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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬 · 必修

フェニトイン

phenytoin

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬Antiarrhythmics / 抗不整脈薬
商品名(日本)
アレビアチンヒダントール
商品名(EU)
Epanutin
科目
Pharmacology
トピック
A21: Antiepileptics. Adjuvant analgesicsB5: Drugs influencing cardiac electrophysiology
禁忌疾患
Unverricht-Lundborg病Dravet症候群
副作用
歯肉増生
相互作用
イソニアジドエスワンクロラムフェニコールジスルフィラムシメチジンビンクリスチンビンデシンフェルバマットボリコナゾールメチラポン
対象疾患
Isaacs症候群てんかん外傷性脳損傷大田原症候群有棘赤血球舞踏病
原因となる疾患
ポルフィリン症白血球破砕性血管炎薬剤性過敏症症候群薬剤誘発性ループス薬疹(SJS・TENを含む)

🧠 全体像:フェニトインは最初期のでありながら、今ものとして現役で使われる。薬としての面白さは効果よりも動態にある——用量を少し増やすと血中濃度が跳ね上がる(飽和)動態を持ち、この一点が・中毒管理・臨床判断のすべてを支配する。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 系統 位置づけ 弱点
フェニトイン Na遮断 ・の第二選択 ・・・
カルバマゼピン use-dependent Na遮断 ・ ・SJS
Na緩徐不活性化促進 ・
SV2A結合 重積の第二選択(フェニトインの代替) 精神/

⭐ では、ベンゾジアゼピンで止まらなければ・フェニトイン系・バルプロ酸のいずれかが第二選択として並ぶ。フェニトインは歴史的に使われてきたが、による静注時の不整脈・血圧低下リスクから、近年はを先に選ぶ施設が増えている。

機序

flowchart TD
    A["フェニトインが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated sodium channel'>電位依存性Naチャネル</span>へ結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inactivated state'>不活性化状態</span>のチャネルを安定化<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='frequency-dependent (use-dependent) blockade'>頻度依存性遮断</span>)"]
    B --> C["高頻度発火中のニューロンを選択的に抑制"]
    C --> D["焦点からの発作波及を抑制"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic metabolism (liver metabolism)'>肝代謝</span>酵素CYP2C9/CYP2C19が飽和"] -.->|"用量をわずかに増やすと<br>血中濃度が急激に上昇"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-linear'>非線形</span>(Michaelis-Menten型)動態"]
    F -.->|"治療域が狭い"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toxic range'>中毒域</span>に入りやすい"]

⚠️ 飽和が起こるのは「治療域を超えてから」ではなく、治療域のなかである。 日本人てんかん患者の集団解析ではが9.19 μg/mLと推定されており1、添付文書のいう治療濃度域「総濃度10〜20 μg/mL」2の下端よりも低い。つまり治療域に入った時点ではすでにかなり飽和しており、そこからの増量はでは動かない。だから「少し増やしたら急に中毒になった」が起こる。これがフェニトインを使いこなす上で最も重要な一点である(数値と計算例は Core18:線形・ にある)。

薬物動態

項目 値・特徴
良好だが製剤間で差がある
分布 が高い(で遊離型が増加)
代謝 肝CYP2C9/CYP2C19。の(飽和)動態
治療域 狭い(総フェニトイン濃度は血中アルブミンで補正して解釈する)
排泄 代謝物として
半減期 に変動する(濃度が上がるほど延長)

適応

領域 使いどころ
てんかん 、の第二選択(ベンゾジアゼピン無効時)
外傷 の早期外傷後けいれん予防(受傷後7日間。晩期てんかん予防目的の長期投与は行わない)
循環器 一部の不整脈(Ib類似作用)

用法・用量

経口・静注ともにはを前提に少量ずつ行う。静注時はで低血圧・不整脈を来しうるために注意する。実際の用量は適応・年齢・体重・血中アルブミン・腎肝機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:・(悪化させうる)
  • ⚠️ :治療域内でも用量をわずかに増やすと血中濃度が急激に上昇しうる。増量はに行い、頻回のが実践的
  • 静注時のは低血圧・不整脈のリスクがある
  • 長期使用で・・骨密度低下をきたしうる

⚠️ をはじめとするでは用いない。 と発作を悪化させるだけでなく、を加速させるとされる。同じ理由でカルバマゼピン・・・・・も避け、バルプロ酸とを基軸にする。

副作用

頻度 内容
高頻度 、、(長期使用)
注意 眼振、(、中毒の初期徴候)
重篤・まれ 皮疹からSJS/TEN、、静注時の

まとめ

  • Naチャネル遮断が。との第二選択で使われる。
  • が飽和しやすくを示す。「少し増量したら急に中毒」が起こりうる上の最大の癖。
  • 眼振→→傾眠という進行は中毒の初期徴候として押さえておく。
  • ・は長期使用の代表的な副作用。
  • ・は悪化させうるため、発作型の確認が必須。
  • では受傷後7日間の早期けいれん予防に使うが、晩期てんかん予防目的の長期投与は行わない。

出典

  1. 1.Population pharmacokinetics of phenytoin in Japanese patients with epilepsy: analysis with a dose-dependent clearance model(Biological & Pharmaceutical Bulletin・1996)J-STAGEの論文ページで確認した。日本人てんかん患者を対象とした集団薬物動態解析で、ミカエリス・メンテン型消失モデルの母集団推定値は逐語で「9.80mg/d/kg and 9.19μg/ml」、すなわちVmax 9.80 mg/日/kg・Km 9.19 μg/mLである。⚠️ 対象は年齢15.6±6.6歳・体重42.4±16.5 kgの小児と若年成人が中心の集団で、成人一般の代表値ではない。ゾニサミド併用時のKm上昇も同解析で推定されている。詳細な数値と計算例は Core18 側に置いてある。閲覧 2026-09-22
  2. 2.EXTENDED PHENYTOIN SODIUM capsule — Prescribing Information(Amneal Pharmaceuticals LLC / DailyMed(U.S. FDA)・2026)全文(改訂表示は逐語「Revised: 5/2026」)で確認した。治療濃度域は逐語で「the clinically effective serum total concentration is 10 to 20 mcg/mL (unbound phenytoin concentration is 1 to 2 mcg/mL)」。定常状態については逐語で「Steady-state therapeutic levels are achieved at least 7 to 10 days (5 to 7 half-lives) after initiation of therapy with recommended doses of 300 mg/day」。治療域を超えた血中濃度の持続については逐語で「may produce confusional states referred to as "delirium," "psychosis," or "encephalopathy," or rarely irreversible cerebellar dysfunction and/or cerebellar atrophy」。閲覧 2026-09-22