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Imaging findings · Published

脳微小出血

Cerebral microbleeds

別名
CMB微小出血
臓器系
神経
科目
Medical Biophysics
トピック
生物物理学 26.07:MRIにおける巨視的磁化―スピン–スピン緩和
関連疾患
血管性・レビー小体型・前頭側頭型認知症など非アルツハイマー型認知症中枢神経表在性ヘモジデリン沈着症

🧠 全体像:をする目的は「出血が何個あるか」を数えることではなく、その分布パターンから背景にある血管症を推定し、次の一手(の可否、治療の適格性)を決めることにある。皮質・皮質下優位に散らばれば、視床・・小脳など深部にまとまれば高血圧性——この分布の対比がの幹になる。通常の撮像では見えず、T2*強調像・でしか描出されないため、依頼された検査にこの撮像法が含まれているかを最初に確認する必要がある。

所見の定義

T2強調像・()で、一般に直径2〜5mm、大きいものでは10mmに達することもある円形〜類円形の低信号として、を伴って描出される1。というがを不均一にし、プロトンの位相をそろえにくくすることで信号が失われる効果()による所見であり、描出される大きさは・に依存するため、なサイズ基準は推奨されていない1。この効果の物理的背景はT2緩和(の不均一・差による位相分散)にある。検出数も撮像条件(、、、3D法か2D法か)に強く依存するため、同一患者の経時比較は可能な限り同一施設・同一条件で行う2。

モダリティと写り方

特徴
T2*強調像・ 効果により検出できる唯一の実用的な撮像法。3D法は2D法より高感度
通常のT1・ 描出されない。依頼された検査にT2*/が含まれていなければ「なし」とは言えない
検出できない

リスクを上げる形態(分布と背景疾患)

⭐ 分布パターンが背景の血管症を分ける、最も重要な軸である。 厳密に(深部病変を伴わない皮質・皮質下限局)の分布は、のBoston criteria v2.0で診断根拠となる出血性病変の要件そのものであり3、これに対し深部(視床・・・脳幹・小脳)優位の分布は高血圧性病を示唆すると教科書的に整理される。

分布 示唆する血管症
皮質・皮質下()優位、深部病変を伴わない
深部(視床・・・脳幹・小脳)優位 高血圧性病
皮質下・深部の混合分布 両者の合併、または他の血管症(CADASILなど)を検討する

この分布の対比はのBoston criteria v2.0でも用いられ、は・と並んで「厳密にの出血性病変」の1つに数えられる3。

評価の進め方

flowchart TD
    A["T2*/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='susceptibility-weighted imaging'>SWI</span>で低信号を確認"] --> B{"石灰化・血管断面・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='artifact'>アーチファクト</span>を除外できるか"}
    B -->|"いいえ"| C["同一部位の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>・位相画像で再確認"]
    B -->|"はい"| D{"分布は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lobar'>脳葉型</span>優位か・深部優位か"}
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lobar'>脳葉型</span>優位"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral amyloid angiopathy, CAA'>脳アミロイド血管症</span>を検討<br>Boston criteria v2.0で評価"]
    D -->|"深部優位"| F["高血圧性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microangiopathy'>細小血管症</span>を検討"]
    E --> G["過去の画像と比較し新規個数の増加を評価"]
    F --> G
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antithrombotic agent'>抗血栓薬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-amyloid-beta antibody'>抗アミロイドβ抗体</span>治療の適格性評価に反映"]

過去画像との比較で新規個数の増加があれば、活動性の血管症を示唆し、導入や治療の可否判断により慎重を要する。

紛らわしいもの

鑑別対象 区別のポイント
石灰化 の位相画像で区別する(と石灰化はの符号が逆になる)
よりも大きく、の混在信号と特徴的な低信号縁を持つ。単発が多い
外傷の病歴、・を中心とした分布が手がかりになる
血管内空気・内脂肪 頭蓋底・頭蓋骨に近接する部位で疑う
正常血管の断面 血管の走行に沿って連続する低信号として追跡できればではない

臨床的意義

⚠️ 多発する、特に優位の分布は、抗凝固薬・・による出血リスクを再評価する材料になる。

⚠️ 治療(等)の適格性評価でも重視される。 治療関連のARIA-H(出血性ARIA)はAPOE ε4アレルを2個持つ患者で頻度が高く(39%、14%、非保有者11.9%)、抗凝固薬併用例ではが2.5%(2/79例)に生じており、全体の0.9%(3/328例)より高い4。既存のの分布・個数はこのリスク評価に組み込まれる5。

