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Drug Atlas · B13 Other / その他 · 必修

メチラポン

metyrapone

分類
Other / その他
商品名(日本)
メトピロン
商品名(EU)
Metopirone
科目
Pharmacology
トピック
B13: Mineralocorticoids. Topically applied glucocorticoids. Adrenocortical antagonists, inhibitors of corticosteroid synthesis
禁忌疾患
原発性副腎不全
監視検査値
コルチゾール
相互作用
フェニトイン
対象疾患
クッシング症候群

🧠 全体像はこのグループの他の10剤とは根本的に立ち位置が違う。ステロイドではなく、コルチゾール合成の最終段階を止めるである。同じ「コルチゾールを操作する」薬でも、他剤が受容体を作動させる側に立つのに対し、合成そのものを断つ側に立ち、その結果を診断()と治療(Cushing症候群の管理)の両方に応用する、この群で唯一の合成阻害薬。

薬効群の中での位置づけ

副腎皮質ステロイド関連薬は「作動させる(GC/MC受容体作動薬)」と「合成を止める(薬)」に大別され、は後者の代表として位置づけられる。

分類 代表薬 やっていること
GC受容体作動薬 GRを作動させ抗炎症効果を得る
MC受容体作動薬 MRを作動させNa貯留を起こす
を阻害しコルチゾール合成を止める
(同じ標的酵素) 同じを阻害。Cushing病治療薬としてを経て承認された新しい
(複数酵素) ・17,20-など複数のを阻害。抗真菌薬としての承認が主で、は転用

他の副腎皮質薬(と並んで使われるなど)と役割が重なるが、は「診断」に使える点が独自である。 健常な視床下部-下垂体-系ではコルチゾール合成を止めるとが外れてACTHが代償性に上昇するため、この反応の有無自体が下垂体機能を評価する検査()として利用できる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metyrapone'>メチラポン</span>が副腎皮質の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='11-beta-hydroxylase (CYP11B1)'>11β-水酸化酵素</span>(CYP11B1)を阻害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='11-deoxycortisol'>11-デオキシコルチゾール</span>→コルチゾールへの最終変換がブロックされる"]
    B --> C["コルチゾール産生↓"]
    B --> D["前駆物質である<span class='jp-term jp-term-diagram' title='11-deoxycortisol'>11-デオキシコルチゾール</span>が蓄積"]
    C --> E["視床下部-下垂体での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='negative feedback'>ネガティブフィードバック</span>が外れる"]
    E --> F["下垂体からACTH分泌が代償性に上昇(HPA系が正常な場合)"]
    F -.->|"ACTHが十分に上昇しない"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypopituitarism'>下垂体機能低下症</span>の診断(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metyrapone test'>メチラポン試験</span>)"]
    D -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='11-deoxycortisol'>11-デオキシコルチゾール</span>は弱い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mineralocorticoid'>ミネラルコルチコイド</span>様作用を持つ"| H["高血圧・低K血症のリスク"]
    C --> I["Cushing症候群でのコルチゾール過剰を是正(治療応用)"]

💡 診断薬と治療薬が同じ機序から生まれるのは珍しい。 「コルチゾール合成を止める」という一つの作用が、健常なHPA系では代償反応(ACTH上昇)を引き起こすため下垂体機能の評価に使え、Cushing症候群のようにコルチゾールそのものが過剰な病態では単純にコルチゾール産生を減らす治療として使える。同じの2つの顔である。

薬物動態

項目 値・特徴
良好、速やかに吸収される
代謝 肝で代謝
作用発現 後数時間で阻害が始まる
半減期 短時間(数時間程度)

適応

領域 使いどころ
内分泌診断 の機能評価(下垂体性副腎不全の鑑別、特にの評価)
内分泌治療 Cushing症候群の薬物治療(手術までの橋渡し、手術不能例、による重症例のコルチゾール過剰の是正)

用法・用量

診断目的(:規定されたプロトコルに従い単回または複数回投与し、投与後のACTH・の反応を評価する。Cushing症候群の治療:少量から開始し、コルチゾール値をモニタリングしながらで漸増する。実際の用量・プロトコルは目的・施設基準で異なるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(もともとコルチゾール産生能が乏しい病態で合成をさらに阻害すると急性副腎不全を誘発する)、過敏症
  • ⚠️ 前駆物質()の蓄積により、弱い様作用が出る。 高血圧・低K血症を来しうる
  • ではのコルチゾール抑制が行き過ぎ、医原性の急性副腎不全を招きうる。 コルチゾール値のモニタリングが必須
  • 診断()は入院管理下で行うことが多い。 検査中の急性副腎不全リスクに備える

副作用

頻度 内容
高頻度 消化器症状(悪心など)
注意 高血圧、(前駆ステロイドのアンドロゲン様作用)
重篤・まれ 急性副腎不全(時)、低K血症

まとめ

  • ステロイドではなく(CYP11B1)阻害薬。同じ副腎皮質ステロイド関連薬でも受容体作動薬とは根本的に異なる立ち位置を持つ。
  • コルチゾール合成の最終段階を止め、を蓄積させる。
  • 健常なHPA系ではが外れACTHが代償性に上昇するため、この反応を利用した(下垂体機能評価)に使われる。
  • 同じ機序をCushing症候群のコルチゾール過剰を是正する治療にも応用する——診断薬と治療薬が同じから生まれる珍しい例。
  • 前駆物質の様作用により高血圧・低K血症を来しうる。
  • には禁忌(もともと乏しいコルチゾール産生能をさらに阻害するため)。
  • フェニトインなどを誘導する薬剤との併用は、自体の代謝を早めて検査結果・治療効果を減弱させうる。