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簡易精神症状評価尺度

Brief Psychiatric Rating Scale

別名
BPRS
臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-09:統合失調症の急性期・長期治療とリハビリテーション
構成:症状
不安幻覚様行動不自然な思考内容

🧠 全体像:BPRS(簡易精神症状評価尺度)は、1962年にOverallとGorhamが薬物治療の効果を測定する目的で開発した、18項目からなる精神症状の総合評価尺度である1。不安・といったから、・といったまで幅広い領域を1つの尺度に収め、各項目を7段階で採点する。の薬物治療試験で最も古くから、かつ現在も広く使われている評価尺度の1つであり、後発のPANSS(陽性・評価尺度、30項目版)の土台の一部にもなった。

目的と適用場面

内容
目的 をはじめとするの症状を、複数領域にわたって総合的に定量化する
対象 ・などを有する患者。の評価項目も含むためにも一部応用される
使う場面 の評価(治療反応性の判定)、の操作的基準における「標準化された評価尺度」の一例、症状のの追跡
評価しないもの ・機能(GAF・SOFASが担う)、などの薬剤性副作用(DIEPSSなどが担う)

💡 面接に基づく評価尺度である。 のように機械的に算出されるものではなく、訓練された評価者が患者との面接・観察に基づいて各項目を採点する、GAFやDIEPSSと同じ系統の臨床評価尺度である。

構成要素と配点

18項目を、それぞれ1(症状なし)〜7(きわめて重度)の7段階で採点する(合計点の範囲は18〜126点)。

領域 含まれる項目
気分・不安症状 身体的訴え、不安、、、緊張
陰性・思考解体症状 情動的引きこもり、概念の統合不全(まとまりのなさ)、平板化した感情、非協力的態度
様行動、不自然な思考内容、猜疑心、
興奮・ 衒奇的な動作・姿勢、敵意、興奮、、

💡 元は16項目だったが、後に興奮・の2項目が加わり現行の18項目版になった1。

解釈とカットオフ

用途 目安
臨床的に意味のある変化の目安 急性期の患者5970例を対象にした検討で、BPRS総得点の約10点のな低下が、CGI改善度の「わずかに改善」およびCGI重症度の1段階の改善に相当した2
ベースライン重症度の影響 上記の対応関係はベースラインの重症度に左右され、症状が軽い患者ほど同じCGI改善度を得るのに必要なBPRS低下幅が小さい。絶対点数ではなく変化率で見るとこの影響は小さくなる2
の操作的基準 TRRIPワーキンググループの最低基準では、「標準化された評価尺度で中等度以上の症状が12週間以上持続」の評価方法として、PANSS・BPRS・SANS(評価尺度)・SAPS(評価尺度)による面接が例示されている3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 点数の解釈は文脈依存である。 同じ10点の低下でも、ベースラインの重症度によって臨床的な意味(CGI改善度に換算した重み)が変わる。単一のを機械的に当てはめない2。

⚠️ 評価者間のばらつきを避けるには訓練された評価者によるが必要であり、訓練を欠くとが低下する。GAF・DIEPSSと同様、評価者の熟練度に結果が左右される点は共通の弱点である。

⚠️ PANSSとは項目構成もも異なる。 PANSSはBPRSの一部項目とPRS(Psychotic Reaction Profile)由来の項目を組み合わせ、陽性・を均等に測定する目的で新たに構築された30項目版であり、単純にBPRSの互換ではない1。でどちらの尺度が使われているかを確認せずに数値だけを比較しない。

⚠️ に関する項目をほとんど含まないため、の評価には使えない。

まとめ

  • BPRSは1962年にOverallとGorhamが開発した18項目・各1〜7点(合計18〜126点)の精神症状総合評価尺度で、からまで幅広い領域を1つの尺度でカバーする。
  • 臨床的に意味のある変化の目安は総得点で約10点の低下(CGI改善度「わずかに改善」に相当)だが、ベースライン重症度によって対応関係が変わる。
  • TRRIPワーキンググループのの基準で、「標準化された評価尺度」の例としてPANSS・BPRS・SANS・SAPSが挙げられている。
  • PANSSはBPRSの一部項目を土台にしつつPRS由来の項目を加えて新たに構築された尺度であり、単純な拡張版ではない。
  • 評価者の訓練度に結果が左右される点、をほとんど評価しない点が限界となる。

出典

  1. 1.A Developmental History of the Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS)(Innovations in Clinical Neuroscience・2017)BPRSが1960年代初頭にOverallとGorhamにより、薬物治療の効果を測定するための道具として開発されたこと、1980年代にKay・Fiszbein・Oplerが陽性・陰性症状の均衡した測定を目的にPANSS(30項目)を構築した際、陽性尺度がBPRS由来6項目+PRS(Psychotic Reaction Profile)由来1項目、陰性尺度がBPRS由来2項目+PRS由来5項目という構成でBPRSの項目を土台の一部に用いたことを、本文で確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Linking the PANSS, BPRS, and CGI: clinical implications(Neuropsychopharmacology・2006)統合失調症の急性期患者5970例(14の薬物治療試験)を対象にBPRS/PANSSとCGI評価をequipercentile linkingした結果、BPRS総得点で約10点(PANSSで約15点)の絶対的な低下がCGI改善度の「わずかに改善」およびCGI重症度の1段階の変化に相当したこと、この対応関係がベースラインの重症度によって変わり、重症度が低い患者ほど同じCGI改善度を得るのに必要なBPRS/PANSS低下幅が小さいことを抄録で確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Treatment-Resistant Schizophrenia: Treatment Response and Resistance in Psychosis (TRRIP) Working Group Consensus Guidelines on Diagnosis and Terminology(The American Journal of Psychiatry・2017)TRRIPコンセンサス基準の表2(最低基準)の「現在の症状」の行が、評価方法として標準化された評価尺度による面接(例:PANSS・BPRS・SANS・SAPS)を挙げていることを、PMC版全文(PMC6231547)の表2で確認した閲覧 2026-09-05