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Drug Atlas · A18 Antipsychotics / 抗精神病薬

イロペリドン

iloperidone

分類
Antipsychotics / 抗精神病薬
科目
Pharmacology
トピック
A18: Antipsychotics
禁忌疾患
先天性QT延長症候群
副作用
起立性低血圧傾眠
対象疾患
統合失調症

🧠 全体像:イロペリドンはと並ぶQT延長リスクの高いだが、決定的に違うのは上の運命である。米国では2009年に承認され現在もされている一方、では2013年・2017年・2026年と3度にわたり承認申請が拒否・撤回され、現在も全域で未承認という、同じ薬でも地域によって評価が正反対に定まった珍しい例になっている。

薬効群の中での位置づけ

世代・型 代表薬 特徴 上の位置づけ
非定型(第2世代) ・・ D2+5-HT2A遮断→EPSは少ないが 米国・・日本で承認
非定型(QT延長リスク大) ・イロペリドン ・体重増加は少ないがQT延長が目立つ は各国で承認。イロペリドンは米国のみ(は3度拒否)1
(第3世代) ・ ドパミン系を「安定化」、代謝副作用少 各国で承認

⭐ 同じ「QT延長が目立つ非定型薬」でも、とイロペリドンで上の扱いが分かれる。 のCHMPは2026年、イロペリドンの「顕著なQT延長」がに見合わないとし、加えて統計的な有効性の頑健性不足・効果発現の遅さ(1.5〜3週間)も理由に挙げて承認を拒否した1。同じクラス・同じ懸念事項(QT延長)でも、有効性データの強さ次第で判断が変わることを示す好例である。

機序

D2・の遮断によるの軽減というは他の非定型薬と共通するが、イロペリドンは・ノルアドレナリンα1受容体への親和性も高い2。α1遮断作用が強いため、を避ける目的で緩徐な漸増(1週間かけて1日2回換算で1→2→4→6→8→10→12mg)が必須になっている点が他の非定型薬との実務上の違いである。

💡 「漸増が必要な薬=すぐには効かない薬」という弱点が表裏一体になっている。 の審査でも、この緩徐な漸増レジメンに起因する効果発現までの1.5〜3週間の遅さが、急性期治療薬として不利な材料の一つに数えられた1。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 ・の両方で代謝される
半減期 迅速代謝者:未変化体約18時間・P88約26時間・P95約23時間。ではいずれも延長(未変化体約33時間)2
相互作用の主因 阻害薬(など)・阻害薬(・など)併用で血中濃度上昇

適応・用法・用量

適応(米国のみ):の急性期治療。では・いずれも未承認1。

漸増スケジュール:1回1mgを1日2回から開始し、1日ごとに2mg→4mg→6mg→8mg→10mg→12mg(いずれも1日2回換算)へ増量する。は1回6〜12mgを1日2回2。や強い・阻害薬併用時は最大用量を半量に制限する。実際の用量は年齢・肝腎機能・併用薬で変わるため施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への過敏症、または不整脈の既往2
  • ⚠️ :ので死亡リスク増加。 イロペリドンはには承認されていない2
  • ⚠️ 他のQT延長薬との併用を避ける。 など阻害薬、・など阻害薬はイロペリドンの血中濃度を上げQT延長リスクを高める2
  • 投与開始前に・電解質(K・Mg)を確認する
  • を避けるため、規定の漸増スケジュールを守る

副作用

頻度 内容
高頻度 、傾眠、めまい
注意 体重増加(非定型薬の中では比較的軽度)、鼻閉
重篤・まれ QT延長、、

まとめ

  • と並ぶQT延長リスクの高い。D2・5-HT2A遮断に加えD3・α1受容体への親和性も高い。
  • α1遮断によるを避けるため、1週間かけた緩徐な漸増が必須で、効果発現までに1.5〜3週間かかる。
  • ・の両方で代謝され、どちらかの阻害薬併用やでは血中濃度が上昇しQT延長リスクが増す。
  • 米国では2009年に承認され現在もされる一方、では2013年・2017年・2026年と3度にわたり承認が拒否・撤回され未承認のまま——同じ「QT延長リスク」を理由にしつつ、有効性データの評価が地域で分かれた例。
  • のでは死亡リスク増加のがあり、この適応には承認されていない。

出典

  1. 1.Iloperidone Vanda Pharmaceuticals — European public assessment report (refused)(European Medicines Agency・2026)CHMPが2026年2月26日にイロペリドンの販売承認を拒否する意見を出し欧州委員会が2026年6月12日付で正式に拒否したこと、理由が「顕著なQT延長を伴う」心毒性がベネフィットに見合わないことに加え統合失調症試験での統計的な有効性の頑健性不足・効果発現までの遅さ(1.5〜3週間)・双極性障害での4週間を超える長期データの不足・致死的不整脈に対する実行可能なリスク管理策の欠如であったこと、Vanda社が2026年5月2日付で再審査請求の意思を撤回し拒否が確定したことを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.FANAPT (iloperidone) tablets — full prescribing information(Vanda Pharmaceuticals Inc. / U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載、2026年5月改訂)・2026)イロペリドンが5-HT2A・D2・D3・ノルアドレナリンα1受容体に高い親和性を持つ非定型抗精神病薬でD2および5-HT2拮抗作用の組み合わせが有効性の主体と考えられていること、枠組み警告が認知症関連精神病の高齢患者における死亡リスク増加でありイロペリドンは認知症関連精神病には未承認であること、禁忌が本剤成分への過敏症・先天性QT延長症候群または不整脈の既往であり他のQT延長薬との併用は避けるべきとされていること、統合失調症の用量は1回1mgを1日2回から開始し1日ごとに2→4→6→8→10→12mg(1日2回換算)へ漸増し維持量は1回6〜12mgを1日2回であること、CYP2D6迅速代謝者での半減期が未変化体約18時間・代謝物P88約26時間・P95約23時間であることを確認した閲覧 2026-09-16