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Drug Atlas · A1 Other / その他 · 必修

バルベナジン

valbenazine

分類
Other / その他
商品名(EU)
Ingrezza
科目
Pharmacology
トピック
A22: Drugs of neurodegenerative diseases (extrapyramidal motoric system, nootropic drugs)A1: Cholinergic and adrenergic transmission and its presynaptic modification
承認適応
ハンチントン病
禁忌疾患
気分障害(うつ病・双極性障害)
副作用
傾眠アカシジア不眠発疹
相互作用
ケトコナゾールテトラベナジンパロキセチン
対象疾患
遅発性ジスキネジア

🧠 全体像である[+]-α-([+]-α-HTBZ)のであり(そのもののエステルではない点に注意)、VMAT2阻害というは同じだが、の治療薬として世界で初めてFDA承認されたという独自の出自を持つ(2017年)。への適応はその6年後、2023年に追加されたものであり、が「から出発してTDにも広がった」薬であるのに対し、逆方向のをたどった点が試験でも狙われやすい。

薬効群の中での位置づけ

分類 代表薬 特徴
VMAT2阻害(母化合物) 小胞内の貯蔵を枯渇 スコアの改善幅は3剤中最大だが有害事象発現率も最も高い1
VMAT2阻害(素化体) 同上 1日1〜2回投与。全体的なに優れる傾向1
VMAT2阻害( 同上 1日1回投与で足り、重篤有害事象・脱落率の面で相対的に優れる。が「本来の」適応で、は後発の適応1

が先か、TDが先か」という適応取得の順序の違いが3剤の中でだけ逆になっている点を押さえる。 治療薬として開発され、には後から適応が広がった(あるいはにとどまる)のに対し、治療薬として先に承認されには2023年になってから適応が追加された唯一の1剤である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valbenazine'>バルベナジン</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)を経口摂取"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valine'>バリン</span>エステルの加水分解により<br>活性体(+)-α-HTBZに変換"]
    B --> C["(+)-α-HTBZがVMAT2を阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic vesicle'>シナプス小胞</span>内への<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoamine'>モノアミン</span>取り込みを阻止"]
    D --> E["ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリンが枯渇"]
    E --> F["ドパミン枯渇→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chorea'>舞踏運動</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tardive dyskinesia'>遅発性ジスキネジア</span>が抑制される"]
    E --> G["セロトニン・ノルアドレナリンも枯渇→抑うつ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='suicidal ideation'>自殺念慮</span>のリスク"]

💡 」という設計そのものが吸収・代謝の性を上げている。 自体は不活性に近く、エステルの加水分解を経て初めて活性体[+]-α-HTBZ(とも共通する分子種)になる。この一段階の変換ステップが血中濃度のを滑らかにし、1日1回投与を可能にしている面がある。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 エステルの加水分解で[+]-α-HTBZに変換され、主にCYP3A4/5、一部CYP2D6でさらに代謝される2
半減期 ・[+]-α-HTBZともに約15〜22時間2
CYP3A4/CYP2D6の影響 強いCYP3A4阻害薬・強いCYP2D6阻害薬・CYP2D6 poor metabolizerのいずれでも1日40mgに減量。強いCYP3A4との併用は推奨されない2

適応

承認年 適応
2017年 (世界初のFDA承認薬)
2023年 に伴う2

用法・用量

:1日40mgから開始し、1週間後に1日80mgへ増量する。に応じて1日40〜60mgにとどめることもある。:1日40mgから開始し、2週間ごとに1日20mgずつ増量して1日80mgを目標にする2。強いCYP3A4阻害薬・強いCYP2D6阻害薬併用時、およびCYP2D6 poor metabolizerでは1日40mgを上限とする。実際の用量・増量ペースは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌または製剤成分への既知の過敏症2
  • ⚠️ 患者における抑うつ・の見出しは「患者における抑うつと・自殺行動」で、集団に限定された1本である(2023年の適応の追加に伴って新設されたもので、2017年の単独適応の時点ではは無かった)。抑うつ・の出現/増悪を綿密に監視し、抑うつ・の既往がある患者では特に慎重に扱う2
  • MAO阻害薬・などVMAT2阻害・枯渇作用を持つ薬剤との併用は避ける
  • QT延長を起こす薬剤との併用に注意

副作用

頻度 内容(
傾眠 10.9% vs 4.2%(TD)/18.8% vs 3.2%(HD、傾眠・・鎮静を含む)2
2.7% vs 0.5%(TD)2
発疹・蕁麻疹 試験で発疹7.8%(0%)、蕁麻疹9.4%(0%)と目立って高頻度2
不眠 6.3% vs 1.6%(HD)2

⚠️ 集団では発疹・蕁麻疹の頻度が集団より際立って高い。 同じ薬でも適応症(=基礎疾患を持つ患者集団)によって副作用プロファイルの表情が変わりうる点は、とも共通する注意点である。

まとめ

  • [+]-α-HTBZので、加水分解を経て[+]-α-HTBZに変換されVMAT2を阻害する。が複数の異性体を含む代謝物を生むのに対し、は最初から[+]-α-HTBZ 1種類だけを供給する設計になっている。
  • 治療薬として世界初のFDA承認(2017年)を得た薬であり、への適応(2023年)はむしろ後発——とはの順序が逆。
  • 1日1回投与で足り、3剤中で重篤有害事象・脱落率の面では相対的に優れるとされる。
  • 強いCYP3A4阻害薬・強いCYP2D6阻害薬併用時、CYP2D6 poor metabolizerでは1日40mgに減量。
  • 患者における抑うつ・の1本で、と同じ見出しのものがクラス共通に置かれる(いずれも集団に限定され、の適応には及ばない)。禁忌はでは過敏症のみで、のような・MAO阻害薬併用の禁忌は持たない。
  • 集団では発疹・蕁麻疹の頻度が目立って高い。

出典

  1. 1.INGREZZA (valbenazine) and INGREZZA SPRINKLE capsules, for oral use — full prescribing information(米国FDA / DailyMed(Neurocrine Biosciences)・2023)バルベナジンが遅発性ジスキネジア(2017年FDA承認)とハンチントン病の舞踏運動(2023年FDA承認)の両方に適応を持つVMAT2阻害薬であり、遅発性ジスキネジアでは40mg/日から1週間後に80mg/日へ、ハンチントン病では40mg/日から2週ごとに20mgずつ80mg/日へ漸増すること、強いCYP2D6・CYP3A4阻害薬併用時は40mg/日に制限すること、抑うつ・自殺念慮の枠組み警告があることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Efficacy and safety of vesicular monoamine transporter 2 inhibitors for Huntington's disease chorea based on network meta-analysis(Frontiers in Pharmacology・2025)テトラベナジン・デューテトラベナジン・バルベナジンの3剤のうち、バルベナジンは1日1回投与で重篤有害事象・脱落率の面で相対的に優れるという位置づけを確認した閲覧 2026-08-10