まとめ

  • はT2*強調像・でのみ検出できる、を伴う円形低信号(一般に2〜5mm、大きいものでは10mmに達することもある)で、描出される大きさは・撮像条件に依存する。
  • 分布パターンがの核心で、皮質・皮質下優位は、深部優位は高血圧性を示唆する。
  • 石灰化・・・正常血管断面との鑑別を要し、石灰化はの位相画像で区別する。
  • 抗凝固薬・・のリスク評価、および治療のARIA-Hリスク評価に直結する臨床的意義を持つ。

出典

  1. 1.Neuroimaging standards for research into small vessel disease and its contribution to ageing and neurodegeneration(Lancet Neurology・2013)本文で確認(PMC3714437・オープンアクセス):STRIVE基準が脳小血管病の画像所見(新規皮質下小梗塞、ラクナ、白質高信号、血管周囲腔拡大、微小出血、脳萎縮)の用語を統一し、微小出血をその構成要素の1つとして標準化したこと、微小出血は『一般に直径2〜5mm、大きいものでは10mmに達することもある』信号消失域としてブルーミングを伴って描出されると定義したこと、描出される大きさ(ブルーミングアーチファクトの程度)はMRIの磁場強度・撮像シーケンスに依存するため絶対的なサイズ基準を推奨しないとしたこと、厳密に脳葉型の微小出血の有無が脳アミロイド血管症の研究用診断基準に組み込まれてきたと述べる一方、深部分布と高血圧性血管症の対応については本節で詳述していないこと(既存ノート imaging-findings/leukoaraiosis.md と同一のid・urlを再利用)閲覧 2026-08-11
  2. 2.Cerebral microbleeds: a guide to detection and interpretation(The Lancet Neurology・2009)抄録で確認:脳微小出血の検出数はパルス系列・撮像パラメータ・空間分解能・磁場強度・画像後処理といったMRIの条件に依存し、この技術的差異を考慮せずに研究結果を解釈すべきでないこと、高感度なMRI手法を用いた最近の検討では地域在住高齢者でも脳微小出血の有病率が高いことが示されていること、脳微小出血同定のための手順ガイドを提案したこと(ブルーミング効果や脳葉型/深部分布と背景血管症の対応については、この抄録自体には記載がない)閲覧 2026-08-11
  3. 3.The Boston criteria version 2.0 for cerebral amyloid angiopathy: a multicentre, retrospective, MRI-neuropathology diagnostic accuracy study(The Lancet Neurology・2022)Boston criteria v2.0では、脳内出血・微小出血・皮質表在性ヘモジデローシスのいずれも「厳密に脳葉型の出血性病変」としてCAA診断基準に数えられることを確認した(既存ノート diseases/cerebral-amyloid-angiopathy.md と同一のid・urlを再利用)。閲覧 2026-09-23
  4. 4.LEQEMBI (lecanemab-irmb) injection, for intravenous use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Eisai Inc.(DailyMed、Updated 2026-07-21)・2026)米国添付文書がARIAに関して、抗凝固薬単独または抗血小板薬・アスピリンとの併用を受けていた患者での頭蓋内出血の発現率を2.5%(2/79例、プラセボ群は0例)と報告する一方、事象発生時に抗血栓薬を使用していた患者全体では0.9%(3/328例)、使用していなかった患者では0.6%(3/545例)であり、"Antithrombotic medications did not increase the risk of ARIA with LEQEMBI." と明記していること、ARIAの局所神経症状が出ている状況で血栓溶解薬を使用した抗アミロイド抗体投与患者に致死性脳出血が生じた例があることを確認した(Warnings and Precautions節)。閲覧 2026-08-11
  5. 5.Lecanemab Therapy and APOE Genotype(Medical Genetics Summaries, NCBI Bookshelf・2024)レカネマブの第3相試験でARIA-H(出血性ARIA)の頻度がAPOE ε4ホモ接合体で39%・ヘテロ接合体で14%・非保有者で11.9%であったこと、この二次資料が2.5%を「抗血栓薬併用例」の値として要約していることを確認した(添付文書原文では抗凝固薬併用群の値。本ノートは原文側を採る)。既存ノート diseases/cerebral-amyloid-angiopathy.md と同一のid・urlを再利用。閲覧 2026-08-11