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Drug Atlas · A16 Anxiolytics & sedatives / 抗不安薬・鎮静薬 · 必修

ミダゾラム

midazolam

分類
Anxiolytics & sedatives / 抗不安薬・鎮静薬General anesthetics / 全身麻酔薬Antiepileptics / 抗てんかん薬
商品名(日本)
ドルミカム
商品名(EU)
Dormicum
科目
Pharmacology
トピック
A15: Intravenous anesthetics. Perioperative medicationA21: Antiepileptics. Adjuvant analgesicsA16: Benzodiazepines
副作用
低血圧傾眠
相互作用
クラリスロマイシンニルマトレルビル
解毒薬
フルマゼニル
対象疾患
てんかん熱性けいれん

🧠 全体像はBZDの中で唯一の短時間作用型で、その速さの正体は分子構造にある。がpHに応じて開環・閉環するため、酸性の注射液中では水溶性、生理的pHに触れると脂溶性へ切り替わり血液脳関門を速やかに通過する。この化学的な仕掛けが「が少ない水溶性製剤」と「速い中枢移行」を両立させ、のIM/経鼻投与という用途の広さを支えている。

薬効群の中での位置づけ

BZDの中ではで分類したときに唯一のに位置する。

分類( 代表薬 特徴 主な使いどころ
ほか あり・蓄積しやすい 不安・重積・離脱など適応が広い
なし 不安、状況により重積
pH依存性の脂溶性転換・CYP3A4で速やかに代謝 ・重積(IM/経鼻)
拮抗薬 BZD過量の解毒

はBZDであると同時に、(GABA-A増強系)の一角も占める。と並ぶが、健忘作用の強さと拮抗薬()が存在する点が他のにはない特徴で、そのものよりで選ばれることが多い。

プレホスピタルのでは、IMによるがIVに劣らないことを(2012年)が示した。 が取れない現場ではIMが重積治療の第一選択級という位置づけが確立している。

機序

flowchart TD
    A["酸性の注射液中:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='imidazole ring'>イミダゾール環</span>が開環し水溶性"] --> B["静注後、生理的pHに触れて環が閉じ脂溶性へ転換"]
    B --> C["血液脳関門を速やかに通過"]
    C --> D["GABA-A受容体のBZD結合部位に結合"]
    D --> E["Cl⁻チャネルの開口【頻度】を増強→過分極"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central nervous system depression'>中枢神経抑制</span>(鎮静・健忘・抗けいれん)"]
    G["肝臓のCYP3A4で速やかに代謝"] --> H["半減期1.5〜2.5時間<br>(BZDの中で最短)"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>1-ヒドロキシ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midazolam'>ミダゾラム</span><br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucuronidation'>グルクロン酸抱合</span>を経て通常は速やかに消失"]
    I --> J["腎不全では抱合体が蓄積し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='repeated/continuous dosing'>持続投与</span>時に鎮静が遷延"]

💡 pH依存性の水溶性という工夫は、が抱える弱点への回答でもある。 の注射液は脂溶性を保つためを溶媒に使い、これが注射時の血管痛・の原因になる。は構造そのものを水溶性にできるためこの問題が少なく、への投与に向く。

薬物動態

項目 値・特徴
約40〜50%(が大きい)。はもっぱら小児の麻酔シロップに用いる
分布 生理的pHで脂溶性に転じ血液脳関門を速やかに通過。IM・経鼻・からも吸収が良好
代謝 肝臓のCYP3A4で速やかに代謝。CYP3A4阻害薬・との相互作用を強く受ける
排泄 1-ヒドロキシ体として
半減期 1.5〜2.5時間とBZDの中で最短。腎不全では抱合体が蓄積し時の鎮静が遷延しうる

適応

領域 使いどころ
神経 てんかん重積状態(がない場合はIM//経鼻が第一選択級)
麻酔・周術期 、全身麻酔の導入・維持。ICU人工呼吸中の鎮静にも使われるが、近年はせん妄リスクの観点からなど非BZD鎮静が優先される場面が増えている
処置 内視鏡・小手術などの(強い健忘作用を活用)
小児科 /経鼻投与、麻酔のシロップ製剤

用法・用量

:IV 1〜2 mgをしながら投与する。:IV 0.1〜0.3 mg/kg。が確保できなければIM 10 mg程度(体重で調整)、または・経鼻投与。小児の麻酔:経口シロップ0.5 mg/kg程度。実際の用量は適応・年齢・体重・肝腎機能・で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:重度呼吸不全、
  • 相互作用:CYP3A4で速やかに代謝されるため、など強いCYP3A4阻害薬との併用で血中濃度が著明に上昇し鎮静・呼吸抑制が遷延する。オピオイド・アルコールなど他のとの併用でも呼吸抑制がに増強する
  • ⚠️ へのは血管痛・の原因になる。 できるだけ太い静脈へ、緩徐に(少なくとも1分以上かけて)投与する
  • 腎機能低下例の抱合体が蓄積し、時に鎮静からの覚醒が遅れる

副作用

頻度 内容
高頻度 傾眠
注意 低血圧(特に時・例)、注射部位の血管痛
重篤・まれ 呼吸抑制・無呼吸(他の併用時や急速静注時に特に危険)、(興奮・

まとめ

  • BZDの中で唯一の短時間作用型。がpHに応じて開環・閉環し、水溶性の注射液から脂溶性の中枢移行へ切り替わる特異な構造を持つ。
  • CYP3A4で速やかに代謝され半減期1.5〜2.5時間と短いが、腎不全ではの抱合体が蓄積し鎮静が遷延しうる。
  • (特にIM/経鼻投与)と用途が広い。
  • プレホスピタルの重積治療ではによりIMがIVに劣らないことが示され、がない場面での第一選択級となった。
  • など強いCYP3A4阻害薬との併用で作用が著明に増強される。
  • ICU持続鎮静では、せん妄リスクの観点から非BZD鎮静薬が優先されつつある。
  • 拮抗薬は