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Disease Atlas · 精神 · 病態

血管性・レビー小体型・前頭側頭型認知症など非アルツハイマー型認知症

Non-Alzheimer major and minor neurocognitive disorders (vascular, Lewy body, frontotemporal dementia)

別名
非アルツハイマー型認知症血管性認知症レビー小体型認知症前頭側頭型認知症
臓器系
精神神経
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-06:重度・軽度神経認知障害(認知症):病因・診断基準・臨床管理
上位概念
認知症
鑑別疾患
アルツハイマー病パーキンソン病大脳皮質基底核変性症
関連疾患
進行性核上性麻痺
治療薬
ドネペジルリバスチグミンガランタミンメマンチンセルトラリントラゾドンレボドパ
症状
偽性球麻痺幻視失神出血片麻痺便秘疼痛失語REM睡眠行動異常症転倒
画像所見
ドパミントランスポーターSPECTMIBGシンチグラフィ
元疾患
脳梗塞
適応薬
ガランタミン
禁忌薬
アリピプラゾールハロペリドール

🧠 全体像:非アルツハイマー型のでは、単に「物忘れ」を探すのではなく、と結び付く低下、、早期の行動・言語変化という最初に崩れる機能を見分ける。日常生活の自立を保てれば軽度、自立を妨げれば重度である。病型により薬への反応と危険性が異なるため、画像だけで病名を決めず、・生活機能・画像を統合する。

病態

は単一の病理ではなく、血管障害、蓄積、前頭変性など異なる病態をまとめた臨床群である。高齢者では理と血管病理、が併存するも多い。

病型 障害されやすい回路 初期の認知プロフィール
大梗塞、多発梗塞、、微小出血など 皮質下回路、病変部位に対応する局在回路 ・注意・の低下が目立ち、記憶障害は検索の障害として現れやすい
を含むレビー小体・ 大脳皮質、辺縁系、 注意・が早期から低下し、が変動する
、TDP-43、FUSなどの前頭変性 ・前部、行動、言語回路 記憶より先に人格・社会行動または言語が崩れる

血管性認知障害

脳卒中直後に急低下する型だけでなく、無症候性小梗塞やが蓄積して緩徐に進む型もある。したがって「状進行がなければ血管性ではない」とは言えない。病変量だけでなく、戦略的部位、病変の時期、との時間関係を評価する。

レビー小体型認知症

皮質のが同じから生じる。認知症がに先行するか同時、または運動症状出現後1年以内ならとし、確立したパーキンソン病から1年を超えて認知症が生じた場合はと呼ぶ。この1年ルールは臨床上の区別であり、病態は連続している。

前頭側頭型認知症

には、行動障害型と、言語産生または語義理解が進行性に障害される原発性進行性がある。行動障害型は、/性低下・常同/・食行動変化()・障害という6項目中3項目以上を満たせば疑い(possible)、これに生活機能低下と・前部の萎縮または血流・所見が加わればほぼ確実(probable)と判定する1。若年発症が比較的多く、C9orf72GRNMAPTなどの遺伝学的背景を持つ例がある。

と病理学的に重なるなどのも、障害や行動変化を伴う認知症を来しうる。を伴う早期の易転倒性はPSPを、非対称性のはCBDを示唆する所見として鑑別に留める。

臨床像

手掛かり
経過 脳卒中との時間関係、状または緩徐進行 進行性だが日内・日間のが大きい 緩徐進行、しばしば就労年齢で発症
低下、 、具体的な反復性、REM睡眠行動異常、自然発症の 早期の性低下・
神経・身体所見 仮性 、転倒、失神便秘 運動ニューロン徴候、を伴うことがある
画像の典型 梗塞、ラクナ、 内側が比較的保たれることがある ・前部の局在性萎縮または
とくに避けたい誤り 画像の血管病変だけで診断する に強力なD2遮断薬を安易に使う 精神疾患と決め付ける、を漫然と使う

⚠️ 急性のを見たら、まずせん妄を除外する。 感染、脱水、低酸素、疼痛、便秘、薬剤負荷などは、既存の認知症を急に悪化させる。

診断

診断の第一段階は、本人・家族から以前の能力と現在の生活機能を聴取し、が日常生活の自立を妨げるかを確認することである。認知検査の点数だけで軽度・重度を決めない。

flowchart TD
    A["本人・家族から経過と生活機能を確認"] --> B{"急性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='impaired attention'>注意障害</span>・変動か"}
    B -->|"はい"| C["せん妄として原因を緊急評価"]
    B -->|"いいえ"| D["認知領域・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurological findings'>神経所見</span>・薬剤を評価"]
    D --> E["血液検査と構造画像で治療可能な原因を除外"]
    E --> F{"早期に目立つ特徴は何か"}
    F -->|"脳卒中・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='executive function'>遂行機能</span>・局在徴候"| G["血管性を検討:MRIを優先"]
    F -->|"変動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visual hallucination(s)'>幻視</span>・REM睡眠行動異常・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parkinsonism'>パーキンソニズム</span>"| H["レビー小体型を検討:必要時<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct antiglobulin test'>DAT</span>画像など"]
    F -->|"行動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='social cognition'>社会的認知</span>・言語"| I["前頭側頭型を検討:必要時FDG-PETまたは灌流SPECT"]
    G --> J["病型・重症度・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixed pathology'>混合病理</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='integrated diagnosis'>統合診断</span>"]
    H --> J
    I --> J

