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Symptoms · Published

失神

Syncope

臓器系
循環器
科目
Internal MedicineCardiologyPhysiology
トピック
内科学 S-04:失神の鑑別診断循環器内科 A-29:徐脈性不整脈循環器内科 A-33:心室性不整脈循環器内科 A-12:大動脈弁狭窄症と大動脈弁閉鎖不全症の診断生理学 3-05:体位変換時・運動時の心肺適応
関連疾患
Brugada症候群アナフィラキシーエーラス・ダンロス症候群たこつぼ症候群マルファン症候群ライム病異所性妊娠異常子宮出血(機能性子宮出血)一酸化炭素中毒急性冠症候群虚血性心筋症血管性・レビー小体型・前頭側頭型認知症など非アルツハイマー型認知症高安動脈炎自然流産徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)消化管出血(上部・下部)消化性潰瘍上室性頻拍症心筋炎心筋症心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)心臓弁膜症心房細動心房粗動先天性QT延長症候群大動脈解離大動脈弁狭窄症電気ストーム肺血栓塞栓症肺高血圧症肥大型心筋症不整脈慢性冠症候群(安定狭心症)慢性血栓塞栓性肺高血圧症
起因薬
ドキサゾシントレプロスチニルプラゾシンマバカムテン
スコア
Glasgow-BlatchfordスコアHCM Risk-KidsHCM Risk-SCD

🧠 全体像:失神は一過性のによるで、急速に発症し、短時間で、自然に完全回復する。この4条件に合わないは失神ではない。したがって診療は3段になる——①本当に失神か、②3分類(反射性・)のどれか、③があるか。頻度でいえば大半は反射性で予後もよいが、突然死につながるのはだけである。このノートの目的は3段目を外さないことにある。

まず「失神かどうか」を決める

一過性は失神より広い概念で、失神はその一部にすぎない。診断は情報に強く依存する。・発作中の運動の性質・回復の様子の3点でほとんど切り分けられる。けいれん発作との対比は 発作 も参照。

失神 転倒(なし)
数秒〜1分程度 1分を超えることが多い 数分〜数十分と長い
前駆 悪心・発汗・視野(反射性)/なし( (特定の感覚、 状況依存 なし
発作中の運動 短く不規則なの後に出る 律動的で左右同期すると同時か直前から 非律動的で長く続き、強くする
舌咬傷 のことがある 舌の側縁 まれ
回復 ただちにが戻る 数分〜数十分の 覚醒後も反応が乏しい 意識は保たれる
顔色 蒼白 チアノーゼ・うっ血 変化に乏しい

⚠️ けいれん様の運動があったから発作、とは決められない。 でも数回のは起こり、尿失禁は両者で生じる。分けるのは運動の有無ではなく、律動性・との前後関係・の長さである。

⚠️ 高齢者では「気がついたら倒れていた」という訴えが多く、本人がしていないことがある。者のいない反復する転倒は、失神として評価したほうが安全である。

💡 低血糖・低酸素・中毒による意識障害は「自然に完全回復する」条件を満たさない。回復に処置や長い時間を要したものは失神から外し、代謝性・の原因を探す。

3分類

反射性
機序 自律神経反射による血管拡張と徐脈 起立時に静脈還流の低下を代償できない 心拍出量の急落
誘因 長時間の立位、疼痛、採血、暑熱、恐怖。排尿・排便・咳・嚥下( 起立直後、食後、入浴、の開始・増量 労作。誘因なく起こる
悪心・発汗・蒼白・視野が数十秒続く 立ちくらみ、視野 ないことが多い。あってもだけ
体位 ほぼ立位(座位のことも) 立位への変換直後〜3分以内 体位を問わない。臥位でも起こる
回復後 意識はすぐ戻るが、感・悪心が数時間残ることがある 臥位で速やかに回復 突然もとに戻る
背景 若年に多いが高齢者にもある 脱水、

は「誘因があり、があり、立っていて、臥位で治る」という型どおりの現れ方をする。型から外れるほどを疑う——これが実務上いちばん使える発想である。

💡 と反射性の機序は排他的ではない。高齢者では自律神経のが落ちているため、起立という誘因に反射性の要素が重なって起こることが多い。分類にこだわるより、危険側かどうかの判断を先に済ませる。

