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陽性・陰性症状評価尺度

Positive and Negative Syndrome Scale

別名
PANSS
臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-09:統合失調症の急性期・長期治療とリハビリテーション

🧠 全体像:PANSS(陽性・評価尺度)は、の症状を・・全般的なという3つの軸に分けて定量化する、30項目・各1〜7点の面接評価尺度である1。BPRS(18項目)の主要項目を土台にしつつ、PRS(Psychotic Reaction Profile)由来の項目を加えて陽性・を均衡して測定する目的で新たに構築された2。ので評価の標準として最も広く使われている尺度である。

目的と適用場面

内容
目的 の(・など)・(・引きこもりなど)・全般的なを、で定量化する
対象 ・などを有する患者
使う場面 の評価、治療反応性・寛解の判定、の操作的基準における標準化された評価尺度の一例
評価しないもの ・機能(GAF・SOFASが担う)、などの薬剤性副作用(DIEPSSなどが担う)

💡 面接に基づく評価尺度であり、訓練された評価者が患者との面接・観察・付随情報(家族からの聴取や病棟記録を含む)に基づいて各項目を採点する。

構成要素と配点

各項目を1(症状なし)〜7(きわめて重度)の7段階(無症状・最小限・軽度・中等度・中等度〜重度・重度・きわめて重度)で採点する1。合計点の範囲は30〜210点。

尺度 項目数 含まれる項目
陽性尺度 7項目 P1、P2解体した会話(概念の統合不全)、P3による行動、P4興奮、P5、P6猜疑心・被害念慮、P7敵意
陰性尺度 7項目 N1、N2情動的引きこもり、N3疎の乏しさ、N4受動性・による引きこもり、N5抽象的思考の困難、N6会話のとさの欠如、N7思考
総合尺度 16項目 G1身体的訴え、G2不安、G3、G4緊張、G5衒奇的な動作と姿勢、G6抑うつ、G7運動減退、G8非協力的態度、G9普通でない思考内容、G10、G11注意の障害、G12判断力との欠如、G13意志の障害、G14衝動コントロールの低下、G15没頭、G16積極的な回避

⭐ 陽性7項目+陰性7項目+総合16項目=30項目という構成そのものが出題されやすい。BPRSの18項目との対応(BPRS由来項目が陽性尺度6項目・陰性尺度2項目の土台になったこと)も合わせて覚えておく2。

解釈とカットオフ

用途 目安
臨床的に意味のある変化の目安 急性期患者を対象にした検討で、PANSS総得点の約15点のな低下が、CGI改善度の「わずかに改善」に相当した3
ベースライン重症度の影響 上記の対応関係はベースラインの重症度に左右され、症状が軽い患者ほど同じCGI改善度を得るのに必要なPANSS低下幅が小さい3
症状寛解の操作的基準 Andreasenらのコンセンサス基準では、P1・P2・P3・G9・G5・N1・N4・N6の8項目すべてが3点(軽度)以下であることを、6か月以上の持続を条件に含めて提案している4

💡 寛解基準の8項目は、(P1・P2・P3・G9)・解体(G5)・(N1・N4・N6)の3つの中核領域から選ばれている。単に「合計点が低ければ寛解」ではなく、症状領域を横断してすべて軽度以下であることを求める点が要点である。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 寛解基準は症状の軽さだけを見る。 Andreasenらの基準は症状の重症度の閾値であって、機能的な回復(就労・の回復)を保証しない。機能面の評価には別の尺度(GAF・SOFASなど)を組み合わせる。

⚠️ 訓練された評価者によるが前提である。 BPRSと同様、評価者の熟練度・に結果が左右される。単発の点数だけでを機械的に決めない。

⚠️ 点数の解釈は文脈依存である。 同じ点数低下でも、ベースラインの重症度によって臨床的な意味(CGI改善度に換算した重み)が変わる3。

⚠️ BPRSの単純な互換ではない。 項目構成・が異なる独立した尺度であり、でどちらが使われているかを確認せずに数値だけを比較しない2。

まとめ

  • PANSSは陽性尺度7項目・陰性尺度7項目・総合尺度16項目の計30項目、各1〜7点(合計30〜210点)での症状を評価する尺度である。
  • BPRSの項目を土台にしつつPRS由来の項目を加えて構築された、独立した尺度である。
  • 臨床的に意味のある変化の目安は総得点で約15点の低下(CGI改善度「わずかに改善」に相当)だが、ベースライン重症度によって対応関係が変わる。
  • 症状寛解の操作的基準は、陽性・解体・陰性の3領域から選ばれた8項目すべてが3点以下であることを6か月以上維持することである。
  • 機能的回復は保証せず、評価者の訓練度に結果が左右される点が限界となる。

出典

  1. 1.The Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS) for Schizophrenia(Schizophrenia Bulletin・1987)PANSSが陽性尺度7項目・陰性尺度7項目・総合精神病理尺度16項目の計30項目からなり、各項目を1(症状なし)から7(きわめて重度)の7段階(無症状・最小限・軽度・中等度・中等度〜重度・重度・きわめて重度)で採点する構造化面接に基づく評価尺度であること、BPRSの主要項目とPRS(Psychotic Reaction Profile)由来の陰性症状項目を組み合わせて開発されたことを本文で確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.A Developmental History of the Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS)(Innovations in Clinical Neuroscience・2017)1980年代にKay・Fiszbein・OplerがBPRS由来の項目とPRS由来の陰性症状項目を組み合わせてPANSS(30項目)を構築したこと、陽性・陰性症状を均衡して測定する目的で新たに設計された尺度であり単純なBPRSの拡張版ではないことを、本文で確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Linking the PANSS, BPRS, and CGI: clinical implications(Neuropsychopharmacology・2006)統合失調症の急性期患者5970例(14の薬物治療試験)を対象にPANSS/BPRSとCGI評価をequipercentile linkingした結果、PANSS総得点で約15点の絶対的な低下がCGI改善度の「わずかに改善」に相当したこと、この対応関係がベースラインの重症度によって変わることを抄録で確認した閲覧 2026-09-05
  4. 4.Remission in Schizophrenia: Proposed Criteria and Rationale for Consensus(American Journal of Psychiatry・2005)統合失調症の症状寛解基準として、PANSSの8項目(P1妄想・P2解体した会話・P3幻覚による行動・G9普通でない思考内容・G5衒奇的な動作と姿勢・N1情動の平板化・N4自発性の低下した社会的引きこもり・N6会話の自発性と流暢さの欠如)がいずれも3点(軽度)以下であることを、6か月以上持続することを条件に含めて提案したことを確認した閲覧 2026-09-05