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Disease Atlas · 神経 · 外傷

外傷性脳損傷

Traumatic brain injury

臓器系
神経
科目
TraumatologyNeurology
トピック
外傷学 06:頭蓋・脳外傷の初期治療と院内診断外傷学 07:頭蓋骨骨折の分類と治療原則外傷学 08:脳振盪と脳挫傷の病態・治療外傷学 09:外傷性硬膜外・硬膜下・脳内血腫神経内科 G1-12:外傷性頭蓋内出血
鑑別疾患
心的外傷後ストレス障害脳内出血(非外傷性)
続発疾患
てんかん
関連疾患
外傷性脊椎・脊髄損傷側頭骨骨折
治療薬
マンニトールレベチラセタムフェニトインビタミンKパラセタモール
症状
発作頭蓋内圧亢進
画像所見
CT高吸収域
スコア
グラスゴー昏睡尺度FIM
組織像
硬膜外血腫硬膜外血腫(画像形態鑑別と年齢差)
原因となる疾患
小児虐待・非事故性外傷
適応薬
グリセロール
禁忌薬
ジフェノキシレート

🧠 全体像の初期治療の主眼は、受傷の瞬間に生じたを元に戻すことではなく、低酸素・低血圧・・頭蓋内圧亢進によるを防ぐことにある。保護を伴うABCDE、反復神経診察、適応に基づく頭部、必要時の介入を並行し、頭蓋骨骨折・/・頭蓋内血腫という個々の病態を、同じ「二次性損傷を防ぐ」という枠組みの中で扱う。

初期評価と二次性脳損傷の予防

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic brain injury, TBI'>頭部外傷</span>"] --> B["A:気道確保+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical vertebra'>頸椎</span>保護"]
    B --> C["B:換気・酸素化"]
    C --> D["C:出血制御・循環維持"]
    D --> E["D:GCS・瞳孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Motor response, M'>運動反応</span>"]
    E --> F["E:全身観察・低体温予防"]
    F --> G["反復評価しつつ頭部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noncontrast CT'>単純CT</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurosurgery'>脳神経外科</span>連携"]
項目 評価・介入
A:気道 気道開通を確認し、損傷を疑って頭頸部を中間位で保護する
B:呼吸 酸素化・換気を評価し、低酸素を直ちに是正する
C:循環 外出血を制御し、で低血圧を避ける。頭部以外の出血源(胸腹部・骨盤・)も検索する
D:神経 Glasgow Coma Scale(GCS)、瞳・左右差・、四肢運動を記録する
E:全身 頭部以外の致死的損傷を検索し、低体温を防ぐ

GCS 8以下、気道防御反射消失、換気不全、進行する意識低下では、適切な薬剤と保護下にを行う。重症では、を50〜69歳で100 mmHg以上、15〜49歳および70歳超で110 mmHg以上に保つことが死亡低下の目安として提案される。頭蓋内圧亢進が疑われ循環が安定していれば、頭部を正にしてベッド頭側を約30°挙上する。予防的な長時間のは脳虚血を招くため、切迫の一時的救命措置などに限定する。

神経学的評価と画像診断

GCS 重症度 臨床的意味
13〜15 軽症 正常に近くてもを否定できず、危険因子を評価する
9〜12 中等症 早期CTと厳密な反復観察が必要
3〜8 重症 気道管理、、頭蓋内圧管理を検討

急性期画像の第一選択は頭部で、頭蓋骨骨折、頭蓋内血腫、、脳浮腫、徴候を迅速に評価する。成人では、初診時GCS 12以下、受傷2時間後もGCS 15未満、または徴候、外傷後けいれん、局在神経症状、反復嘔吐などが緊急CTの代表的適応である。「軽症ならCT不要」「中等症以上なら全例同時刻にCT」という単純化はせず、年齢別に検証されたと地域ガイドラインを用いる。CTで説明できない神経障害やが疑われる場合はMRIを追加し、頭蓋単純X線はCTが普及した現在、頭蓋内損傷の除外には用いない。

⚠️ (高血圧・徐脈・不規則呼吸)は頭蓋内圧亢進の晩期・切迫所見であり、出現を待って対応してはならない。

頭蓋骨骨折

特徴
転位の少ない単純な。最も多い
骨片が頭蓋内側へ陥入。高エネルギーで生じやすい
を伴いうる
皮膚創・副鼻腔・などを介して外界と交通し、感染リスクが高い

異常、頭蓋内血腫、がないは、観察と鎮痛を中心に保存的に管理できる。が頭蓋骨厚を超える場合、、重大な頭蓋内血腫、1 cm超の、著明な汚染などは手術(創洗浄・、骨片挙上、抗菌薬・)の適応になる。は多くが保存的に自然閉鎖するが、盲目的なは避け、持続・再発する漏出や髄膜炎では・耳鼻科的修復を検討する。閉鎖性に対する予防的抗菌薬は、髄膜炎予防目的で一律に投与しない。

