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Drug Atlas · A2 Cholinergics / コリン作動薬 · 必修

バレニクリン

varenicline

分類
Cholinergics / コリン作動薬
商品名(日本)
チャンピックス
商品名(EU)
Champix
科目
Pharmacology
トピック
A2: Cholinomimetics
副作用
不眠悪心
対象疾患
精神作用物質使用症(アルコール以外)

🧠 全体像:はので、そのものより刺激は弱いが、受容体を占拠することで二重の効果を生む。①受容体を部分的に刺激して・を和らげ、②同時に受容体を塞ぐことで、もし患者が喫煙を再開してもによる強い(快感)が得にくくなる。この「アメとブレーキの同居」が(NRT)との機序上の違い。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 受容体への作用 特徴
α4β2の NRT。強い刺激だが受容体は塞がない
α4β2の 刺激は弱いが、喫煙時のの効果をに減弱させる
非 ドパミン・ノルアドレナリンという別機序

⭐ 2016年のEAGLES試験(精神疾患のある喫煙者とない喫煙者の計8,144例を、・・・に無作為に割り付けた試験)では、中等度〜重度の神経精神系有害事象について、にもにも、またはと比べた有意な増加が示されなかった(精神疾患のあるコホートでの発現率は6.5%、6.7%、5.2%、4.9%)。禁煙率はが・・のいずれより高かった1。これを受けて米国は2016年12月、の添付文書から重篤な精神系副作用についてのを削除した。ただしは、リスクは従来の想定より低いが今もあり、とくにうつ病・不安症・などの治療中または既往のある人で残るとしている2。 現行のガイドラインではの中でも高い有効性を持つ第一選択の一つとして位置づけられている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='varenicline'>バレニクリン</span>がα4<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-2 receptor'>β2受容体</span>へ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='partial agonist'>部分作動薬</span>として結合"] --> B["受容体を弱く刺激し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mesolimbic system'>中脳辺縁系</span>でドパミンを<br>少量放出させる"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='craving'>渇望</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='withdrawal symptom'>離脱症状</span>が緩和される"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nicotine'>ニコチン</span>結合部位を占拠し続ける"]
    D --> E["喫煙して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nicotine'>ニコチン</span>が入っても<br>受容体に結合できず<br>強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reward'>報酬</span>シグナルが起こりにくい"]

💡 は「弱い作動薬」であると同時に「強い作動薬の効果を弱める拮抗薬」でもある。 これはβ遮断薬のと同じ理屈で、受容体を先に占拠しているぶん、あとから来る(ここでは)の効果が頭打ちになる。

薬物動態

項目 値・特徴
高い
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 約92%が未変化体のまま(+)
半減期 約24時間

⭐ ほぼ未変化体でされるため、腎機能低下例ではが必要。

適応

禁煙補助。行動支援と組み合わせて用いる。

用法・用量

経口。0.5 mgを1日1回から開始し、数日かけて0.5 mgを1日2回、さらに1 mgを1日2回へと漸増する。禁煙予定日の1〜4週間前から開始し、通常12週間継続する(再発予防にはさらに12週間の延長を検討する)。実際の漸増スケジュール・腎機能に応じた減量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 過敏症の既往
  • では減量を要することがある
  • 精神疾患の治療中・既往がある患者では気分・行動・思考の変化を経過観察する(EAGLES試験では・と比べた有意な増加は示されなかったが、はこの群でリスクが残るとしている)2

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心(最も多い、約3割)、鮮明で異常な夢、不眠
注意 気分変化(不安・)
重篤・まれ 心血管イベントの小さなシグナル(で報告あり。既存の心血管疾患がある患者では経過観察)

まとめ

  • の。を和らげる作動作用と、喫煙時のの効果を減弱させるを併せ持つ。
  • とは異なり、受容体そのものを占拠して喫煙の「」を得にくくする設計。
  • EAGLES試験で・と比べた神経精神系有害事象の有意な増加は示されず、米国のは2016年に削除された。ただし精神疾患の治療中・既往のある人ではリスクが残るとされる。
  • ほぼ未変化体でされるため腎機能低下例では減量を要する。
  • 悪心が最も頻度の高い副作用で、はこれを軽減する目的もある。

出典

  1. 1.Neuropsychiatric safety and efficacy of varenicline, bupropion, and nicotine patch in smokers with and without psychiatric disorders (EAGLES): a double-blind, randomised, placebo-controlled clinical trial(The Lancet・2016)抄録(Europe PMC)で確認した。精神疾患のある喫煙者4,116例とない喫煙者4,028例を、バレニクリン・ブプロピオン・ニコチンパッチ・プラセボに1対1対1対1で割り付けた二重盲検無作為化比較試験で、主要評価項目の中等度〜重度の精神神経系有害事象は、バレニクリンにもブプロピオンにもニコチンパッチまたはプラセボと比べた有意な増加が示されなかったこと(精神疾患コホートの発現率は6.5%・6.7%・5.2%・4.9%)。禁煙率はバレニクリンがプラセボ(OR 3.61)・ニコチンパッチ(1.68)・ブプロピオン(1.75)のいずれより高かったこと閲覧 2026-09-24
  2. 2.FDA Drug Safety Communication: FDA revises description of mental health side effects of the stop-smoking medicines Chantix (varenicline) and Zyban (bupropion) to reflect clinical trial findings(U.S. Food and Drug Administration・2016)FDAの現行サイトでは当該ページが404のため、Internet Archiveの2017年6月3日の保存版で確認した。2016年12月16日付で、チャンピックス(バレニクリン)とザイバン(ブプロピオン)による気分・行動・思考への重篤な副作用のリスクは従来の想定より低いと判断したこと、ただしそのリスクは今もあり、とくにうつ病・不安症・統合失調症などの治療中または既往のある人で残ること、その結果チャンピックスの添付文書から重篤な精神系副作用についての枠組み警告を削除すること閲覧 2026-09-24