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Disease Atlas · 精神 · 疾患

統合失調症

Schizophrenia

臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-08:統合失調症:病因・診断基準・歴史的亜型・経過・予後・鑑別診断精神医学 A-09:統合失調症の急性期・長期治療とリハビリテーション精神医学 A-03:精神薬理学I:抗精神病薬と抗不安薬の作用機序・適応・効果・副作用
鑑別疾患
せん妄てんかんパーソナリティ症群解離症群気分障害(うつ病・双極性障害)強迫症自己免疫性脳炎精神作用物質使用症(アルコール以外)短期精神病性障害統合失調感情障害統合失調症様障害妄想性障害
関連疾患
悪性症候群緊張病自殺と自傷行為
治療薬
ハロペリドールクロルプロマジンリスペリドンオランザピンクエチアピンアリピプラゾールクロザピンアミスルプリドカリプラジンフルペンチキソールパリペリドンジプラシドンルラシドンズクロペンチキソールキサノメリン・トロスピウムピモジドイロペリドンチオリダジン
症状
幻覚不安妄想錐体外路症状アカシジア急性ジストニア薬剤性パーキンソン症候群ジスキネジア
検査値
絶対好中球数白血球数血糖HbA1c脂質プロラクチンQT延長
スコア
AIMS(異常不随意運動評価尺度)
原因となる疾患
精神病発症危険状態
適応薬
クロザピンスルピリドゾテピンチオリダジンピモジドプロクロルペラジンルラシドン
禁忌薬
セレギリンブロモクリプチン大麻

🧠 全体像:は、単一の脳内異常ではなく・神経発達・環境ストレスが積み重なって発症閾値を超えることで生じる慢性の精神病性症候群であり、だけでなく・・生活機能低下を伴う。診断は「症状の組合せ→1か月の→6か月の全経過→機能低下→・物質・身体疾患の除外」という時間軸で組み立てる。治療も同じ時間軸で考えるとよく、急性期は安全確保と抗精神病薬によるの軽減、は再発予防と副作用(代謝・錐体外路・内分泌・心血管)の管理、は本人が望む生活・就労・を取り戻すリハビリテーションが中心となる。

概要・定義

は、・などの、や意欲の低下などの、注意・記憶・の障害などのが組み合わさり、発症前より明らかに機能が低下した状態が長期間持続する慢性のである。

病因・病態

は単一の原因で説明できる疾患ではなく、と神経発達の異常、環境ストレスが相互に作用し、複数の生物学的・が収束して発症する症候群である。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polygenic'>多遺伝子性</span>の脆弱性"] --> D["神経発達・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gyrus'>脳回</span>路機能の変化"]
    B["周産期合併症・小児期の逆境体験"] --> D
    C["思春期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cannabis'>大麻</span>使用などの環境要因"] --> E["発症閾値を超える"]
    D --> E
    E --> F["陽性・陰性・認知・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mood symptoms'>気分症状</span>の出現"]
  • :のドパミン機能亢進がに、の機能低下が陰性・に関与すると考えられている。
  • :NMDA受容体を含むの機能低下も病態に関与するとされ、系の異常や・の変化も研究対象になっている。
  • 画像・構造所見:群レベルでは、、・海馬・視床などの体積差がみられるが、これらは個々の患者を確定診断するための画像所見ではない。
病因カテゴリ 代表例
遺伝的要因 の脆弱性、家族歴
神経発達要因 周産期合併症、出生前後の低酸素・感染
小児期逆境体験、都市部での成育、移民・少数派としてのストレス
環境・物質要因 思春期からの使用など

💡 これらの要因は単独で発症を説明しない。「脆弱性+ストレスが閾値を超えたときに発症する」という脆弱性‐ストレスモデル的な理解が学習上有用である。

臨床像

症状領域

領域 代表症状
、(典型的には)、、著しくまとまりのない/の行動
の低下、、会話量低下、、
注意、、、、の障害
気分・不安症状 抑うつ、不安、。薬剤性を症状悪化と混同しないよう区別する

(実在する刺激の誤認)はの中核的な診断項目ではない点に注意する。

経過・予後と、亜型に代わる記述の仕方

には引きこもり、、学業・職業機能の低下、奇異な体験がみられ、に入ると明確なが出現する。治療後も・が残存することが多い。、支援、家族支援、物質使用への介入、心理社会的リハビリテーションが長期的な機能予後を左右する。

⚠️ 自殺リスクは高く、抑うつ、、、退院直後、過去のの有無を直接評価する必要がある。

経過が単回で寛解する型・再発を繰り返す型・持続する型に分かれることは、現在の分類では病型ではなく経過のとして記述する。ICD-11(の)は古典的亜型を単一コードへ統合し、初回エピソード・多回エピソード・持続性という用語を用いる1。-IVにあった・・・・も、診断としての安定性・が乏しいため以降は廃止されており、現在の正式な診断名としては用いず、症状次元の記述や「を伴う」といったで表現する。試験・過去の文献理解のために対応関係だけ押さえておく。