共通評価

  • 認知領域:注意、、学習・記憶、言語、
  • 生活機能:服薬、金銭管理、調理、移動、運転、通信、
  • 可逆的・増悪因子:、鎮静薬、うつ病、睡眠障害、視聴覚障害、甲状腺・栄養・代謝異常
  • 安全性:転倒、火気、徘徊、運転、詐欺・虐待、服薬事故、

病型別検査

  • 血管性:診断が不確実ならMRIを優先し、禁忌・利用不能ならCTを用いる。画像上の血管病変量だけでは診断せず、臨床像との対応を確認する。
  • レビー小体型:中核的臨床特徴(、具体的で反復する、REM睡眠行動異常、自然発症の)のうち2項目以上、または1項目に(線条体取り込み低下など)を合わせればほぼ確実(probable)、1項目のみなら疑い(possible)のとする2。診断が不確実なら線条体取り込み低下を示す¹²³I-FP-CIT SPECTを用い、利用できなければ¹²³I-MIBGを検討する。REM睡眠行動異常が疑わしければでREM睡眠中の筋緊張消失欠如を確認する。
  • 前頭側頭型:詳細な行動評価・言語評価とMRIを行い、不確実ならFDG-PETまたはSPECTを検討する。画像が正常でも除外できない。若年発症または濃厚な家族歴では遺伝を経て遺伝学的検査を検討する。

治療

全病型に共通する支援

  • 本人の価値観と能力に合わせ、運動、、日課、環境調整、を組み合わせる。
  • 服薬・金銭・火気・運転・転倒を評価し、が保たれる早期から意思決定支援とを進める。
  • へ病型特有の症状を説明し、、地域資源、言語聴覚療法、理学・へつなぐ。
  • 興奮やには、疼痛、感染、便秘、睡眠、薬剤、刺激の多い環境を先に是正し、非薬物介入を優先する。

血管性認知障害

治療の中心は新たなを防ぐことである。高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、運動不足、心房細動などを個別化して管理し、後は病型に応じた抗血栓療法とを行う。や抗凝固薬を認知症だけを理由に開始しない。

またはは、の併存が疑われる場合に限って検討し、純粋なへルーチンには用いない。

レビー小体型認知症

  • 軽度〜中等度ではまたはを用いる。重度でも両薬を検討できる。
  • のとき、または禁忌のときに検討する。
  • にはを低用量から慎重に用いることがあるが、を悪化させ得る。
  • 抗精神病薬は重篤な過敏反応、悪化、意識低下、を起こし得るため、可能な限り避ける。生命・安全を脅かす精神症状で他の介入が無効な場合も、専門医が利益と危険を再評価しながら最小量・最短期間とする2

⚠️ など強力なを、に安易に投与しない。

前頭側頭型認知症

を遅らせる確立薬はない。は有効性がなく、症状を悪化させる可能性もあるため用いない。

  • には環境調整を優先し、必要に応じてなどのSSRIまたはを症状標的に検討する。
  • では早期から言語聴覚療法を行い、写真帳、文字盤、タブレットなど代替・拡大を導入する。
  • 嚥下障害、転倒、運動ニューロン症状、介護負担を定期的に評価し、多職種で支える。

まとめ

  • 血管性低下と局在徴候が鍵で、MRI所見を臨床経過と結び付け、血管危険因子と脳卒中再発を管理する。
  • レビー小体型、具体的、REM睡眠行動異常、が中核で、を軸とし、に最大限注意する。
  • 前頭側頭型は早期の行動・が鍵で、を避け、環境・行動・言語への支援を中心とする。
  • 軽度・重度の境界は検査点数ではなく、が日常生活の自立を妨げるかで判断する。

出典

  1. 1.Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies: Fourth consensus report of the DLB Consortium(Neurology (American Academy of Neurology)・2017)レビー小体型認知症の中核的臨床特徴4項目(認知変動、反復性幻視、REM睡眠行動異常、自然発症のパーキンソニズム)によるprobable/possibleの判定基準、および抗精神病薬に対する重篤な過敏反応が支持的所見とされること閲覧 2026-08-02
  2. 2.Sensitivity of revised diagnostic criteria for the behavioural variant of frontotemporal dementia(Brain (Oxford University Press)・2011)行動障害型前頭側頭型認知症のpossible診断が6つの中核的識別特徴のうち3項目以上を要し、probable診断には生活機能低下と特徴的画像所見が追加で必要なこと閲覧 2026-08-02