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Imaging findings · Published

ドパミントランスポーターSPECT

Dopamine transporter SPECT

別名
DaT-SPECTDaTスキャンイオフルパンSPECTDAT scan
臓器系
神経
科目
NeurologyBiochemistry
トピック
神経内科 G1-28:パーキンソン病の診断神経内科 G3-10:パーキンソン症候群を呈する疾患神経内科 G2-21:神経画像検査(血管造影・CT・MRI・PET・SPECT)生化学 11/2:ドパミン神経伝達とパーキンソン病
関連疾患
パーキンソン病血管性・レビー小体型・前頭側頭型認知症など非アルツハイマー型認知症進行性核上性麻痺多系統萎縮症大脳皮質基底核変性症本態性振戦

🧠 全体像:DaT-SPECTのが決めるのは診断名ではなく次の一手である。答えられるのは「線条体のが変性しているか」だけで、変性の原因がパーキンソン病か、か、かは区別できない。原因の特定は臨床経過・診察・他の検査へ委ね、DaT-SPECTは「か否か」という一点の分岐だけを引き受ける。

何を見ているか

は線条体のに結合するで、SPECTで線条体への集積を画像化する。は神経終末に発現し、放出されたドパミンを再取り込みする輸送体であるため、この検査が測るのはの密度であり、の密度ではない。

💡 は別の軸である。DaT-SPECTの集積が低下していても、の受容体機能や薬剤への反応性まではわからない。のD2受容体を対象とする画像検査とは評価している対象がそもそも異なる。

が変性・脱落すると神経終末上の数が減り、の集積が低下する。集積低下が反映するのは神経終末の喪失であり、細胞体の変性そのものを直接見ているわけではない。

集積パターン

正常な線条体はの集積が連続し、横断像でコンマ(勾玉)状に見える。では後部から集積が抜け始め、進行するとだけが目立つピリオド(点)状になる。

所見 集積の分布 意味
(正常) がなめらかに連続、左右対称 を支持しない
ピリオド状(異常) の集積が乏しくのみ残る の変性を支持

⭐ 病初期はの対側にあたる後部から集積が低下し、左右差を伴うことが多い。この非対称性はには乏しく、鑑別の手掛かりになる。

半定量解析(線条体/比などの)は視覚評価を補う数値であり、単独で正常・異常を判定する基準にはならない。年齢による生理的な集積低下と病的な低下を分ける普遍的なも確立していないため、視覚評価とあわせて判断する1

いつ行うか

⚠️ 適応は「か否か」の鑑別に絞る。原因疾患の特定や重症度・進行度の評価を目的とした検査ではない。

有用な場面:

不要な場面:

できないこと:

  • パーキンソン病との鑑別。いずれもが変性するため集積低下パターンが重なり、DaT-SPECT単独では区別できない1
  • 重症度や進行速度の評価。指標は進行例でに達し、を追う指標としては使いにくくなる1

MDS 2015年基準では、正常な除外基準の一つに数えられ、正常であればをほぼ除外する。一方で異常集積そのものは診断を後押しする支持基準には含まれておらず、この検査の役割は除外方向の判定に重心がある2

解釈を乱す要因

薬剤はへの結合を介して集積を変え得る。などは集積を強く低下させ得るため検査前のを検討する。SSRIの一部は逆に集積をわずかに増加させ得るが、通常の視覚評価にはほとんど影響しない1

💡 は通常は中止不要である。これらはそのものへの結合を介さないため、検査目的でのは基本的に必要ない1

も必須の準備である。¹²³Iは遊離すると甲状腺へ集積するため、投与前になどであらかじめ甲状腺への取り込みを抑制する1

加齢に伴う生理的な集積低下も解釈を乱す要因である。健常者でも加齢とともに緩徐に集積が低下するため、年齢を踏まえずに異常と判定しない。

SWEDD(の欠損を示さない)にも注意する。臨床的にパーキンソン病が疑われても画像上は正常という一群で、長期追跡でも進行に乏しく、真のである可能性は低いとされる1

評価の進め方

flowchart TD
    A["振戦・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rigidity'>固縮</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinesia'>動作緩慢</span>を評価"] --> B{"臨床像と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>反応で診断が確からしいか"}
    B -->|"確からしい"| C["DaT-SPECT不要、臨床診断で進める"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='essential tremor'>本態性振戦</span>・薬剤性・血管性との鑑別が困難"| D["DaT-SPECTを施行"]
    D --> E{"集積パターン"}
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comma-shaped'>コンマ状</span>(正常)"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='degenerative parkinsonism'>変性性パーキンソニズム</span>を支持しない"]
    E -->|"ピリオド状(異常)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='degenerative parkinsonism'>変性性パーキンソニズム</span>を支持"]
    G --> H["原因疾患の鑑別は臨床経過・他の所見へ戻す"]
    F --> H

まとめ

  • DaT-SPECTは線条体のの密度を画像化し、の神経終末変性の有無だけを判定する。
  • 正常は優位に集積が抜けたピリオド状になる。半定量値は視覚評価を補うにとどまる。
  • 適応は・薬剤性・との鑑別、の鑑別に絞り、臨床像が典型的なら不要である。
  • パーキンソン病との鑑別、重症度評価はできない。
  • 干渉薬剤・・加齢による生理的低下・SWEDDを踏まえて解釈する。

出典

  1. 1.EANM practice guideline/SNMMI procedure standard for dopaminergic imaging in Parkinsonian syndromes 1.0(European Association of Nuclear Medicine (EANM) / Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging (SNMMI)・2020)DaT-SPECTの適応(本態性振戦・薬剤性・血管性パーキンソニズムとの鑑別、レビー小体型認知症の診断バイオマーカーとしての位置づけ)と、パーキンソン病と多系統萎縮症・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症を単独で区別できないこと、正常コンマ状/異常ピリオド状の視覚判定基準、半定量指標(特異的結合比)は視覚評価の補助であり普遍的カットオフが未確立であること、進行例で床効果に達し重症度評価には使いにくいこと、干渉薬剤(メチルフェニデート・コカイン・モダフィニル・ブプロピオンなどは集積低下、SSRIの一部は軽度増加)とレボドパ・ドパミン作動薬は休薬不要であること、¹²³Iの甲状腺ブロックが必須であること、SWEDDの位置づけを確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.MDS clinical diagnostic criteria for Parkinson's disease(International Parkinson and Movement Disorder Society (MDS)・2015)正常なシナプス前ドパミン系画像(DaT-SPECTを含む)が絶対的除外基準の一つに位置づけられる一方、異常集積そのものは支持基準には含まれておらず、この検査の診断上の役割が除外方向の判定に重心を置くことを確認した。閲覧 2026-08-02