歴史的名称 強調されていた特徴
・が前景で、解体症状は比較的少ない
会話・行動のまとまりのなさ、不適切または平板な感情
、、、拒絶、興奮などの症状
活動性のが弱まり、陰性・が持続

診断・鑑別

DSM-5-TR診断基準の骨格

-TR(の本文改訂版)でも、のそのものはから変更されていない。

  1. 、、、著しくまとまりのない/の行動、のうち2つ以上が、1か月の間の相当な期間存在する。
  2. うち少なくとも1つは・・でなければならない。
  3. 仕事、、自己管理などの機能が発症前より明らかに低下する。
  4. ・を含めて障害の徴候が6か月以上持続する。
  5. 、を伴ううつ病・、物質・薬剤、身体・でよりよく説明されない。

鑑別診断

疾患 区別の鍵
様の症状の全経過が1〜6か月
1日以上1か月未満で出現し、最終的にへ回復する
1か月以上のが中心で、の他の基準は満たさず機能が比較的保たれる
に加え、なしでも2週間以上の・がある
の が躁病/の期間中に限られる
物質・薬剤誘発性精神病 、などの、、ステロイドなどの使用と明確な時間関係がある
身体・による精神病 せん妄は意識と注意の障害が前景でする。てんかんは発作性・な症状と異常を伴う。は3か月未満の亜急性に進行する。ほかに内分泌・感染・腫瘍性疾患を示唆する所見
長期にわたる対人・認知知覚の奇異さはあるが、持続する明確な精神病エピソードはない

⚠️ 精神症状だけで始まるを見落とさない。をprobable(ほぼ確実)と判定する基準は、精神症状・/障害/けいれん//の低下/またはの6群のうち4群以上が3か月未満に出現し、異常または髄液の・があり、他疾患が合理的に除外されることを求める2。

「(folie à deux)」はで独立した診断カテゴリーから外れており、現在は関係性・誘導の文脈を評価したうえで該当するとして診断する。

治療

急性期治療

重い、自殺・の切迫、著しい興奮、食事や清潔を含むの破綻、重い身体合併症があれば、チームまたは入院治療を検討する。まず的で簡潔なを行い、を支え、刺激の少ない構造化された環境を整える。

抗精神病薬による薬物療法そのものは、(APA)2020年ガイドラインで最も強い推奨(1A)として置かれており、「抗精神病薬で治療し、有効性と副作用をモニタリングする」ところまでが一体の推奨文になっている3。💡 同ガイドラインは推奨の強さを2段階(1=推奨、利益が害を明らかに上回るという確信。2=提案、利益が上回るとみるが判断がより難しい)、証拠の強さを3段階(A=高い確信、B=中等度、C=低い)で表し、「1A」のように併記する。本ノートでもこの表記に従う3。

一方、どの抗精神病薬を選ぶかは「第一世代/第二世代」という分類だけで決めない。同ガイドラインは、直接比較試験からは特定の薬剤が一貫して優れているとは言えない(だけが例外の可能性)とし、第二世代と第一世代のどちらを優先するとも言えないと述べている3。実際の選択は過去の治療反応、本人の希望、錐体外路性・代謝性・心血管性・の副作用プロファイルの比較で決まることが多い。

薬剤群 代表薬 主な薬理 特徴的な有害事象
第一世代・高力価 強いD2遮断 (EPS)、
第一世代・ D2に加えM1・H1・α1遮断も目立つ 、鎮静、
第二世代 、、、 多くはD2+5-HT2A拮抗 体重増加・代謝異常。は、薬剤によりQT延長など、薬剤間の差が大きい。はH1・M1親和性が低く体重増加が小さい代わりに・EPSと不眠が目立つ
。プロラクチン・代謝への影響は比較的少ない
治療抵抗性向け 多受容体作用 重度の好中球減少(従来「」と呼ばれた病態)、心筋炎、けいれん、代謝異常、

⭐ 2024年9月26日、塩化物合剤(商品名Cobenfy)が成人のの治療薬として米国で承認された4。D2受容体を遮断せず、を作動することでを軽減する非ドパミン作動性の薬剤であり、は血液脳関門をほぼ通過せず末梢の抗コリン性副作用を軽減する目的で配合されている。

💡 注意すべき項目が「入れ替わる」のがこの薬の学習上の要点である。 古典的なEPSやは起こしにくい代わりに、悪心・・便秘・嘔吐・下痢・腹痛といったムスカリン系の消化器症状、・頻脈、尿閉が前景に出る。禁忌も尿閉・中等度(Child-Pugh class B)以上の・胃内容停滞・未治療の・過敏症の既往というムスカリン系の並びになり、軽度の・中等度以上の・症候性の胆石など活動性のは禁忌ではないが推奨されない5。開始前と治療中には(ALT)・ビリルビンと心拍数を評価する5。⚠️ ・悪心・嘔吐・上腹部痛は「よくある副作用」で済ませず、添付文書の指示どおり胆嚢・と膵炎の評価につなげる。黄疸・掻痒、が基準値上限の5倍またはベースラインの5倍を超えるなどの実質的な肝障害の徴候があれば中止する5。用量・漸増・空腹時投与・の中止基準を含む添付文書の全体はのノートにある。

