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Drug Atlas · A18 Antipsychotics / 抗精神病薬

ゾテピン

zotepine

分類
Antipsychotics / 抗精神病薬
商品名(日本)
ロドピン
科目
Pharmacology
トピック
A18: Antipsychotics
承認適応
統合失調症
副作用
便秘
原因となる疾患
慢性巨大結腸症

🧠 全体像:ゾテピンは日本で古くから使われてきた抗精神病薬で、D2・5-HT2A拮抗という非定型薬の基本骨格に加え、ノルアドレナリンという他の抗精神病薬にあまり見られない性質を併せ持つため多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)に分類されることがある。臨床像としては鎮静・体重増加といった多型の副作用に加え、の低下と強いによるという2点が実務上の注意点として際立つ。

位置づけ

分類 特徴
MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)に分類されることがある ・と同様、単一の受容体ではなく複数の受容体への作用を併せ持つ
日本での位置づけ に対し1980年代から使われてきた抗精神病薬で、非定型薬に近いを持つが収載上は定型・非定型の中間的な扱いを受けることがある

⭐ ゾテピンを特徴づけるのは、ノルゾテピンの強いノルアドレナリン作用である。 ノルゾテピンはゾテピン自体より7〜16倍強力にノルアドレナリン再取り込みを阻害し、抗うつ薬様の作用をで示す1。この性質は、の強い抗精神病薬でありながらにも効きうるという臨床像の理論的根拠になる。

機序

flowchart TD
    A["ゾテピンが複数受容体に結合"] --> B["D2受容体遮断"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT2A receptor'>5-HT2A受容体</span>遮断"]
    A --> D["カテコールアミン神経終末部への取り込み抑制"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positive symptoms'>陽性症状</span>の軽減"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic metabolism (liver metabolism)'>肝代謝</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>ノルゾテピンへ"]
    F --> G["ノルアドレナリン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reuptake inhibition'>再取り込み阻害</span>(ゾテピン自体の7〜16倍)"]
    G --> H["抗うつ薬様の作用に寄与しうる"]
    A --> I["強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticholinergic effects'>抗コリン作用</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='receptor profile'>受容体プロファイル</span>の一部)"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GI motility'>消化管運動</span>の抑制"]
    J --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal paralysis'>腸管麻痺</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Paralytic ileus'>麻痺性イレウス</span>へ進行しうる"]

薬効薬理としては、作用・遮断作用に加え、カテコールアミン神経終末部への取り込み抑制作用を持つことが添付文書にも明記されている2。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 後、血清中濃度は投与1〜4時間後にピークへ達する
代謝 主なはCYP3A4。ノルゾテピンへ変換される
排泄 未変化体としてのはごくわずか(投与量の0.03〜0.07%)。大部分が代謝物として排泄される
単回投与時で約8時間
定常状態 では投与開始1週間以内に定常状態へ達すると考えられる

(いずれも添付文書のの節による2)

適応

用法・用量

通常成人には1日75〜150mgを分割してすることから開始し、年齢・症状により1日450mgまで増量できる2。実際の用量は年齢・体重・肝機能・他の抗精神病薬からの切り替えかどうかで大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:昏睡状態・状態の患者、剤の強い影響下にある患者、アドレナリン投与中の患者(アナフィラキシーの治療等を除く)、本剤の成分または系化合物に対し過敏症の既往のある患者2
  • ⚠️ を低下させることがある。 てんかんの既往がある患者や、を下げる他の薬剤との併用では特に注意する2
  • ⚠️ による・。 ・・著しい便秘・腹部の膨満あるいは弛緩および物のうっ滞といったの徴候を経てへ進行することがある2

副作用

頻度・分類 内容
消化器 便秘、、悪心・嘔吐。進行すると・に至りうる
重篤・要注意 、心電図異常、、、、肺塞栓症、、、2
その他 多に伴う鎮静、体重増加などの

⭐ 抗精神病薬誘発性のリスクは、ゾテピンで最も高いという薬剤疫学的知見がある。 日本の医薬品副作用データベース(JADER)を用いた不均衡分析(2004〜2024年、患者)では、抗精神病薬誘発性の慢性症のが13種類の抗精神病薬中でゾテピンがであり、スルピリド(ROR 4.53)・(ROR 4.34)がこれに続いた3。添付文書に記載された・への注意(上記)と整合する知見であり、便秘を「よくある副作用」として軽視せず、進行した場合の重篤な転帰を意識する必要がある。

まとめ

  • D2・5-HT2A拮抗という非定型薬の基本骨格に、カテコールアミン神経終末部への取り込み抑制作用を併せ持ち、MARTAに分類されることがある。
  • ノルゾテピンはゾテピン自体より7〜16倍強力なノルアドレナリン作用を持ち、への理論的な効果の根拠になる。
  • 添付文書上、の低下と、による・への進行が重要な基本的注意として明記されている。
  • 抗精神病薬誘発性のはJADER分析で13剤中最大(ROR 7.25)であり、抗精神病薬による便秘の中でも特に注意を要する。
  • 主なは、は約8時間。

出典

  1. 1.Norzotepine, a major metabolite of zotepine, exerts atypical antipsychotic-like and antidepressant-like actions through its potent inhibition of norepinephrine reuptake(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(Shobo M, Kondo Y, Yamada H, et al.)・2010)ゾテピンの主要代謝物であるノルゾテピンが、ゾテピン自体よりも7〜16倍強力なノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害作用を持ち、この作用を介して非定型抗精神病薬様および抗うつ薬様の行動作用を示すことをげっ歯類モデルで確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.ロドピン錠25mg/ロドピン錠50mg/ロドピン錠100mg/ロドピン細粒10%/ロドピン細粒50% 添付文書(LTLファーマ・2025)効能・効果が統合失調症であること、用法・用量が通常成人1日75〜150mgを分割経口投与から開始し年齢・症状により1日450mgまで増量できること、禁忌が昏睡状態・循環虚脱状態、中枢神経抑制剤の強い影響下にある場合、アドレナリン投与中(アナフィラキシー治療等を除く)、本剤の成分またはフェノチアジン系化合物に対し過敏症の既往のある患者であること、重要な基本的注意として痙攣閾値を低下させることがあること、食欲不振・悪心嘔吐・著しい便秘・腹部の膨満あるいは弛緩および腸内容物のうっ滞等の腸管麻痺を来し麻痺性イレウスに移行することがあること、重大な副作用として悪性症候群・心電図異常・麻痺性イレウス・痙攣発作・無顆粒球症・白血球減少・肺塞栓症・深部静脈血栓症・遅発性ジスキネジア・SIADHが記載されていること、薬効薬理としてドパミン受容体遮断作用・セロトニン受容体遮断作用・カテコールアミン神経終末部への取り込み抑制作用を持つこと、単回経口投与時の消失半減期が約8時間であり主な代謝酵素がCYP3A4であることを確認した(2025年4月改訂・第5版)。閲覧 2026-09-08
  3. 3.Drug-induced megacolon in schizophrenia: a pharmacovigilance study of antipsychotic medications from the Japanese Adverse Drug Event database: a disproportionality analysis(Expert Opinion on Drug Safety・2024)2004年4月〜2024年4月の日本の医薬品副作用データベース(JADER)を用いた不均衡分析で、統合失調症患者における抗精神病薬誘発性巨大結腸の報告が72件同定され、13種類の抗精神病薬に報告があったが統計的に有意な信号を示したのはゾテピン(ROR 7.25)・スルピリド(ROR 4.53)・クエチアピン(ROR 4.34)の3剤であったこと、女性でより多く報告されたことを確認した閲覧 2026-09-08