脳振盪と脳挫傷

は、標準画像で明らかな構造病変を通常認めない一過性の脳機能障害である。は診断に必須ではなく、頭痛・めまい・悪心・光などの身体症状、混乱・などの・情動不安定などの情動症状、睡眠障害が数時間〜数日後に明らかになることもある。初期対応は最初の24〜48時間の(症状を悪化させる強い負荷と画面時間を減らす)から始め、暗室での長期安静は不要で、症状に応じて活動を段階的に戻し、医療者管理下で段階的に競技復帰する。2〜4週を超える症状や回復遅延因子があれば専門評価を検討する。

が頭蓋内面へ衝突して生じるで、衝撃側のと反対側のがあり、下面・前部に多い。は必ずしも「中等症」を意味せず、重症度はGCS、病変量、神経症状、併存損傷で分類する。性出血と浮腫は受傷後数時間〜数日で増大しうるため、初回CTがでもが悪化すれば緊急再CTを行う。治療は低酸素・低血圧の回避、GCS・瞳孔・局在徴候の反復、頭蓋内圧管理(頭部挙上、鎮痛鎮静、または)を中心とし、進行する神経悪化や治療抵抗性の頭蓋内圧亢進では血腫除去・を検討する。

外傷性頭蓋内血腫

出血の解剖学的位置により、出血源、CT形態、進行速度、手術適応が異なる。

項目
血腫部位 頭蓋骨と硬膜の間 硬膜とくも膜の間
主な出血源 など 、皮質血管 部の小血管
急性は 内の
境界 通常は縫合を越えにくい 縫合を越えうるがを越えにくい 解剖学的境界に沿わず周囲浮腫を伴う

低酸素・低血圧を避け、切迫では頭部挙上、鎮痛鎮静、を橋渡しに用いながら確定手術へつなぐ。抗凝固薬は薬剤別に緊急中和し(ワルファリンにはビタミンKを含む中和療法を用いる)、全身出血とを統合して血圧を管理する。

硬膜外血腫

が損傷することが典型で、短いの後に急速に悪化する経過は古典的だが全例にはみられない。血腫量30 cm³超はGCSにかかわらず外科的除去の適応であり、血腫量30 cm³未満・厚さ15 mm未満・5 mm未満・GCS 9以上で局在症状がない選択例は、施設での厳密な観察下に保存治療を検討できる。

急性・慢性硬膜下血腫

急性・皮質血管のによるもので、重いを伴うことが多い。CTで血腫厚10 mm超または5 mm超ならGCSにかかわらず可及的早期に外科的除去を行い、これ未満でもGCS 9未満で受傷時から2点以上のGCS低下、・固定、頭蓋内圧上昇があれば手術を行う。は高齢、、抗凝固薬使用を背景に数週〜数か月かけて頭痛・認知/人格変化・として進行し、症候性またはを伴う例では・ドレナージが中心となる。

外傷性脳内血腫・びまん性軸索損傷

はGCS 6〜8で病変が20 cm³超かつ5 mm以上または脳槽を伴う場合、あるいは病変50 cm³超でが推奨される。神経障害・頭蓋内圧亢進・が乏しい例は集中監視と連続画像で保存治療できる。

(DAI)は急激な加・回転による白質軸索ので、・深部白質・上部脳幹にを伴いうる。受傷直後から長い昏睡・を示してもCTが目立たないことがあり、MRIの感度が高い。局所血腫のような単純な手術標的はなく、治療はを防ぐ酸素化・循環・頭蓋内圧管理が中心となる。

その他の院内管理

  • 血算、電解質、腎肝機能、血糖、凝固、血液型・、血液ガスを病態に応じて確認する。
  • けいれんまたはを疑う場合はを用いる。早期外傷後けいれんの高リスク例ではフェニトインなどのを受傷後7日間用いることがあるが、晩期てんかんを防ぐ目的の漫然とした長期予防投与は行わない。
  • 重症では、CT所見・診察・を統合して頭蓋内圧(ICP)モニタリングを検討する。持続的なICP 22 mmHg超は治療対象の目安とされるが、単一数値ではなくCT・と合わせて判断する。
  • 頭部以外のにはなどを禁忌・併存症を確認した上で用いる。
  • GFAP、UCH-L1などの血液は一部地域で軽症のCT適応判断を補助するが、神経診察やCTを置き換えない。

GCS、瞳孔、四肢運動、呼吸数、心拍数、血圧、体温、を系統的に反復記録する。GCS低下、特にの低下、、新たな麻痺、増悪する頭痛、反復嘔吐、けいれんは直ちに再評価し、再CTと介入を検討する。

まとめ

  • 初期治療の中心は、保護を伴うABCDEと低酸素・低血圧の回避である。
  • 頭蓋骨骨折、/、頭蓋内血腫(EDH・SDH・)、DAIは、いずれも「を防ぐ」という共通の枠組みで管理する。
  • 急性期画像は頭部を基本とし、EDHは、SDHはとしてCTで捉える。
  • EDH・急性SDH・には代表的な画像閾値があるが、GCS・瞳孔・局在徴候・を統合して手術適応を判断する。
  • けいれん予防、ICPモニタリング、は全例一律ではなく、重症度と施設手順で選択する。