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薬原性錐体外路症状評価尺度

Drug-Induced Extrapyramidal Symptoms Scale

別名
DIEPSS
臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-09:統合失調症の急性期・長期治療とリハビリテーション
構成:症状
薬剤性パーキンソン症候群流涎過多アカシジア急性ジストニアジスキネジア

🧠 全体像:DIEPSSは、抗精神病薬などが引き起こす(EPS)を、・・・という複数の領域を1つの尺度でまとめて評価するために日本で開発された評価尺度である。欧米では領域ごとに別々の尺度(AIMS・Simpson-Angus Scale・Barnes評価尺度)を使い分けるのに対し、DIEPSSは8項目+全体重症度という1つの検査で済ませる点が最大の特徴であり、日本の・添付文書の多くがこの尺度を前提に設計されている。

目的と適用場面

内容
目的 抗精神病薬による(・・・)の重症度を、単一の検査手技で領域横断的に定量化する
対象 抗精神病薬など、を服用中の患者
使う場面 抗精神病薬の開始・増量前後の評価、でのEPS評価、導入基準(性不良の判定)などの操作的基準
評価しないもの EPS以外の副作用(代謝系・など)、症状のな訴えのみに基づく評価(診察所見に基づいて採点する)

💡 開発された時代背景。 DIEPSSは(SGA)の普及期に開発された尺度で、SGAで頻度が下がったとはいえゼロにはならないEPSを、簡便な1回の診察で見落とさず拾い上げることを意図している1。

構成要素と配点

8つの個別項目と1つの全体重症度項目からなり、各項目とも0(なし)〜4(重度)の5段階で採点する。

項目 評価する領域
1. 歩行 に伴う(すり足・・の減少など)
2. に伴う動作の遅さ・表情の乏しさ
3.
4. に伴う(・)
5. 振戦 に伴う振戦(多くは)
6. (・内的)
7. (持続的な筋収縮による)
8. (不随意で反復性の運動)
全体重症度 上記8項目の重症度・頻度、苦痛、日常生活への影響を総合した臨床医の全体評価

💡 項目1・2・4・5(歩行・・・振戦)はいずれもを構成する所見を分解したもので、単独の点数よりも複数項目の組み合わせでの有無を判定する運用が一般的である。

解釈とカットオフ

用途 目安
因子構造・ 182例での検討で4因子(領域)が同定され、各領域に最適な得点が求められている1
日本の導入基準(性不良、5.1.2) ・等の遅発性はDIEPSS 3点以上、パーキンソン症状は「歩行・・・振戦」4項目のうち3点以上が1項目、または2点以上が2項目以上、は3点以上、は常用量上限の投与を含む治療でもDIEPSS「」評点3点に相当するが頻発し患者自身の苦痛が大きいことで該当と操作的に定義される2

⚠️ 導入基準の数値は電子添文の文言そのものであり、DIEPSSの開発論文が定めた標準とは別物である。 電子添文の基準を他剤・他の臨床判断へそのまま流用しない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 日本で開発され主に日本の・添付文書で使われてきた尺度であり、欧米のの多くはSimpson-Angus Scale・Barnes評価尺度・という領域別の尺度を組み合わせて使う3。海外文献のEPS評価値をDIEPSSの点数と直接比較しない。

⚠️ 8項目を1つの尺度でカバーする設計は簡便さと引き換えに、個々の領域(たとえばだけ)を精密に追跡する用途では、その領域に特化した尺度(AIMSなど)よりも感度が劣りうる。の専門的な経過観察にはを使う。

⚠️ 診察所見に基づく評価であり、評価者間のばらつきを完全には排除できない。単発の点数だけで薬剤の中止・変更を決めず、な変化とを合わせて判断する。

まとめ

  • DIEPSSは抗精神病薬による・・・を、8項目+全体重症度(各0〜4点)で領域横断的に評価する、日本で開発された尺度である。
  • 項目1・2・4・5(歩行・・・振戦)はを分解した項目で、組み合わせて判定するのが一般的。
  • 日本の導入基準(性不良)では、DIEPSSの項目別点数(遅発性EPS・は3点以上、は3点相当が頻発、パーキンソン症状は複数項目の組み合わせ)が操作的に用いられている。
  • 欧米のは領域別の尺度(Simpson-Angus・Barnes・)を組み合わせるのが一般的で、DIEPSSの数値と直接比較しない。
  • 個々の領域を精密に追跡する用途(など)では、その領域に特化した尺度のほうが適することがある。

出典

  1. 1.Metric characteristics of the drug-induced extrapyramidal symptoms scale (DIEPSS): A practical combined rating scale for drug-induced movement disorders(Movement Disorders・2002)抗精神病薬治療中の182例を対象にDIEPSSの計量心理学的特性を検討し、評価者間信頼性・再検査信頼性・他のEPS評価尺度との併存的妥当性がいずれも高かったこと、因子分析で4因子が同定され、最適なカットオフ得点が求められたことから、DIEPSSが信頼性・妥当性のある多次元評価尺度であると結論づけたことを抄録で確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.クロザリル錠25mg/クロザリル錠100mg 電子添文(ノバルティスファーマ/医薬品医療機器総合機構・2024)日本のクロザピン(クロザリル)の効能又は効果に係る耐容性不良の基準(5.1.2)で、DIEPSSの評点によって①遅発性ジスキネジア・遅発性ジストニア等の遅発性錐体外路症状(3点以上)、②パーキンソン症状(歩行・動作緩慢・筋強剛・振戦の4項目のうち3点以上が1項目または2点以上が2項目以上)・アカシジアが3点以上、③急性ジストニアは常用量上限の抗パーキンソン薬投与を含む治療にもかかわらずDIEPSSの「ジストニア」評点が3点に相当する急性ジストニアが頻発し患者自身の苦痛が大きいこと、が操作的に定義されていることを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Extrapyramidal symptom profiles assessed with the Drug-Induced Extrapyramidal Symptom Scale: comparison with Western scales in the clinical double-blind studies of schizophrenic patients treated with either olanzapine or haloperidol(International Clinical Psychopharmacology・2003)欧米の臨床試験ではSimpson-Angus Scale・Barnesアカシジア評価尺度・AIMSという領域別の尺度が使われてきたのに対し、日本ではDIEPSS(薬原性錐体外路症状評価尺度)が単一の尺度として用いられてきたこと、著者のInadaがDIEPSSを用いて日本人統合失調症患者のオランザピン・ハロペリドール投与時の錐体外路症状プロファイルを検討したことを確認した閲覧 2026-09-05