なお本剤の米国添付文書にはの節が置かれておらず、後述するのに含まれる「の高齢者における死亡率上昇」の記載も無い5。承認は適応が認められたことを示すもので、既存薬に対する推奨の順位を定めるものではない。

ドパミン経路と副作用

flowchart TD
    A["D2受容体遮断(抗精神病薬の主作用)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mesolimbic system'>中脳辺縁系</span>経路<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='positive symptoms'>陽性症状</span>を軽減"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nigrostriatal system'>黒質線条体系</span>経路<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='extrapyramidal symptoms (EPS)'>錐体外路症状</span>(EPS)"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tuberoinfundibular system'>漏斗下垂体系</span>経路<br>プロラクチン上昇"]
    A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mesocortical system'>中脳皮質系</span>経路<br>陰性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive symptoms'>認知症状</span>を悪化させ得る"]

発症時期の異なる(EPS)を一括りにせず、下表の病型ごとに対応を分ける。

有害事象 発症時期・所見 基本対応
数時間〜数日。頸部・眼球・顎の などので速やかに治療し、気道を評価する
数日〜数週。、強い内的 APA 2020が提案(2C)として挙げる選択肢は、①原因薬の減量、②他の抗精神病薬への変更、③ベンゾジアゼピンの追加、④などβ遮断薬の追加の4つである。⚠️ が推奨文に現れるのは(1C)と(2C)で、の推奨文には挙がっていない3
数週。、振戦、 APA 2020が提案(2C)として挙げるのは、①原因薬の減量、②他の抗精神病薬への変更、③による治療の3つである3
月〜年単位。口舌・顔面などの不随意運動 AIMSなどで定期的に監視し、原因薬を調整する。中等度以上または生活に支障のある例では、阻害薬(・)が推奨(1B)される。⚠️ はを改善せず、むしろ悪化させうる3
(NMS) 高熱、、意識変容、、CK上昇 薬剤を中止し救急入院・全身管理を行う

💡 は「落ち着かなさ」として不安・興奮に見えることがある。症状悪化と決めつけず、薬剤副作用との重なりを評価する。

興奮・不安・不眠には、状況に応じてなどのベンゾジアゼピンを短期に限って補助的に用いる。が目立つ場合は、やに伴うを再評価し、診断に沿って治療する。

⚠️ 高用量を一度に投与するや、定期的な抗精神病薬のは標準治療ではない。併用は切り替え時など限定された状況にとどめる。

⚠️ 不動・・拒絶・奇異な姿勢が前景の症例では、のと決めつける前にを鑑別する。に抗精神病薬を投与するとへ移行させうるため、まずへの反応を確かめる。

ドパミン作動性の薬剤を併用している患者

⚠️ ドパミン作動性のは、抗精神病薬とちょうど逆向きに働いてを増悪させうる。 パーキンソン病に用いる阻害薬は、日本の電子添文がまたはその既往歴のある患者を禁忌とし、理由を「精神症状の悪化が報告されている」と明記している(適応別の限定が付かない全適応共通の禁忌である)6。⚠️ どの区分に置くかは国によって違う。 英国のは精神病と進行した認知症をとの併用に限った禁忌の一群に置き、単独療法では「精神病のある患者に投与するときは治療中に増悪しうるので特に注意する」というとして扱う7。米国のの添付文書も禁忌ではなくの側で「主要なのある患者は、精神病を増悪させる危険があるため通常この薬で治療すべきではない」と述べ、対照試験でがプラセボ群2%に対し4%に報告されたことを挙げる8。同じ節は、パーキンソン病の症状改善のために処方される他の薬剤も思考と行動に同様の影響を及ぼしうるとして、被害念慮・・・・精神病様行動・・攻撃的行動・・せん妄を挙げている8。

💡 干渉は双方向で、どちらを足しても相手の病態が悪くなりうる。 同じ米国添付文書は、精神病の治療に用いる一部の薬剤がパーキンソン病の症状を悪化させ阻害薬の有効性を低下させうると続ける8。日本の電子添文も、系・・スルピリド・を「脳内ドパミン受容体を遮断する」ための作用が減弱する併用注意に挙げる6。⚠️ この向きの悪化はと区別がつきにくいので、パーキンソン病を併存する患者ではいま何がどちらの向きに効いているかを薬剤ごとに確かめてから増減を決める。

長期治療と再発予防

抗精神病薬で症状が改善した患者では、抗精神病薬を継続すること自体が推奨(1A)であり、さらに同じ抗精神病薬を続けることが提案(2B)されている3。自己判断での急な中止は避け、中止を検討する場合は徐々に減量し、長期にわたり再発徴候を追う。

については、本人がその剤形を希望する場合、またはが不良もしくは不確実な既往がある場合に用いることが提案(2B)されている3。⚠️ 推奨(1)ではなく提案(2)に置かれているのは、と直接比較したのでは差が出ない一方、レジストリ・コホート・ミラーイメージ研究では一貫しての減少が示されるという、証拠のかたちが食い違っているためである3。💡 は数週間おきに筋注する剤形で、服薬の中断がその場で分かることと、中断しても血中濃度がすぐには落ちないため再発までに介入する猶予が生まれることが利点になる。

