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Drug Atlas · B11 Diuretics / 利尿薬 · 必修

マンニトール

mannitol

分類
Diuretics / 利尿薬Laxatives / 下剤
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tractB11: Potassium sparing diuretics, ADH antagonists, osmotic diuretics
禁忌疾患
慢性心不全急性腎障害
監視検査値
浸透圧
対象疾患
ライ症候群外傷性脳損傷気管支拡張症急性肝不全水頭症先天代謝異常症脳内出血(非外傷性)緑内障
原因となる疾患
急性腎障害脱水

🧠 全体像はK排泄→集合管)とは全く異なる原理で働くであり、特定の輸送体を狙うのではなく「糸球体で濾過されるが尿細管でほぼ再吸収されない」という物性そのもので水を引きずり出す。この尿細管非依存という性質のおかげで作用機序自体は単純だが、同じ「水を引く力」が血管内でも働くため、投与直後は循環血液量を一過性に増やす——これが心不全患者での禁忌に直結する、を理解する上で最も重要な二面性である。

薬効群の中での位置づけ

分類 代表薬 経路 主な用途
(静注) 静注のみ(経口では腸管から吸収されずになる) 頭蓋内圧亢進・脳浮腫・急性緑内障
(経口も可) グリセロール 経口・静注・経直腸 同上(グリセロールは腸管から吸収され代謝も受ける点がと異なる)

とグリセロールは「同じ目的(脳浮腫・頭蓋内圧・の低下)に、異なる経路で到達する」ペア。 は腸から吸収されないため静注専用で、経口摂取すると逆にとして働く。グリセロールは吸収・代謝されるためでも全身の効果を発揮できる(詳細はグリセロールのノートを参照)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mannitol'>マンニトール</span>を静注"] --> B["糸球体で自由に濾過されるが、尿細管でほとんど再吸収されない"]
    B --> C["尿細管内の浸透圧が上昇"]
    C --> D["水がNaの動きと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indifference'>無関係</span>に尿細管内にとどまる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osmotic diuresis'>浸透圧利尿</span>(電解質喪失を伴う<span class='jp-term jp-term-diagram' title='water diuresis'>水利尿</span>)"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasma osmolality'>血漿浸透圧</span>も上昇し、細胞内から血管内へ水を引き込む"]
    F --> G["投与直後は循環血液量が一過性に増加"]
    G --> H["心不全・肺水腫では増悪因子になる(禁忌の根拠)"]
    F --> I["血液脳関門が健常であれば脳組織からも血管内へ水が引き出される"]
    I --> J["脳浮腫の軽減・頭蓋内圧の低下"]

💡 頭蓋内圧を下げる効果は「血液脳関門が保たれていること」が前提。 外傷・出血などでBBBが局所的に破綻している領域では、がその部位の組織内へも漏れ出し、逆にが消えて水を引き戻せなくなる(の脳浮腫悪化)。だからの急性期には慎重な適応判断が必要になる。

薬物動態

項目 値・特徴
分布 血管内にとどまる(正常な血液脳関門は通過しない)
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 後、尿細管でほとんど再吸収されず
作用発現・持続 頭蓋内圧低下は静注後15〜30分で発現し、約6時間持続

適応

領域 使いどころ
神経 頭蓋内圧亢進・脳浮腫(など)
眼科 での低下
腎・周術期 利尿の促進(腎移植周術期など)
呼吸器 吸入製剤はで気道粘液をを助ける目的に用いられる(静注のとは別の適応)

用法・用量

頭蓋内圧亢進では0.25〜1 g/kgを15〜30分かけて急速静注し、必要に応じて6時間ごとに反復する。時は血清浸透圧・をモニタリングし、蓄積による腎障害を避ける(目安として血清浸透圧が高くなりすぎる前にを空ける)。実際の用量・は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌重度心不全・肺水腫(投与初期のが増悪因子になる)、活動性でのBBB破綻が疑われる状況(の脳浮腫増悪リスク)
  • ・高度腎機能低下では排泄が遅れが血管内にとどまり続け、が遷延する
  • では(尿細管の変性・)による腎機能悪化に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 投与初期の、口渇・脱水
注意 (水が細胞内から血管内へ移動するために起こる、いわゆる)、頭痛
重篤・まれ による、肺水腫(心不全患者)、BBB破綻例での

まとめ

  • 尿細管の輸送体を狙わず、「濾過されるが再吸収されない」という物性そのもので水を引き出す
  • 血管内でも同じ力が働くため、投与直後は循環血液量が一過性に増加する——これが心不全での禁忌に直結する最
  • 頭蓋内圧・脳浮腫・急性緑内障の管理に使うが、効果は血液脳関門が保たれていることが前提。
  • では血清浸透圧をモニタリングし、による腎障害の蓄積を避ける。
  • 経口摂取では吸収されずとして働く点が、も可能なグリセロールとの最大の違い。
  • 吸入製剤はでの目的という、静注とは別系統の適応を持つ。