薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A16 Anxiolytics & sedatives / 抗不安薬・鎮静薬

ロラゼパム

lorazepam

分類
Anxiolytics & sedatives / 抗不安薬・鎮静薬
商品名(日本)
ワイパックス
商品名(EU)
Loranxil
科目
Pharmacology
トピック
A16: Benzodiazepines
禁忌疾患
重症筋無力症閉塞性睡眠時無呼吸
副作用
傾眠めまい
解毒薬
フルマゼニル
対象疾患
アルコール使用障害セロトニン症候群悪性症候群緊張病抗コリン薬中毒

🧠 全体像BZDに分類されるが、実力は「中間」という言葉のイメージより上である。肝臓での代謝がだけで完結し(CYPを経ない)、も持たないため、肝障害・高齢者でも蓄積の心配が少ない。このの広さと、脂溶性が低く脳からのが遅いために臨床的な抗けいれん効果が長く続くという性質が組み合わさり、の治療では半減期がより長いより好んで使われるになっている。

薬効群の中での位置づけ

分類( 代表薬 主な使いどころ
ほか あり(蓄積しやすい) 不安・重積・離脱・など適応が広い
はなし(LOT) 不安、重積、鎮静、離脱
実質問題にならない
拮抗薬 BZD過量の解毒

同じでも、が「高力価・」で選ばれるのに対し、は「代謝の単純さ・の広さ」で選ばれる。 は頭文字を取ってLOTと呼ばれ、のみで代謝されるため肝障害があってもほぼそのまま代謝できる。では、脂溶性が高く脳から急速にするより、が遅く抗けいれん効果が長く続くが第一選択に位置づけられることが多い。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lorazepam'>ロラゼパム</span>がGABA-A受容体のBZD結合部位に結合"] --> B["Cl⁻チャネルの開口【頻度】を増強"]
    B --> C["Cl⁻流入↑→神経細胞の過分極"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central nervous system depression'>中枢神経抑制</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anxiolysis'>抗不安</span>・鎮静・抗けいれん)"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diazepam'>ジアゼパム</span>より脂溶性が低い"] --> F["脳からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redistribution'>再分布</span>が遅い"]
    F --> G["血中濃度は速く下がっても<br>脳内の抗けいれん効果は長く持続"]
    H["肝臓で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucuronidation'>グルクロン酸抱合</span>のみで代謝<br>(CYPを経ない)"] --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>なし・肝障害でも代謝が保たれる"]

💡 「半減期が短い薬の方が効果も短い」とは限らない好例。 (約12時間)は(20〜100時間)より短いが、脂溶性が低く脳からのが遅いため、静注後の実際の抗けいれん効果はより長く持続する。が選ばれる的な理由はここにある。

薬物動態

項目 値・特徴
約90%(IM吸収も確実で、のような不安定な吸収がない)
分布 中間程度の脂溶性。より脳からのが遅い
代謝 肝臓でののみ(CYPを経ない)
排泄 抱合体として
半減期 約10〜20時間()。なし

適応

不安の緩和、の一つ)、処置前の鎮静、予防(特に肝障害・高齢者で代謝が単純なが好まれる)。

用法・用量

:IV 0.1 mg/kg程度(、最大4 mg/回が目安、必要なら1回反復)。不安:PO 0.5〜2 mgを1日2〜3回。IMも確実に吸収されるためが取りにくい場面で選択肢になる。のプロトコルに従う。実際の用量は適応・年齢・体重・肝腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌重症筋無力症、重度呼吸不全、
  • 相互作用:オピオイド・アルコールなど併用で呼吸抑制がに増強する
  • ⚠️ 突然の中止は危険。 長期使用後の急な中断は(不安・振戦・けいれん)を招くためする
  • を持たずのみで代謝されるため、肝障害例で他のBZDより選ばれやすい(ただし完全なではなく、重度肝障害では減量を要する場合がある)

副作用

頻度 内容
高頻度 傾眠めまい
注意 、脱力感、依存
重篤・まれ 呼吸抑制(他の併用時に特に危険)、(急な中止時)

まとめ

  • BZD。のみで代謝されを持たない(LOT:)ため、肝障害・高齢者でも蓄積しにくい。
  • 脂溶性が低く脳からのが遅いため、半減期はより短くても臨床的な抗けいれん効果は長く持続する。
  • この性質から、の治療でより第一選択に位置づけられることが多い。
  • IM吸収が確実なため、が取りにくい場面でも使える。
  • の離脱治療でも、肝障害例・高齢者ではが好んで選ばれる。
  • 拮抗薬は。突然の中止はのリスクがあるためする。