適正量の異なる抗精神病薬を2剤、十分な期間にわたり順次使用しても反応が不十分なら、として再評価しへ進む。APA 2020は、に対するを推奨(1B)とし、他の治療を行っても・自殺の危険が高いままの場合にもを推奨(1B)、攻撃的行動の危険が高いままの場合には提案(2C)としている3。

⭐ 日本では、この「治療抵抗性」の中身がの承認された効能・効果に付随する条件そのものとして電子添文に書き込まれており、反応性不良と性不良という2つの入口が定義されている9。

入口 基準の骨格
反応性不良 を1種類以上含む2種類以上を、換算600 mg/日以上・4週間以上投与しても反応がみられない。「反応がみられない」とは、全般機能評価尺度(GAF)の評点が41点以上に相当する状態になったことがないことを指す
性不良 2種類以上の単剤治療で、中等度以上の・などが出現/悪化したか、コントロール不良のパーキンソン症状・・のため十分に増量できず、効果を確かめられなかった

いずれもの治療歴の要件、薬原性評価尺度(DIEPSS)による点数の切り方、を使ってもなお該当することという条件が付く。条文どおりの全文はのノートにある9。

💡 性不良という入口があるのが日本の基準の特徴である。 副作用で増量できずに効果を確かめられなかった患者も、効果が足りなかった患者と同じくの対象になる。

一方、研究どうしを突き合わせるための国際的なとしては、TRRIPワーキンググループのものがある。その最低基準は以下のとおりである10。

項目 最低基準
過去の治療歴 異なる抗精神病薬による適切な治療エピソードが2回以上
1回あたりの期間 で6週間以上
用量 換算で1日600 mg以上
処方量の80%以上を服用。残薬確認・調剤記録の確認・本人/の報告のうち2つ以上で評価し、加えて抗精神病薬の血中濃度を1回以上測定
現在の症状 標準化された評価尺度(例:BPRSなど)で中等度以上が12週間以上持続
機能障害 の確認された尺度で測定して中等度以上(原著が例示するはSOFAS 60点未満)10

同じ表には、最低基準より厳しい至適基準も並記されている。相違点のうち臨床的に効くのは、①前向きに6週間以上観察して症状の減少が20%未満であること、②2回以上の治療エピソードのうち少なくとも1回はを4か月以上用いていること、③血中濃度を2週間以上あけて2回以上、患者に予告せずに測ること、の3点である。治療抵抗性の基準を満たしたうえで適切な治療にも反応しない場合は「超治療抵抗性」と呼ぶ10。

💡 これが必要になったのは、同グループの系統的レビューで対象42件のうち21件が操作的基準をまったく示さず、同じ基準を用いていたのは2件だけだったからである10。⚠️ 目的が違うので日本の基準とは数値も揃っていない——1エピソードの投与期間は日本の電子添文が4週間以上、TRRIPは6週間以上である。日本でを適応内で用いる際に満たすべきは前者である9。臨床では、基準を満たしているのに導入が遅れることのほうが問題になりやすい。

flowchart TD
    A["急性期の抗精神病薬治療を開始"] --> B{"十分量・十分期間で反応は十分か"}
    B -->|"はい"| C["同薬を維持療法として継続"]
    B -->|"いいえ"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tolerability'>忍容性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adherence'>アドヒアランス</span>を確認し、異なる抗精神病薬へ変更"]
    D --> E{"2剤目でも十分量・十分期間で反応は十分か"}
    E -->|"はい"| C
    E -->|"いいえ"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment-resistant schizophrenia'>治療抵抗性統合失調症</span>と判断"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clozapine'>クロザピン</span>を導入し、好中球数などを定期的にモニタリングする"]

クロザピンの血液モニタリング

⭐ 日米で見ている指標も、投与をやめる高さも違う。 米国添付文書は()だけを見て、500/μL未満(=重度好中球減少。従来「」と呼ばれた病態)で中止する11。日本のクロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)はと好中球数の両方を見て、3,000/mm³未満または好中球数1,500/mm³未満(=1,500/μL)で直ちに中止する9。⚠️ 一方の国の数字をそのまま他方に当てはめない。

日本でははにのみ承認されており、CPMSに登録された・薬剤師のいる登録医療機関・薬局で、登録患者に対し、血液検査等のCPMSの基準がすべて満たされた場合にのみ投与できる。血液障害は投与初期に多いため、原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与する9。

⚠️ 米国の()は2025年6月13日付で廃止されたが、これはモニタリングを不要にする変更ではない。は添付文書に記載された頻度での監視を続けるよう求めており、重度好中球減少に関する情報はを含めて添付文書に残っている12。これは米国の制度についての変更であって、日本のCPMSを変えるものではない。

ごとの継続・中断・中止の判断、CPMSの3区分と検査頻度、再投与の扱い、・・血糖の基準は、のノートに表でまとめてある。いずれの国でも、血球以外に心筋炎、けいれん、代謝異常、を合わせて経過を追う。

