薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A18 Other / その他

アカンプロサート

acamprosate

分類
Other / その他
商品名(EU)
Campral
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
2-7: Chronic alcoholism
承認適応
アルコール使用障害
副作用
下痢不安
監視検査値
クレアチニン

🧠 全体像:はと並ぶの再発予防薬だが、狙う神経系も、狙うタイミングも異なる。が「飲酒の」を減らすのに対し、は慢性飲酒で崩れた(NMDA受容体)の興奮過剰を鎮め、離脱後に持続する神経の過適応状態を元に戻すことでの維持を助ける薬である。したがって「できている状態から開始する」薬であり、飲酒中や離脱直後の目的では使わない。⚠️ のためでが必要で、重度腎障害は禁忌という点が、中心のとの実地での使い分けを決める。

薬効群の中での位置づけ

項目
機序 (NMDA受容体)の興奮過剰を鎮める 拮抗で飲酒の効果を減らす
主目標 の維持(すでにできている患者) (の減少)にも維持にも使える
開始のタイミング 達成後、できるだけ早期に開始1 飲酒中でも開始できる
主な排泄経路 (重度腎障害は禁忌) 主に
肝障害での扱い を受けないため肝障害患者でも使いやすい ・肝不全では中止を要する
1日3回、666 mg×3という頻回投与 経口1日1回、または持続性注射剤(4週に1回)

⭐ 腎障害があるなら、肝障害があるなら、という排泄経路に基づく使い分けが実地の目安になる。 ただしとの頭対頭試験では消費に有意差が示されておらず2、優劣で選ぶ薬ではない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な大量飲酒で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>作動性抑制が減弱し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='compensatory'>代償的</span>に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glutamate-gated'>グルタミン酸作動性</span>の興奮系が亢進"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sobriety (alcohol abstinence)'>断酒</span>後もこの神経適応状態が持続する"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='craving'>渇望</span>・不快感・再飲酒のリスクが高いまま残る"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acamprosate'>アカンプロサート</span>がNMDA受容体系の<br>過剰な興奮を抑制する方向に働く"] --> E["グルタミン酸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>系のバランスが<br>正常化に近づく"]
    E --> F["離脱後の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nervousness'>神経過敏</span>状態が和らぎ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sobriety (alcohol abstinence)'>断酒</span>の維持を助ける"]
    C -.->|"是正の標的"| D

💡 は「を今すぐ消す」薬ではなく、「離脱後も残る神経系の過適応をゆっくり戻す」薬である。 そのため効果発現は緩徐で、できていない患者に投与しても急性の効果は期待しにくい——後にできるだけ早期に開始するという用法上の指定は、この機序と直接結びついている1。

薬物動態

項目 値・特徴
経口
絶対は約11%と低い1
食事の影響 食後投与でCmaxが約42%・が約23%低下するが、臨床的に有意ではなくは不要とされる1
半減期 は約20〜33時間1
排泄 が主(を受けない)
に応じて減量する1

適応

領域 使いどころ
精神科・依存症治療 における維持(達成後に開始)3

用法・用量

333 mg錠2錠(計666 mg)を1日3回、後できるだけ早期に開始する1。あらゆる飲酒への回帰を1人防ぐためのは12と報告されている2。

添付文書は明確な投与終了時期を規定しておらず、再飲酒した場合も治療を中断せず継続すべきとされている。では90〜360日間の投与期間が検討された1。

⚠️ 30〜50 mL/分の中等度では333 mgを1日3回に減量する1。

禁忌・注意

  • 禁忌:30 mL/分以下の重度1
  • ⚠️ が主であるため、腎機能に応じたを怠ると蓄積しうる
  • 1日3回・666 mg×3という服薬回数の多さが、長期のを保つうえでの弱点になる

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、、悪心、不安、抑うつ、めまい、口渇、不眠
注意 、掻痒、発汗

まとめ

  • は(NMDA受容体)の興奮過剰を鎮め、離脱後に残る神経の過適応を戻すことでの維持を助ける薬。
  • とは狙う神経系・開始タイミング(達成後)が異なり、頭対頭試験では優劣は示されていない。
  • ⚠️ のためでし、CrCl 30 mL/分以下は禁忌。を受けないため肝障害患者でも使いやすい。
  • 用量は666 mgを1日3回で、この服薬回数の多さがの弱点になる。
  • 副作用は下痢が代表的で、重篤な副作用は少ない。

出典

  1. 1.CAMPRAL (acamprosate calcium) delayed-release tablets — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2016)効能・効果が治療開始時に断酒できているアルコール依存症患者での断酒維持であること、標準用量が333mg錠2錠(計666mg)を1日3回で断酒後できるだけ早期に開始すること、クレアチニンクリアランス30mL/分以下の重度腎機能障害が禁忌であること、クレアチニンクリアランス30〜50mL/分の中等度腎機能障害では333mgを1日3回に減量すること、頻度3%以上でプラセボを上回る有害事象として下痢・鼓腸・悪心・不安・抑うつ・めまい・口渇・不眠・知覚異常・掻痒・発汗が報告されていること、中枢のグルタミン酸・GABA神経伝達系に作用し慢性アルコール曝露で崩れたバランスを是正するという機序が想定されていることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Pharmacotherapy for Adults With Alcohol Use Disorders in Outpatient Settings: A Systematic Review and Meta-analysis(JAMA・2014)アカンプロサートはあらゆる飲酒への回帰を1人防ぐためのNNTが12であったこと、経口ナルトレキソン(NNT20)との4件の頭対頭試験では消費アウトカムに有意差が示されなかったことを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Treatment of Alcohol Use Disorder(Johns Hopkins University(ニューヨーク州保健局HIV/AIDS臨床ガイドラインプログラム)・2023)経口アカンプロサートまたは経口/注射用の徐放性ナルトレキソンをアルコール使用障害治療の優先薬とすることを確認した。閲覧 2026-08-19