⚠️ 心原性を示唆する所見

所見 何を意味するか
労作中の失神 流出路狭窄や拍出制限があり、需要に見合う心拍出量を出せない。労作直後の失神は反射性のことが多く、「中」か「後」かを必ず聞き分ける
臥位・座位での発症 によるでは説明できない。を強く示唆する
がまったくない突然の 拍出が瞬時に途絶えている=徐脈性または
直前の が先行している
心疾患の既往(心筋症、弁膜症、冠動脈疾患、心不全) 不整脈と拍出低下の基質がある
若年突然死、原因不明の溺死・単独事故死の家族歴 遺伝性不整脈症候群
心電図異常(高度徐脈、房室ブロック、、QT延長・短縮、 基質そのものが写っている
胸痛、呼吸困難、低血圧、貧血・出血の所見 急性の重篤病態が並走している

⚠️ 外傷を伴う失神は、それだけで危険側に置く。 受け身が取れなかったということは、がなかったか極めて短かったことを意味する。

⚠️ 若年で既往がなく心電図が正常でも、労作中の失神があれば専門評価へ回す。この2つは単回の心電図より重い情報である。

初期評価は4本柱

病歴(本人と者の両方から)、身体所見、臥位・立位の血圧測定。この4つで診断が確定するか、少なくとも危険側かどうかは決まる例が大半を占める。

は、起立後3分以内にが20 mmHg以上、またはが10 mmHg以上低下することを基本に診断する。⭐ 数値の低下だけで終わらせず、そのとき症状が再現されたかを必ず記録する。血圧が下がっても無症状であれば、その日の失神の説明としては弱い。

flowchart TD
    A["一過性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of consciousness'>意識消失</span>"] --> B{"急速発症・短時間<br>自然に完全回復したか"}
    B -->|"いいえ"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epileptic seizure'>てんかん発作</span>・代謝性・中毒<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic brain injury, TBI'>頭部外傷</span>などとして評価"]
    B -->|"はい"| D["病歴と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='witnessed'>目撃</span>情報・身体所見<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='supine and standing blood pressure'>臥位立位血圧</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='12-lead electrocardiogram'>12誘導心電図</span>"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiogenic'>心原性</span>を示唆する所見があるか"}
    E -->|"あり"| F["監視下で評価<br>心エコー・持続心電図監視"]
    E -->|"なし"| G{"反射性・起立性と診断できるか"}
    G -->|"できる"| H["誘因の回避・水分と塩分<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='culprit (suspected) drug'>被疑薬</span>の見直し"]
    G -->|"できない"| I["発作頻度に合わせた長時間心電図<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tilt table test'>傾斜台試験</span>などを選ぶ"]

⚠️ 頭部CT・を反射的に出さない。 局所神経徴候、、発作を示唆する所見がなければ、孤立性の失神に対するこれらの検査から得られるものはほとんどない。失神は脳の病気ではなく循環の病気として評価するのが原則である。

💡 は失神の原因としてまず考えない。局所神経症状を伴うのが本態で、だけを起こすことは通常ない。

診断がつかないときの追加検査

検査 選ぶ場面
心エコー 雑音、心電図異常、心疾患の既往がありを疑う
長時間心電図(ホルター、型、 不整脈を疑うが発作が記録期間を発作の頻度に合わせる
運動 労作中または労作直後の失神
反射性が疑わしいが確定できない、を疑う
があり、非侵襲的検査で説明がつかない

⭐ 長時間心電図で意味を持つのは症状と心電図所見の時間的一致である。無症状のをいくら拾っても失神の説明にはならない。患者に症状日誌を併用させる。

⚠️ 原因が確定しないまま帰宅とする場面は避けられないが、そのときは運転・高所作業・水泳の制限と再受診の基準を明示する。「原因不明」は「安全」ではない。

まとめ

  • 失神は一過性のによるで、急速発症・短時間・自然に完全回復するもの。この定義から外れるものは失神ではない。
  • まず失神かどうかを決める。分けるのはけいれん様運動の有無ではなく、律動性・との前後関係・の長さ。
  • 分類は反射性・の3つ。反射性は「誘因・・立位・臥位で回復」の型を取り、型から外れるほどを疑う。
  • は、労作中、臥位での発症、なし、直前の、心疾患の既往、、心電図異常。
  • 労作「中」か労作「直後」かで意味が反転する。必ず聞き分ける。
  • 外傷を伴う失神は、それだけで危険側に置く。
  • 初期評価のは病歴・身体所見・。ここで大半が決まる。
  • は起立後3分以内の収縮期20 mmHg、拡張期10 mmHg以上の低下。症状の再現を併せて確認する。
  • 頭部CT・を反射的に出さない。失神は循環の病気として評価する。