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Drug Atlas · B17 Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン · 必修

ブロモクリプチン

bromocriptine

分類
Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン
商品名(日本)
パーロデル
商品名(EU)
Parlodel
科目
Pharmacology
トピック
B17: Thyroid and antithyroid drugs. Pituitary hormones. Hypothalamic hormones, hormonanalogs and antagonists
禁忌疾患
妊娠高血圧腎症・子癇・HELLP症候群統合失調症
副作用
悪心頭痛めまい低血圧
相互作用
メトクロプラミド
対象疾患
悪性症候群高プロラクチン血症先端巨大症・プロラクチノーマ(下垂体腺腫)
原因となる疾患
後腹膜線維症心臓弁膜症

🧠 全体像:は由来の作動薬で、のをドパミンで生理的に抑えているという仕組みをそのまま薬にした薬である。プロラクチンは視床下部からの抑制(ドパミン)が外れると増える「唯一、抑制系が主役のホルモン」であり、この構造のおかげではの中で多くの例で薬物療法が手術より優先されるという例外的な位置づけを持つ(ただし境界明瞭な小さい腺腫では手術も第一選択肢になる。下の適応表を参照)。ただし現在の実地臨床では、同じでも・効果に優れる系薬剤が第一選択になっており、は妊娠を希望・計画する患者など、豊富な安全性データが求められる場面でに重視されてきた薬という位置づけに変わってきている。

薬効群の中での位置づけ

軸 代表薬 機序 位置づけ
GH軸 ↔ GH補充 ↔ でGH抑制 作動・拮抗のペア
プロラクチン軸 D2作動→ ドパミンが生理的に抑制している唯一のホルモン軸
軸 合成類似体 診断()用途
ホルモン軸 ・オキシトシン ↔ V2作動/OXT作動 ↔ OXT拮抗 補充・作動と拮抗のペア

⭐ プロラクチンだけが「抑制系(ドパミン)が外れると増える」ホルモンである点が最大の学習ポイント。 GH・など他の前葉ホルモンは視床下部の刺激ホルモンで「増やす」方向に調節されるのに対し、プロラクチンはドパミンで常時ブレーキがかかっており、D2作動薬を投与すること自体がそのまま治療になる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bromocriptine'>ブロモクリプチン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactotroph'>乳汁分泌細胞</span>のD2受容体に結合"] --> B["Gi蛋白を介して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>を阻害"]
    B --> C["cAMP↓"]
    C --> D["プロラクチン遺伝子の転写・分泌が低下"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactotroph'>乳汁分泌細胞</span>の増殖も抑制"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum prolactin'>血中プロラクチン</span>濃度の低下"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Prolactinoma'>プロラクチノーマ</span>の腫瘍縮小<br>(機能面と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor burden'>腫瘍量</span>の両方に効く)"]

💡 プロラクチンを下げるだけでなく腫瘍そのものを縮小させる点が、この薬の臨床的価値を高めている。 通常、の薬物療法はの症状を抑えるだけで腫瘍サイズには介入できないことが多いが、はのそのものを抑えるため、腫瘍縮小効果を併せ持つ数少ない例である。

薬物動態

項目 値・特徴
低い(約6〜10%程度)。が大きい
代謝 主にによる
半減期 比較的短く、1日2〜3回のを要する
排泄 主に胆汁排泄

⭐ 半減期の短さが、より長時間作用型の系薬剤(週1〜2回投与)に第一選択の座を譲った実務上の理由の一つになっている。 は服薬回数が多く副作用も出やすいため、の面で不利になりやすい。

適応

領域 使いどころ
・ による薬物療法が第一選択。ただし2023年の Pituitary Society 国際合意は、Knosp grade 0〜1 の腺腫では手術も薬物療法と並ぶ第一選択肢として検討すべきとし(strong)、・抵抗性例に限っていない1。豊富な使用実績から妊娠を希望・計画する患者での位置づけがに重視される
GH・プロラクチンを共分泌する腺腫でが効きやすく、への追加として使われることがある
Parkinson病 として使用されてきたが、線維化性副作用の懸念から薬(等)が優先される傾向にある
歴史的にはの生理的抑制に使われたが、脳卒中・心筋梗塞・痙攣などの重篤な心血管イベント報告により、現在はこの適応での使用は推奨されない

用法・用量

低用量(例:就寝前1.25 mg程度)から開始し、悪心・などのを見ながら緩徐に漸増する。は1日2.5〜15 mgをすることが多い。妊娠が判明した時点で、多くの患者ではを中止するが、視交叉に近接するなどでは産科・で継続や再開を個別に検討する。実際の用量は適応・・腫瘍の大きさで大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心・嘔吐、頭痛
注意 めまい、低血圧(起立性)、鼻閉、便秘
重篤・まれ の増悪、初回投与時の高度低血圧・失神、長期高用量使用での線維化性合併症(等)

まとめ

  • 由来のD2受容体作動薬。ドパミンが生理的に抑制しているプロラクチン分泌を、その仕組みごと利用して抑える。
  • はの中で例外的に、薬物療法()が第一選択となる腫瘍で、プロラクチン低下と腫瘍縮小の両方に効く。ただし Knosp grade 0〜1 の腺腫では手術も第一選択肢として検討する(Pituitary Society 2023)。
  • が低く半減期も短いため1日複数回投与を要し、・服薬回数の面で長時間作用型の系薬剤に第一選択の座を譲っている。
  • 妊娠を希望・計画する患者では豊富な安全性データからに重視される。
  • 禁忌は・子癇・症候群となどの。
  • ドパミンD2拮抗薬(など)とは薬理学的に正反対で併用すると効果がされる。
  • の目的の使用は重篤な心血管イベントのリスクから現在は推奨されない。

出典

  1. 1.Diagnosis and management of prolactin-secreting pituitary adenomas: a Pituitary Society international Consensus Statement(Pituitary Society / Nature Reviews Endocrinology・2023)全文(Wayback 20251223060818 保存の出版社HTML)で確認した。微小腺腫と境界明瞭な大腺腫(Knosp grade 0〜1)では、熟練した下垂体外科医による手術をドパミン作動薬と並ぶ第一選択肢として検討すべきとし(strong)、外科的寛解の見込みが低い例(Knosp grade 2以上)では薬物療法が望ましい第一選択とする(strong)。急速に進む視力障害・下垂体卒中では手術を薬物療法より勧めうること、長期のドパミン作動薬に不耐容・抵抗性の患者には手術を提示しうること(いずれも weak)閲覧 2026-09-24