限り使用してはならないという現行規制閲覧 2026-08-02
  8. 8.Randomized Trial of Three Anticonvulsant Medications for Status Epilepticus(New England Journal of Medicine・2019)ベンゾジアゼピン不応の痙攣性てんかん重積状態で、レベチラセタム・フェニトイン系(ホスフェニトイン)・バルプロ酸が同程度(約50%)の発作停止率と同様の安全性を示したこと閲覧 2026-08-02