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Disease Atlas · 精神 · 病態

精神作用物質使用症(アルコール以外)

Psychoactive substance use disorders (non-alcohol)

別名
薬物使用症Substance use disorders
臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-15:精神作用物質使用症の診断と臨床管理
鑑別疾患
パーソナリティ症群気分障害(うつ病・双極性障害)統合失調症
続発疾患
感染性心内膜炎HIV感染症・AIDSウイルス性肝炎
関連疾患
アルコール使用障害自殺と自傷行為心的外傷後ストレス障害注意欠如・多動症(ADHD)
治療薬
メタドンブプレノルフィンナロキソンニコチンバレニクリンブプロピオン
検査値
血糖
禁忌薬
アンフェタミン誘導体ナルブフィン

🧠 全体像は、反復使用によって・学習・ストレス回路が変化し、害を理解していても使用の制御が難しくなる慢性・再発性の病態である。「解毒して終わり」ではなく、①中毒・離脱・過量の救命、②再使用とを減らす、③心理治療、④住居・家族・就労・感染症支援を切れ目なくつなぐ。とくにオピオイド使用症では、離脱だけを行うよりまたはによるを優先し、を本人と周囲へ届ける。

病態

などのを強く活性化し、物質と手掛かりの関連を学習させる。反復使用では、同じ効果により多くを要する耐性、使用中断時の離脱、ストレス時のが生じうる。一方、耐性や離脱だけで使用症とは診断せず、障害・危険な使用を含む全体像で判断する。

flowchart TD
    A["物質使用による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reward'>報酬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comfort'>苦痛軽減</span>"] --> B["物質と人・場所・感情が結び付く"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='craving'>渇望</span>と反復使用"]
    C --> D["耐性・離脱・生活上の害"]
    D --> E["使用で離脱や苦痛が一時的に下がる"]
    E --> C
    F["薬物療法・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contingency management'>随伴性マネジメント</span>・生活支援"] --> G["過量リスクと使用頻度を低減"]
    G --> H["新しい対処と回復行動を強化"]
    H --> I["健康・生活機能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='social participation'>社会参加</span>が回復"]

ではない。本人の目標が直ちに完全断薬でなくても、、感染、危険な併用を減らし、治療との接点を保つは重要な治療である。

臨床像

診断基準の4領域

12か月以内に11基準のうち2つ以上を満たすとを考え、2〜3項目を軽度、4〜5項目を中等度、6項目以上を重度とする。

領域 内容
意図より大量・長期、減量失敗、入手・使用・回復に多くの時間、
障害 役割不履行、対人問題があっても継続、重要な活動の放棄
危険な使用 危険な状況での使用、身体・精神的悪影響を知りながら継続
的基準 耐性、物質特異的な離脱

適切な医学的管理下で処方薬を使用した結果として生じた耐性・離脱だけは診断項目に数えない。物質、量、経路、最終使用、併用、過量・離脱歴、妊娠可能性、自殺リスクを具体的に確認する。

物質別の中毒・離脱

物質 中毒の要点 離脱・中断時の要点
オピオイド 、意識低下、呼吸抑制 、下痢、嘔吐、疼痛。通常は生命を直接脅かしにくいが、脱水と再使用後の過量が危険
刺激薬 頻脈、高血圧、、胸痛、、けいれん、 抑うつ、易疲労、または不眠、、自殺リスク
多幸、時間感覚変化、、頻脈、不安・ 、不眠、不安、食欲低下
鎮静・睡眠・ 鎮静、、失調、呼吸抑制。オピオイド併用で危険増大 急な中断で不安、不眠、振戦、けいれん、せん妄、死亡
・解離薬 知覚変容、パニック、高血圧、事故。物質により解離・鎮静 多くは特異的な重篤離脱に乏しいが、精神症状と事故リスクを評価
悪心、めまい、重症ではけいれん・不整脈 、不安、、食欲増加、強い

⚠️ 違法流通薬では本人が意図しないなどの混入があり、申告された物質だけで中毒像を説明しない。オピオイドとベンゾジアゼピン、アルコールなど複数の中枢抑制薬の併用は致死的呼吸抑制を増やす。