身体健康・副作用のモニタリング

時点・領域 確認項目
開始前 体重・、脈拍・血圧、空腹時血糖またはHbA1c、脂質、プロラクチン、運動障害、栄養・活動量。心血管リスクや入院時などはECGも確認
導入後 症状反応、服薬状況、副作用、・・、体重・代謝指標
長期 、肥満・糖尿病・、、心血管・呼吸器疾患、喫煙・物質使用を少なくとも定期的に再評価

⭐ 「定期的に」で済ませない。 APA 2020は主要な項目について再評価の間隔まで定めている3。

項目 ベースライン その後の間隔
体重・ 体重・身長・ 開始後6か月間は受診ごと、以降は少なくとも3か月ごと
空腹時血糖またはHbA1c 糖尿病の危険因子の聴取+ 新しい治療を開始して4か月後、以降少なくとも年1回
脂質 新しい抗精神病薬の開始4か月後、以降少なくとも年1回
の該当判定 基準を満たすかを判定 新しい抗精神病薬の開始4か月後、以降少なくとも年1回
プロラクチン の症状のスクリーニング(採血は病歴上必要なときのみ) 安定するまで受診ごとに症状を確認し、プロラクチンを上げる抗精神病薬を使っているなら以降は年1回
(・・・)の臨床評価 全項目を診察 受診ごと
AIMS・DISCUSなどの構造化尺度 不随意運動があれば実施 の高リスク患者では少なくとも6か月ごと、それ以外の患者でも少なくとも12か月ごと。加えて、新規出現や既存の運動の増悪をどの受診で認めたときにも実施
ECG ・・イロペリドン・・・を使うとき、または心疾患の危険因子があるとき これらの薬剤の用量を大きく変えるとき、またはQTcに影響する薬剤を追加するとき(心疾患の危険因子がある患者・ベースラインのが延長している患者で)

リハビリテーション・心理社会的治療

リハビリテーションは症状消失後の付け足しではなく、早期から本人の目標に合わせて行う。、家族介入、精神病に対する、を組み合わせる。(批判・敵意・過度な情緒的巻き込み)を減らす家族介入は再発予防に役立つ。

⚠️ 心理社会的治療にも推奨の強さが付いている。「薬が主で、あとは任意」ではない。 薬物療法の節と同じ体系(1=推奨/2=提案、A/B/C=証拠の強さ)で読む3。

介入 推奨の強さ
1B(推奨)
1B(推奨)
精神病に対する 1B(推奨)
(ACT) 1B(推奨)
家族介入 2B(提案)
2C(提案)
2C(提案)

⭐ 初回エピソード精神病には、これらを束ねた多職種のが推奨(1B)されている3。個々の技法を単発で足すのではなく、薬物療法・・就労支援・家族介入を1つのチームで同時に提供する枠組みである。

領域 実践
職業 、、、職務技能・生活リズムの訓練
社会 会話・・対人、地域活動、
認知 注意・記憶・を対象とする、予定表やリマインダーなどの代償手段
住居 に応じたグループホーム、、独立生活支援
併存症 を同じチームで統合的に治療し、身体疾患へのアクセス格差を減らす

まとめ

  • は・神経発達・環境ストレスが閾値を超えて重なることで生じる慢性の精神病性症候群で、陽性・陰性・認知の3症状領域と機能低下を伴う。のドパミン機能亢進がに、の機能低下が陰性・に関与すると考えられ、NMDA受容体を含むも研究されている。
  • -TRでもはから変わらず、2つ以上の(1つは・・)が1か月存在し、障害全体が6か月以上持続し、機能低下があり、・物質・身体疾患を除外して診断する。、、、身体・による精神病との鑑別が要になる。
  • -IVの・・などの歴史的亜型は廃止済みで、現在の診断名としては用いず、ICD-11も経過の(初回エピソード・多回エピソード・持続性)で記述する。
  • 急性期は安全確保と抗精神病薬によるの軽減が中心で、第一世代・第二世代・いずれも過去の反応と副作用プロファイルで選ぶ。や定期的なは行わない。
  • には、・を確認したうえでを検討する。日本の電子添文は反応性不良(非定型を含む2種類以上を換算600 mg/日以上・4週間以上)と性不良の2つの入口を定め、TRRIPの最低基準は同じ600 mg/日以上を6週間以上・異なる抗精神病薬で2回とする。
  • の血液モニタリングは国ごとに別制度である。米国のは2025年6月13日付で廃止されたが添付文書の監視は続き(500/μL未満で中止)、日本ではCPMSへの登録が投与の条件で、3,000/mm³未満または好中球数1,500/mm³未満で直ちに中止する。
  • 2024年には非ドパミン作動性の塩化物合剤が米国で承認され、選択肢に加わった。EPSやは起こしにくい代わりに、尿閉・・・消化器症状というムスカリン系の注意点が入れ替わりで生じる。
  • の副作用評価には間隔がある。APA 2020はを開始後6か月間は受診ごと・以降3か月ごと、またはと脂質を新規治療の4か月後・以降年1回、の臨床評価を受診ごと、などの構造化尺度を高リスクでは6か月ごと・それ以外でも12か月ごとと定めている。
  • パーキンソン病などでドパミン作動性の薬剤を併用している患者では干渉が双方向に起こる。日本の電子添文はをまたはその既往歴のある患者に禁忌とし(理由は精神症状の悪化)、英国は併用に限った禁忌、米国は「通常は治療すべきでない」というとして扱う。逆にはパーキンソン症状を悪化させ阻害薬の効果を減弱させる。
  • は「本人が希望する場合」か「不良・不確実の既往がある場合」に用いることが提案(2B)されている。家族介入、、、、、住居支援、併存症の統合治療を、症状消失を待たず本人の目標に沿って組み合わせる。

