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Imaging findings · Published

皮質表在性ヘモジデローシス

Cortical superficial siderosis

別名
cSS皮質表在性鉄沈着症
臓器系
神経
科目
Biophysics
トピック
生物物理学 26.07:MRIにおける巨視的磁化―スピン–スピン緩和

🧠 全体像:皮質表在性する目的は、に沿った線状の低信号を見つけて終わりにすることではない。これはのBoston criteria v2.0を構成する出血性所見の1つであると同時に、一過性局所神経症状(発作)のでもある。この所見を持つ患者が突然の脱力やを訴えたとき、それをしてを開始すれば、出血リスクを著しく高めてしまう——は「線状低信号がある」ではなく「この所見がある患者にはを安易に使わない」まで踏み込む必要がある。

所見の定義

への反復性のにより、脳表・下にが沈着した状態。T2*強調像・SWIで、の形に沿って走る線状の低信号として描出される。

モダリティと写り方

写り方
T2*強調像・SWI に沿う線状・の形に沿う低信号。円形ではなく曲線状に連続する点でと区別される
通常のT1・ 描出されない
CT 検出できない

が円形〜類円形の点状低信号であるのに対し、皮質表在性の形に沿った線状・帯状の低信号を呈する点で形態が異なる。

リスクを上げる形態

への広がりの程度(限局性か播種性か)が出血リスクを分ける。 前向きコホートでは、皮質表在性の存在自体が症候性再発リスクの上昇と独立して関連し(2.26)、複数のに及ぶ播種性の場合はリスクがさらに高い(3.59)1

分布 リスクの目安
限局性(少数のに限る) 症候性再発の 約2.3
播種性(広範なに及ぶ) 症候性再発の 約3.6

この所見は、と並んでのBoston criteria v2.0における「厳密に脳葉型の出血性病変」の1つに数えられる2

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulcus'>脳溝</span>に沿う線状の低信号をT2*/SWIで確認"] --> B{"限局性か・広範囲(播種性)か"}
    B -->|"限局性"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral amyloid angiopathy, CAA'>脳アミロイド血管症</span>を疑う<br>Boston criteria v2.0で評価"]
    B -->|"播種性"| D["出血リスクがより高い群として管理"]
    C --> E{"突然発症の神経症状の訴えがあるか"}
    D --> E
    E -->|"はい"| F["一過性局所神経症状(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amyloid'>アミロイド</span>発作)を疑う<br>TIAと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='misdiagnosis'>誤診</span>しない"]
    E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antithrombotic agent'>抗血栓薬</span>導入時の出血リスク評価に反映"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antithrombotic agent'>抗血栓薬</span>を開始せず、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral amyloid angiopathy, CAA'>脳アミロイド血管症</span>の評価を優先"]

過去の画像と比較し、新規に出現した皮質表在性があれば、活動性の血管症の進行として重視する。

紛らわしいもの

⚠️ 古典的な脳表症(テント下型)と混同しない。 皮質表在性・大脳半球の凸面に限局するのに対し、古典的な表在性脳幹・小脳・を含むテント下優位に分布し、の感音難聴と候(失調・・眼振・)を呈する別の病態である。原因の多くは脊髄硬膜欠損による慢性の出で、高齢者に多い皮質表在性(多くはが原因)とは分布・原因・症候のいずれも異なる3

鑑別対象 区別のポイント
古典的な脳表症(テント下型) 脳幹・小脳・優位の分布。感音難聴・が主体で、脊髄硬膜欠損による出が主因
急性期の 血液そのものがCTで高信号を呈し、T2*では未成熟で化していない
髄膜の造影増強効果 造影T1で評価する所見であり、T2*/SWIの低信号とは独立した所見
円形〜類円形の点状低信号。に沿う線状の形態ではない