診断

flowchart TD
    A["物質使用または中毒・離脱を疑う"] --> B["気道・呼吸・循環・意識・体温・血糖を評価"]
    B --> C{"呼吸抑制・胸痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperthermia'>高体温</span>・けいれん・せん妄"}
    C -->|"あり"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='life-saving treatment (resuscitation)'>救命処置</span>と物質特異的治療"]
    C -->|"なし"| E["物質・量・経路・最終使用・併用を聴取"]
    D --> E
    E --> F["12か月の11基準と重症度を評価"]
    F --> G["精神・身体併存症と感染・妊娠・自殺リスクを評価"]
    G --> H["本人と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Goals'>治療目標</span>を共有"]
    H --> I["維持薬・心理<span class='jp-term jp-term-diagram' title='social'>社会的</span>治療・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='harm reduction'>害の低減</span>へ直結"]

尿・唾液などの薬物検査は包括的評価を補助するが、単独で診断・処罰に用いない。検出窓、、偽陰性、検査パネルに含まれない合成薬を考慮し、予想外の結果はと臨床像で解釈する。

同時に評価する問題

治療

急性中毒・離脱

オピオイド過量では呼吸を補助し、を投与する。反応が乏しければ換気を続けながら反復し、長時間作用型オピオイドや高力価合成オピオイドではを見越して観察する。意識が戻っても治療を非難や処罰の場にせず、同日から提供へつなぐ。

刺激薬中毒では静かな環境、冷却、補液、必要に応じベンゾジアゼピンを用い、胸痛・不整脈・・脳卒中を評価する。刺激薬離脱では抑うつと自殺リスクを重点的に監視する。

ベンゾジアゼピンなどの長期使用は急に中止せず、使用量・半減期・併存症に応じて医療監視下で段階的に減量する。けいれん、せん妄、があれば入院管理を検討する。

物質別の長期治療

使用症 治療の中心 注意点
オピオイド またはによる。完全離脱後の選択例では 離脱だけを単独で行うと再使用・が増える。心理支援の辞退・不足を理由に維持薬を遅らせない
刺激薬 を標準的な心理治療として、などと組み合わせる 確立した承認薬はなく、薬物療法はが個別に検討する
確立した特異的薬物療法はない。睡眠・不安・を評価する
鎮静・睡眠・ 安全な、併存不安・不眠への非依存性治療 急な中止を避け、オピオイドなどとの併用を減らす
と行動支援 他の使用症治療と同時に禁煙支援を行える

2026年WHO更新では、と経口によるへの強い推奨を再確認し、長時間作用型注射も条件付き選択肢に加えた。妊娠中のオピオイド使用症でも、急な離脱よりまたはによる安定化を専門チームで行う。

ベンゾジアゼピンなどの中枢抑制薬併用は呼吸抑制リスクを高めるが、それだけを理由にオピオイド使用症の維持薬を差し控えない。提供、用量・鎮静の監視、処方者間の連携、安全なを組み合わせる。

心理社会的治療と害の低減

  • を責めず、本人が重視する変化を引き出す。
  • :確認された治療参加や物質非使用に、明確で即時の強化を与える。
  • :引き金、、思考、代替行動、再使用時の立て直しを扱う。
  • 家族・:本人の希望と安全を尊重し、孤立を減らす。
  • 住居・就労・法的支援、感染症治療、注射器サービス、薬物成分検査などを同じ計画へ統合する。

オピオイドを使用する本人、家族、同居者にはと使用法を提供する。単独使用を避けること、耐性が下がる解毒後・退院後・釈放後・治療中断後は以前の量がになり得ること、中枢抑制薬の併用を避けることを具体的に伝える。

再使用はの証明ではなく、死亡リスクを再評価し治療強度を調整する情報である。再使用を理由に治療から排除せず、維持薬の中断を避ける。

まとめ

  • は、12か月の11基準を制御・社会・危険・的領域で捉え、項目数で重症度を示す。
  • 急性時は物質名の確定を待たず、呼吸抑制、、胸痛、けいれん、せん妄、自殺リスクを治療する。
  • オピオイド使用症ではまたはによるを優先し、離脱だけで終えない。
  • 刺激薬使用症ではが治療の標準であり、確立した承認薬はない。
  • 、感染予防、住居・家族・就労支援を含むを、回復への一部として継続する。