出典

  1. 1.6A20 Schizophrenia — ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics(World Health Organization・2025)ICD-11でも統合失調症の古典的亜型が単一コードに統合され、経過の特定用語(初回/多回エピソード・持続性)で記述する方式に変わったこと閲覧 2026-09-14
  2. 2.A clinical approach to diagnosis of autoimmune encephalitis(The Lancet Neurology・2016)Panel 4(抗NMDA受容体脳炎の probable 基準)が、精神症状・認知機能障害/発語障害/けいれん/運動異常症・ジスキネジア・筋強剛/意識レベルの低下/自律神経障害または中枢性低換気の6群のうち4群以上が3か月未満に急速出現すること、脳波異常または髄液の細胞増多・オリゴクローナルバンドのいずれかがあること、他疾患が合理的に除外されることの3条件を求めていることを確認した(3群+全身性奇形腫でも可)。また Panel 1(possible autoimmune encephalitis)が3か月未満の亜急性発症の作業記憶障害・意識変容・精神症状を第1項目に置いていることも確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.APA Practice Guideline on the Treatment of Patients With Schizophrenia — official training slides (September 2020)(American Psychiatric Association・2020)米国精神医学会が自サイトで公開している2020年統合失調症ガイドラインの公式トレーニングスライド(137枚)を取得し、ガイドライン推奨文が逐語で再掲されていることを確認した。推奨の強さは「recommendation(1)=利益が害を明らかに上回る確信」「suggestion(2)=利益が害を上回るが判断がより難しい」で、証拠の強さはA(高い確信)・B(中等度)・C(低い確信)である。確認した推奨文は、抗精神病薬による治療と有効性・副作用のモニタリング(recommends、1A)/症状が改善した患者での抗精神病薬の継続(recommends、1A)と同一薬剤の継続(suggests、2B)/治療抵抗性統合失調症へのクロザピン(recommends、1B)/他治療でも自殺企図・自殺の危険が高いままの場合のクロザピン(recommends、1B)/攻撃的行動の危険が高いままの場合のクロザピン(suggests、2C)/本人が希望する場合またはアドヒアランス不良もしくは不確実な既往がある場合の持効性注射剤(suggests、2B)/急性ジストニアへの抗コリン薬(recommends、1C)/パーキンソニズムへの減量・変更・抗コリン薬(suggests、2C)/アカシジアへの減量・変更・ベンゾジアゼピン追加・β遮断薬追加の4選択肢(suggests、2C。抗コリン薬はこの推奨文に含まれない)/中等度以上または生活に支障のある遅発性ジスキネジアへのVMAT2阻害薬(recommends、1B)。持効性注射剤の項は、経口薬との直接比較の無作為化比較試験のメタ解析では差が出ない一方、レジストリ・コホート・ミラーイメージ研究では一貫した利益がみられると説明している。薬剤選択については「直接比較試験からは特定の薬剤の一貫した優越性は限られた情報しかなく、クロザピンが例外の可能性」「第二世代と第一世代のどちらを優先するとも言えない」と述べている。モニタリングの表からは、体重・BMIは開始後6か月間は受診ごと・以降少なくとも3か月ごと、空腹時血糖またはHbA1c・脂質パネル・メタボリックシンドロームの該当判定はいずれも新規治療開始4か月後および以降少なくとも年1回、高プロラクチン血症の症状は安定するまで受診ごと・以降は年1回、錐体外路症状の臨床評価は受診ごと、AIMS・DISCUSなどの構造化尺度は遅発性ジスキネジア高リスク患者で少なくとも6か月ごと・それ以外でも少なくとも12か月ごとかつ新規出現・増悪時、抗コリン薬は遅発性ジスキネジアを改善せず悪化させうること、を確認した。⚠️ ガイドライン本体(DOI 10.1176/appi.books.9780890424841。Crossrefで2020年8月31日発行のmonographとして解決する)はpsychiatryonline.orgの全経路が403、psychiatry.orgのPDFは404、PMC7725162は書誌のみのスタブで本文が無く、取得できたのはこのスライドのみである。psychiatry.orgの当該ページ(2025年9月12日最終更新)は現在も2020年版を掲載しており、改訂版は出ていない閲覧 2026-09-05
  4. 4.NDA 216158 Approval Letter — Cobenfy (xanomeline and trospium chloride) capsules(U.S. Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research・2024)2024年9月26日付の承認書で、キサノメリン・トロスピウム塩化物配合カプセル(Cobenfy)が成人の統合失調症の治療薬として承認されたことを確認した閲覧 2026-08-25
