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Drug Atlas · A18 Other / その他

ナルトレキソン

naltrexone

分類
Other / その他
商品名(EU)
Nalorex
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
2-7: Chronic alcoholism
承認適応
アルコール使用障害精神作用物質使用症(アルコール以外)
副作用
悪心頭痛
相互作用
ブプレノルフィンメタドンロフェキシジン
原因となる疾患
オピオイド離脱症候群

🧠 全体像:はの母体分子にあたる拮抗薬で、血液脳関門を通過し中枢まで作用が届く点がとの決定的な違いである。では、「飲酒したときの()」をブロックすることでを減らすという役割を担う——のようなとは異なり、飲みたい気持ちそのものに働きかける薬であり、の維持だけでなく「」にも使えるという位置づけの広さが特徴である。⚠️ ただしオピオイド使用者に投与するとを誘発するため、投与前に一定期間のオピオイドフリー期間が必須になる。

薬効群の中での位置づけ

A18トピック上は抗精神病薬に混じって登場するが、と同様に抗精神病薬ではなく、の薬物療法という文脈で理解する薬である。

薬剤 機序 目標
拮抗 飲酒の効果・を減らし、を減らす(にも維持にも使える)
(NMDA受容体)の興奮を鎮める 後に開始し、の維持を助ける
による 飲酒への(監視下でなければ効果が乏しい)

⭐ が末梢限定()だったのに対し、は中枢まで届く。 このこそが、アルコール摂取時のでのドパミンシグナルを弱められる理由であり、同時にオピオイド・オピオイド使用者への投与が危険になる理由でもある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='naltrexone'>ナルトレキソン</span>が中枢・末梢の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mu-opioid receptor'>μオピオイド受容体</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に拮抗"] --> B["飲酒時に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endogenous opioid'>内因性オピオイド</span>系を介して<br>放出される<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleus accumbens'>側坐核</span>ドパミンの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reward'>報酬</span>シグナルが減弱"]
    B --> C["飲酒の「気持ちよさ」が弱まる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heavy drinking day'>大量飲酒日</span>・飲酒量が減少"]
    A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exogenous opioid'>外因性オピオイド</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='analgesic'>鎮痛薬</span>・乱用薬物)の<br>作用も同時にブロック"]
    E --> F["オピオイド使用者では<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute withdrawal'>急性離脱</span>を誘発<br>オピオイド鎮痛が効かなくなる"]

💡 は「飲酒を罰する」薬ではなく「飲酒の魅力を減らす」薬である。 のように飲むと具合が悪くなるわけではないため、目標を達成できなくても数の減少という形で治療効果が測れる——これが「だけでなくにも使える」という位置づけの根拠になっている。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 (1日1回)と(4週に1回)の両方がある。北米ではがReVia、がVivitrolの商品名で販売されている1
経口/()
用量(持続性注射剤) 380 mgを4週に1回筋注1

適応

領域 使いどころ
精神科・依存症治療 のの一つ。の減少・維持のいずれにも用いる2
精神科・依存症治療 完全なオピオイドフリー期間を経たにおける再発予防(解毒後)1

用法・用量

では、(1日1回)または380 mgを4週に1回()を用いる1。経口(50 mg/日)は大量飲酒への回帰を1人防ぐためのが12、あらゆる飲酒への回帰を1人防ぐためのが20と報告されており、とのでは消費に有意差はみられていない3。

禁忌・注意

  • ⚠️ オピオイド使用者・依存者には投与前に最小7〜10日間のオピオイドフリー期間が必要。 それより早い投与は、入院を要するほど重篤化しうるを誘発する1
  • ⚠️ 投与中はオピオイド・・などオピオイド含有薬の作用が拮抗される。 が必要な場合はやを優先する1
  • ⚠️ ・肝不全:肝炎や臨床的に重要なが投与例で報告されており、の徴候・症状があれば中止する1
  • ・による中の患者には投与しない(作用に拮抗するため)

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、頭痛、めまい、疲労感
注意(持続性注射剤) 注射部位反応(・疼痛)
重篤・まれ 肝炎・、投与前オピオイド曝露時の

まとめ

  • は中枢まで届く拮抗薬で、末梢限定のとは作用範囲が対照的。
  • では飲酒の効果を減らし、の減少()と維持のいずれにも使えるの一つ。
  • 剤形は経口(1日1回)と持続性筋注(380 mgを4週に1回)。
  • ⚠️ オピオイド使用者では投与前に最小7〜10日間のオピオイドフリー期間が必要で、それより早いと重篤なを誘発する。
  • ⚠️ 投与中はオピオイドが効かなくなるためは非オピオイド手段を優先する。・肝不全の徴候があれば中止する。
  • とは頭対頭試験で消費に有意差がなく、維持志向か志向か、腎機能か肝機能かで使い分ける。

出典

  1. 1.VIVITROL (naltrexone for extended-release injectable suspension) — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2025)効能・効果がアルコール依存症の治療とオピオイド依存症からの再発予防(解毒後)であること、アルコール使用障害での用量が380mgを4週に1回筋肉内(殿部)注射であること、投与開始前にオピオイド曝露を最小7〜10日間断つことが推奨され、それより短いとオピオイド離脱症状(入院を要するほど重篤化しうる)を誘発しうること、肝炎・臨床的に重要な肝機能障害が投与例で報告され急性肝炎の徴候があれば中止すべきとされていること、本剤投与中はオピオイド含有薬(鎮咳薬・止瀉薬・オピオイド鎮痛薬含む)の作用が拮抗されるため区域麻酔や非オピオイド鎮痛薬を推奨していることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Treatment of Alcohol Use Disorder(Johns Hopkins University(ニューヨーク州保健局HIV/AIDS臨床ガイドラインプログラム)・2023)経口アカンプロサートまたは経口/注射用の徐放性ナルトレキソンをアルコール使用障害治療の優先薬とすることを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Pharmacotherapy for Adults With Alcohol Use Disorders in Outpatient Settings: A Systematic Review and Meta-analysis(JAMA・2014)経口ナルトレキソン(50mg/日)は大量飲酒への回帰を1人防ぐためのNNTが12、あらゆる飲酒への回帰を1人防ぐためのNNTが20であったこと、アカンプロサートとナルトレキソンを直接比較した4件の頭対頭試験では消費アウトカムに有意差が示されなかったことを確認した。閲覧 2026-08-19