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Drug Atlas · A18 Other / その他

ジスルフィラム

disulfiram

分類
Other / その他
商品名(日本)
ノックビン
商品名(EU)
Antabuse
科目
Pharmacology
トピック
A18: Antipsychotics
副作用
顔面紅潮
相互作用
フェニトインメトロニダゾールワルファリン
対象疾患
アルコール使用障害

🧠 全体像は抗精神病薬トピック(A18)に登場するが、抗精神病薬ではない。D2受容体にもにも作用せず、を阻害してを蓄積させるという、まったく別の機序で維持を助ける薬である。A18の他の15剤(抗精神病薬)と並べて出題されるのは「分類のひっかけ」を狙った構成であり、「この薬効群には仲間ではない薬が紛れている」という気づきそのものが試験対策になる。

薬効群の中での位置づけ

抗精神病薬(D2遮断・D2+5-HT2A遮断・D2部分作動のいずれか)とはまったく異なる作用機序を持つため、比較対象は同じの薬物療法にある。

薬剤 機序 特徴
ALDH阻害 飲酒すると不快な嫌悪反応が起こる「」。本人の理解とが前提
拮抗 効果・を低減し大量飲酒を減らす。オピオイド使用中は禁忌
の調整 後に開始し、の維持を支援する

⚠️ は唯一「飲酒したら罰が来る」という直接的なの薬。 が「飲みたい気持ち」自体を減らすのに対し、は「飲んだらどうなるか」を体感させることで抑止する、機序も心理的なもまったく異なる薬である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disulfiram'>ジスルフィラム</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ALDH'>アルデヒド脱水素酵素</span>を不可逆的に阻害"] --> B["飲酒によりエタノールが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetaldehyde'>アセトアルデヒド</span>まで代謝される"]
    B --> C["ALDHが働かず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetaldehyde'>アセトアルデヒド</span>が分解されず蓄積"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='facial flushing'>顔面紅潮</span>・頭痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpitations'>動悸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nausea and vomiting'>悪心嘔吐</span>・低血圧などの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='disulfiram'>ジスルフィラム</span>・エタノール反応"]
    D --> E["飲酒への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aversive conditioning'>嫌悪条件づけ</span>が形成される"]

エタノールは肝でによりへ、さらにALDHによって無害な酢酸へ代謝される。はこのALDHを阻害するため、飲酒するとが分解されずに蓄積し、強い不快反応()を引き起こす。

💡 そのものは「治療」ではなく「抑止力」。 単独にを減らす作用はなく、したいという本人の意思と、飲酒すれば必ず不快な反応が起こるという確実性の組み合わせで機能する行動療法的な薬という理解が本質に近い。

薬物動態

項目 値・特徴
ALDH阻害の持続 のため、最終投与後も新しい酵素が作られるまで最大14日間は飲酒に反応しうる
開始のタイミング 最終飲酒から少なくとも12時間は空けてから開始する

適応

領域 使いどころ
精神科・依存症治療 維持(本人がられている場合の

用法・用量

最終飲酒後少なくとも12してから開始し、本人へ機序と反応を十分に説明したうえで投与する。認識のないまま投与しない。アルコール含有製品(洗口液・咳止めシロップ・調味料など)への曝露にも注意が必要である。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌・慎重投与:重い心疾患(反応時のに耐えられない可能性)、、妊娠
  • ⚠️ メトロニダゾールとの併用は禁忌に準じる:精神症状(せん妄・)を誘発することがある。⚠️ 一方で、メトロニダゾール自体が単独でを起こすという説明は見直されている——2021年CDC性感染症治療ガイドラインの根拠レビューでは、この相互作用を支持するin vitro・動物・臨床のエビデンスが見当たらず、メトロニダゾールはと違ってを阻害しないことが確認された1併用を避ける理由は精神症状であって、の蓄積ではない
  • ⚠️ ワルファリンとの相互作用によりワルファリンの作用が増強され、INRが上昇しうる
  • フェニトインとの相互作用:代謝阻害によりフェニトイン血中濃度が上昇しうる
  • 最終投与後も最大14日間は飲酒に反応しうる:中止してすぐに安全に飲酒できるわけではない

副作用

頻度 内容
高頻度(飲酒時) 、頭痛、悪心嘔吐
注意(非飲酒時) 傾眠、・ニンニク様)
重篤・まれ 重度の・エタノール反応時の血圧低下・不整脈・、肝毒性、末梢神経障害

まとめ

  • A18トピックに並ぶが抗精神病薬ではない。D2受容体もも関与しない、分類上の「ひっかけ」薬である。
  • を不可逆的に阻害し、飲酒時のによる嫌悪反応で維持を助ける。
  • が「飲みたい気持ち」を減らすのに対し、は「飲んだらどうなるか」を体感させるという点で機序が根本的に異なる。
  • 阻害が不可逆的なため、最終投与後も最大14日間は飲酒への反応が残る。
  • メトロニダゾールとの併用は精神症状を誘発しうるため避け、ワルファリン・フェニトインとは代謝阻害による相互作用がある。
  • 本人の理解とが治療効果の前提であり、認識のないまま投与しない。

出典

  1. 1.Diagnosis and Management of Bacterial Vaginosis: Summary of Evidence Reviewed for the 2021 CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines(CDC(Clinical Infectious Diseases誌掲載のガイドライン根拠レビュー)・2021)メトロニダゾールとアルコールのジスルフィラム様反応を支持するin vitro・動物・臨床のエビデンスがsystematic reviewで見当たらず、メトロニダゾールはジスルフィラムのようにアセトアルデヒド脱水素酵素を阻害しないことを確認した閲覧 2026-08-03