  5. 5.COBENFY (xanomeline and trospium chloride) capsules — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Bristol Myers Squibb・2026)米国添付文書の禁忌が尿閉・中等度(Child-Pugh B)または重度(Child-Pugh C)の肝機能障害・胃内容停滞・過敏症(血管性浮腫)・未治療の閉塞隅角緑内障であること、頻度5%以上かつプラセボの2倍以上の有害事象が悪心・消化不良・便秘・嘔吐・血圧上昇・腹痛・下痢・頻脈・めまい・胃食道逆流であること、警告・使用上の注意に心拍数上昇が挙げられ開始時と治療中に心拍数を評価するよう求めていること、§5.2が軽度肝障害でも推奨されないとし§5.3が症候性胆石症など活動性胆道疾患に推奨されず開始前と臨床的に必要なときに肝酵素・ビリルビンを評価し消化不良・悪心・嘔吐・上腹部痛が胆嚢/胆道疾患・膵炎の評価を促すべき症状であるとしたうえで黄疸・掻痒・ALTが基準値上限の5倍またはベースラインの5倍超などの実質的肝障害の徴候で中止を求めていることを確認した。§5.3は一過性の肝酵素上昇が胆道の収縮と胆石の通過による一過性の胆道閉塞と整合する所見だと説明し、§5.8は中等度・重度の腎機能障害には抗コリン性の有害事象が強く出ると予想されるため推奨しないとしている。取得した全文にボックス警告の節は無く、dementia の語も0回であることも併せて確認した(Revised 1/2026版)閲覧 2026-09-05
  6. 6.エフピーOD錠2.5 電子添文(2024年2月改訂・第1版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2024)電子添文の本文を取得して確認した。選択的MAO-B阻害薬セレギリンの禁忌2.4が「統合失調症又はその既往歴のある患者[精神症状の悪化が報告されている。]」であり、適応別の限定が付かない全適応共通の禁忌として置かれていること、重大な副作用11.1.1が幻覚(4.5%)・妄想(1.3%)・錯乱(0.5%)・せん妄(0.1%)であること、7.用法及び用量に関連する注意がレボドパ併用時に「不随意運動、幻覚、妄想等があらわれた場合には、本剤又はレボドパの減量等適切に処置を行うこと」と求めていること、逆向きの干渉として10.2の併用注意にフェノチアジン系薬剤・ブチロフェノン系薬剤・スルピリド・メトクロプラミドが挙がり「脳内ドパミン受容体を遮断する」ため本剤の作用が減弱される可能性があるとされていることを確認した閲覧 2026-09-14
  7. 7.Eldepryl 10mg Tablets — Summary of Product Characteristics(electronic Medicines Compendium(英国)・2026)2026年2月改訂の英国SmPCで、セレギリンの4.3の禁忌のうち一群が「セレギリンとレボドパの併用は、重症心血管疾患、高血圧、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、閉塞隅角緑内障、残尿を伴う前立腺肥大、頻脈、不整脈、重症狭心症、精神病(psychoses)、進行した認知症、甲状腺中毒症において禁忌である」と併用療法に限って規定されており、4.4が「不安定高血圧・心不整脈・重症狭心症・精神病または消化性潰瘍の既往のある患者にセレギリンを投与するときは、治療中にこれらの病態が増悪しうるので特に注意する」として単独療法での精神病を禁忌ではなく警告として扱っていることを確認した閲覧 2026-09-14
  8. 8.ZELAPAR (selegiline hydrochloride) orally disintegrating tablets, for oral use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Bausch Health US(DailyMed)・2021)2021年6月改訂の米国添付文書(セレギリン口腔内崩壊錠)を全文取得して確認した。4の禁忌は薬物の併用4項目のみで精神疾患を含まず、精神病性障害は5.6の警告にあり「主要な精神病性障害(major psychotic disorder)のある患者は、精神病を増悪させる危険があるため通常ZELAPARで治療すべきではない。加えて、精神病の治療に用いる一部の薬剤はパーキンソン病の症状を悪化させ、ZELAPARの有効性を低下させうる」と記す。同節は市販後報告として新規または増悪する精神状態・行動の変化(被害念慮、妄想、幻覚、錯乱、精神病様行動、失見当識、攻撃的行動、激越、せん妄)が重篤でありうるとし、「パーキンソン病の症状を改善するために処方される他の薬剤も、思考と行動に同様の影響を及ぼしうる」と述べる。対照試験で幻覚はZELAPAR群4%・プラセボ群2%に報告され、約1%が幻覚のため試験を中止した閲覧 2026-09-14
  9. 9.クロザリル錠25mg/クロザリル錠100mg 電子添文(ノバルティスファーマ/医薬品医療機器総合機構・2024)2024年10月改訂(第4版)の電子添文本文で、日本のクロザピン(クロザリル)の効能又は効果が治療抵抗性統合失調症に限られること、警告1.1が「クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)に登録された医師・薬剤師のいる登録医療機関・薬局において、登録患者に対して、血液検査等のCPMSに定められた基準がすべて満たされた場合にのみ」投与すると定めること、警告1.5が原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与するとしていることを確認した。5.1.1の反応性不良の基準(非定型抗精神病薬を1種類以上含む2種類以上の抗精神病薬をクロルプロマジン換算600mg/日以上・4週間以上投与しても反応がみられない。反応がみられないとはGAF評点が41点以上に相当する状態になったことがないこと。