薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A18 Antipsychotics / 抗精神病薬 · 必修

ドロペリドール

droperidol

分類
Antipsychotics / 抗精神病薬Antiemetics / 制吐薬
商品名(日本)
ドロレプタン
科目
Pharmacology
トピック
A18: AntipsychoticsB24: Antiemetic drugs. Prokinetic agents

🧠 全体像と同じ骨格を持ちながら、精神科ではなく麻酔科・救急科の薬として使われるという珍しい立ち位置の薬である。の治療にはほぼ使われず、術後・化学療法後のの鎮静という短時間・単回投与の場面が主戦場になる。この薬を理解する鍵はQT延長という副作用が臨床使用そのものを大きく制限したという歴史にある。

薬効群の中での位置づけ

抗精神病薬としての分類では定型薬に位置づけられるが、実際の臨床的な立ち位置は・鎮静薬に近い。

世代・型 代表薬 特徴 主な適応
定型・高力価 など D2遮断のみ→EPSが強く出やすい 急性精神病
定型・ D2遮断()。に特化して使われる 術後/化学療法の、興奮

としては、など)・など)・D2拮抗薬()・H1/)という枠組みの中で、CTZ()のD2受容体を遮断する系統に位置づけられる。

は同じ骨格だが、使われる診療科がまったく違う。 は精神科・救急のD2遮断薬として、は麻酔科・・鎮静薬として住み分けている——同じ機序の薬が文脈によって別の顔を持つ好例。

機序

CTZおよび周辺のD2受容体を遮断し、悪心・嘔吐の中枢性な回路を鎮める。この機序は他のD2拮抗性など)と共通するが、遮断作用を併せ持つためQT延長のリスクが特に問題視される。

💡 歴史的にはと組み合わせた(Innovar)にも使われた。 D2遮断による鎮静・と、オピオイドによる鎮痛を組み合わせる麻酔法の構成薬として発展した経緯があり、今日の周術期としての立ち位置はその名残でもある。

薬物動態

項目 値・特徴
主にIV/IM(単回投与)
発現 静注後数分以内に鎮静・効果が出現
代謝
半減期 約2時間(はそれより短い)

適応

領域 使いどころ
麻酔・周術期 術後の悪心・嘔吐(PONV)の予防・治療
腫瘍・緩和 の補助
救急 の鎮静(他の鎮静薬が使いにくい場面での選択肢)

用法・用量

PONV予防・治療では低用量のIV単回投与が中心で、投与前に・電解質を確認する。の鎮静ではIM投与を用いることがある。実際の用量は適応・年齢・体重・心血管リスクで変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ QT延長・:添付文書上のがあり、投与前の確認と投与後のECGモニタリングが基本になる。電解質異常(低K・低Mg)、他のQT延長薬併用、QT延長の既往では特に注意する
  • ⚠️ 鎮静・呼吸抑制:他の鎮静薬・アルコールとの併用で増強される
  • 転倒による意識・への影響を評価する

副作用

頻度 内容
高頻度 傾眠・鎮静
注意 低血圧めまい、軽度のEPS
重篤・まれ QT延長、

まとめ

  • と同じ骨格を持つが、精神科ではなく麻酔科・救急科の・鎮静薬として使われる。
  • CTZのD2により術後・化学療法後のを抑える、D2拮抗性の一員でもある。
  • によるQT延長・のリスクがとして使用を制限している。
  • 投与前の確認と投与後のECGモニタリングが臨床使用の前提になる。
  • 単回IV/IM投与で作用発現が速く、も比較的短い。
  • 歴史的にはとのの構成薬として発展した経緯を持つ。