臨床的意義

⚠️ 一過性局所神経症状(発作)をTIAとしない。 型(拡延する・視覚・律動性攣縮)と型(TIA様の突然の脱力・・視覚消失)がほぼ同頻度で出現するため、症状だけではTIAと区別できない4。一過性局所神経症状を呈する患者は、呈さない患者より皮質表在性/凸面を高頻度に伴い(50%対19%)、この症状を経た患者の50%が中央値14か月以内に症候性脳葉出血を来し、では8週以内の症候性リスクが24.5%に達した4この症状をTIAとして・抗凝固薬を開始すると、リスクをさらに押し上げる——血液感受性シーケンス(T2*/SWI)を含むMRIでの確認が、を防ぐ唯一の手段である。

まとめ

  • 皮質表在性は、への反復出血によるで、T2*/SWIでのみに沿う線状低信号として描出される。
  • 限局性より播種性(広範なへの広がり)の方が、症候性再発リスクが高い。
  • と並び、のBoston criteria v2.0を構成する出血性所見の1つである。
  • 脳幹・小脳・を侵し難聴と失調を来す古典的な脳表症(テント下型、出が主因)とは分布・原因ともに別の病態である。
  • 一過性局所神経症状(発作)のであり、TIAとしてを開始するとリスクが上がるため、血液感受性MRIでの確認が要となる。

出典

  1. 1.Spectrum of Transient Focal Neurological Episodes in Cerebral Amyloid Angiopathy: Multicentre Magnetic Resonance Imaging Cohort Study and Meta-Analysis(Stroke・2012)抄録で確認:脳アミロイド血管症患者の一過性局所神経症状(アミロイド発作)は陽性症状型(拡延する異常感覚・視覚陽性症状・律動性攣縮)と陰性症状型(TIA様の突然の脱力・言語障害・視覚消失)がほぼ同頻度(52%対48%)で出現すること、一過性局所神経症状を伴う患者は伴わない患者より皮質表在性ヘモジデローシス/凸面くも膜下出血を有意に高頻度に認めたこと(50%対19%、P=0.001)、追跡期間中央値14か月で一過性局所神経症状患者の50%が症候性脳葉出血を来したこと、メタ解析では一過性局所神経症状後8週以内の症候性脳内出血リスクが24.5%であったこと閲覧 2026-08-11
  2. 2.Cortical superficial siderosis and recurrent intracerebral hemorrhage risk in cerebral amyloid angiopathy: Large prospective cohort and preliminary meta-analysis(International Journal of Stroke・2019)抄録で確認:前向きコホートで皮質表在性ヘモジデローシスの存在および播種性皮質表在性ヘモジデローシスが、それぞれ独立して症候性脳内出血再発リスクの上昇と関連したこと(ハザード比2.26、95%信頼区間1.31-3.87、P=0.003/ハザード比3.59、95%信頼区間1.96-6.57、P<0.0001)、メタ解析の調整後ハザード比でも同様の関連が確認されたこと(いずれの皮質表在性ヘモジデローシスで2.4/播種性で4.4)閲覧 2026-08-11
  3. 3.Cerebral Superficial Siderosis: Etiology, Neuroradiological Features and Clinical Findings(Clinical Neuroradiology・2022)本文で確認(オープンアクセス):古典的なテント下型(infratentorial)表在性ヘモジデローシスは緩徐進行性の感音難聴と小脳症候(失調・企図振戦・眼振・構音障害)を呈し、多くは脊髄硬膜欠損による慢性髄液漏出が原因であること、これに対し皮質表在性ヘモジデローシスはテント上に限局し、高齢者では脳アミロイド血管症が主因で一過性局所神経症状(アミロイド発作)として発症すること閲覧 2026-08-11
  4. 4.The Boston criteria version 2.0 for cerebral amyloid angiopathy: a multicentre, retrospective, MRI-neuropathology diagnostic accuracy study(Lancet Neurology・2022)皮質表在性ヘモジデローシスは脳内出血・微小出血と並んでBoston criteria v2.0の「厳密に脳葉型の出血性病変」の1つに数えられることを確認した(既存ノート diseases/cerebral-amyloid-angiopathy.md と同一のid・urlを再利用)。閲覧 2026-08-11