定型抗精神病薬については1年以上の治療歴)と5.1.2の耐容性不良の基準(非定型抗精神病薬2種類以上の単剤治療で、中等度以上の遅発性ジスキネジア・遅発性ジストニア等の遅発性錐体外路症状、またはコントロール不良のパーキンソン症状・アカシジア・急性ジストニアのため十分に増量できなかった。いずれもDIEPSSの評点で操作化)も確認した。8.2の表では①白血球数4,000/mm3以上かつ好中球数2,000/mm3以上で投与開始・継続可能(開始から26週間は週1回、条件を満たせば26週以降2週に1回・開始から52週以降4週に1回)、②白血球数3,000以上4,000/mm3未満または好中球数1,500以上2,000/mm3未満で①へ回復するまで週2回以上、③白血球数3,000/mm3未満または好中球数1,500/mm3未満で直ちに投与中止・①へ回復するまで毎日検査・回復後4週間までは週1回以上、と定めている。投与前は10日以内の血液検査で①を確認し、禁忌2.2はCPMS登録前4週間以内の検査で白血球数4,000/mm3未満または好中球数2,000/mm3未満、禁忌2.4は③で中止後にCPMSの再投与検討基準に該当しない患者である。8.3は好酸球数3,000/mm3以上で投与中止が望ましく再開は1,000/mm3未満に回復した場合のみ、8.4は血小板数50,000/mm3未満で投与中止が望ましいとし、8.6と警告1.3は糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡のため投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等を測定するよう求めている(測定間隔の数値は電子添文には示されていない)閲覧 2026-09-05
  10. 10.Treatment-Resistant Schizophrenia: Treatment Response and Resistance in Psychosis (TRRIP) Working Group Consensus Guidelines on Diagnosis and Terminology(The American Journal of Psychiatry・2017)TRRIPコンセンサス基準の表2(最低基準)で、治療抵抗性を「異なる抗精神病薬による適切な治療エピソードが2回以上」「各エピソードは治療用量で6週間以上」「クロルプロマジン換算1日600 mg以上」「処方量の80%以上を服用し血中濃度を1回以上測定」「標準化尺度で中等度以上の症状が12週間以上持続」「妥当性の確認された尺度(SOFASなど)で測定した中等度以上の機能障害」と操作化していること、同表の至適基準(optimal criteria)列が最低基準に加えて「6週間以上の前向き試験・観察で症状の減少が20%未満」「2回の治療エピソードのうち少なくとも1回は持効性注射剤を4か月以上」「2週間以上あけて2回以上、予告なしにトラフ血中濃度を測定」を求め、クロザピンにも反応しない場合を超治療抵抗性(ultra-treatment resistant)と定義していること、アドヒアランスの評価が残薬確認・調剤記録の確認・患者/介護者の報告のうち2つ以上を用いるとされていること、および系統的レビューの対象42件のうち21件(50%)が操作的基準を示さず同一基準を用いていたのは2件(5%)のみであったことを、PMC版の全文(PMC6231547)の表2と抄録で確認した閲覧 2026-09-05
  11. 11.CLOZARIL (clozapine) tablets, for oral use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / HLS Therapeutics(DailyMed)・2025)2025年6月改訂版の添付文書で、ボックス警告が重度好中球減少・起立性低血圧/徐脈/失神・けいれん・心筋炎/心膜炎/心筋症・認知症関連精神病の高齢者における死亡率上昇の5項目からなること、重度好中球減少がANC 500/μL未満と定義されること、開始前ANCが1500/μL未満(良性民族性好中球減少では1000/μL未満)では導入を推奨しないこと、ANC測定を1日目〜6か月目は毎週・7か月目〜12か月目は2週ごと・13か月目以降は月1回行うことを確認した。あわせてTable 1の用量調節(ANC 1000〜1499/μLは用量を変えず週3回の再検、500〜999/μLは中断して毎日再検し1000/μL以上で再開、500/μL未満は中止、いずれも血液内科へのコンサルトを推奨、1500/μL未満の初回報告は24時間以内に再検して確認)と、良性民族性好中球減少(Duffy陰性関連好中球数)の患者には別のTable 2が用意されていることを確認した。取得した添付文書本文にはREMSに関する記載が無い(ページ内のREMSの語はいずれもDailyMedサイト側のナビゲーション)閲覧 2026-09-05
  12. 12.FDA removes risk evaluation and mitigation strategy (REMS) program for the antipsychotic drug clozapine — Drug Safety Communication(U.S. Food and Drug Administration・2025)2025年8月27日付の医薬品安全性情報で、FDAがクロザピンのREMSを2025年6月13日付で廃止したこと、それでも「処方医は添付文書に記載された頻度で患者のANCを監視し続けるべきである」と明記していること、重度好中球減少に関する情報はボックス警告を含めすべてのクロザピン製剤の添付文書に残ることを確認した閲覧 2026-09-05