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Drug Atlas · B17 Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン · 必修

デスモプレシン

desmopressin

分類
Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン
商品名(日本)
ミニリンメルト
商品名(EU)
Minirin
科目
Pharmacology
トピック
B17: Thyroid and antithyroid drugs. Pituitary hormones. Hypothalamic hormones, hormonanalogs and antagonists
副作用
頭痛悪心
対象疾患
フォン・ヴィレブランド病異常子宮出血(機能性子宮出血)下垂体機能低下症血友病A・B浸透圧性脱髄症候群尿崩症

🧠 全体像は天然のし、V1受容体(血管収縮)への親和性をほぼ捨ててだけに選択的に効くようにした合成アナログである。この選択性のおかげでを伴わずに腎のだけを強められるための治療に向く一方、は腎だけでなくにも存在し、そこを刺激すると内皮から(vWF)と第VIII因子が放出される。の薬」と「軽症の血友病A・の薬」という一見な2つの適応が、同じという1つの分子でつながっているのがこの薬の学習上の核心である。

薬効群の中での位置づけ

代表薬 機序 位置づけ
GH軸 GH補充 ↔ でGH抑制 作動・拮抗のペア
プロラクチン軸 D2作動→プロラクチン抑制 ドパミンが生理的に抑制
ACTH軸 合成 診断用途
V2選択的作動 天然AVPと異なりV1作用がほぼなく昇圧しない
オキシトシン OXT作動 ↔ OXT拮抗 作動・拮抗のペア

ホルモン系だけで「V2選択的作動薬()」と「OXT作動・拮抗のペア(オキシトシン↔)」の2系統が並ぶ。 どちらもから分泌される9アミノ酸の類似・拮抗薬という共通点を持つ。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='desmopressin'>デスモプレシン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal collecting duct'>腎集合管</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='basolateral membrane'>基底側膜</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='V2 receptor'>V2受容体</span>に結合"] --> B["Gs→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>活性化"]
    B --> C["cAMP↑→PKA活性化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aquaporin-2 (AQP2)'>アクアポリン2</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luminal (apical) membrane'>管腔側膜</span>へ挿入"]
    D --> E["水の再吸収が増加→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oliguria'>尿量減少</span>・尿浸透圧上昇"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular endothelial cell'>血管内皮細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='V2 receptor'>V2受容体</span>にも結合"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Weibel-Palade body'>Weibel-Palade小体</span>から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='von Willebrand factor (vWF)'>von Willebrand因子</span>・<br>第VIII因子が放出"]
    G --> H["血漿中の第VIII因子活性・vWF活性が上昇"]

💡 天然のはV1受容体を介した血管収縮作用も持つが、はこれをほぼ失っている。 そのためとして使われることはなく、専ら「水を保持する」「vWF/第VIII因子を動員する」という2つのV2依存作用のために使われる。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 点鼻、経口(を含む)、注射(IV/SC)と用途に応じて使い分ける
非常に低い(1%未満)。そのため経口製剤は点鼻・注射に比べて高用量を要する
効果の 剤形により6〜20時間程度
代謝 天然AVPよりに分解されにくく修飾されており、が長い

適応

領域 使いどころ
第一選択。点鼻・経口いずれの剤形でも使用できる
小児の一次性に対する薬物療法
軽症血友病A 出血時・小手技前に第VIII因子を一時的に上昇させる。事前に反応性を確認する「DDAVP challenge test」を行う
反応が確認された1型と一部の2型で、軽度の出血・小手技に対応する。2B型・3型には用いない(2B型では血小板減少を悪化させ、3型ではvWFの内因性貯蔵がなく無効)
AVP軸()の欠乏を補う

用法・用量

:点鼻は1日1〜3回、少量から開始し尿量・症状で調整する。経口は点鼻より高用量を要し、同様に1日2〜3回に分けて開始し個別に調整する。自由に飲水できる患者ではによるを避けるため必要最小量を目指す。血友病A・:出血時・小手技前にIV/SCで単回投与し(目安0.3 μg/kg)、事前にDDAVP challenge testで反応性を確認しておく。頻回投与では反応性が低下する()ため大手術・重症出血には用いない。実際の用量は適応・剤形・年齢・腎機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌2B型(血小板減少を悪化させる)
  • ⚠️ に最大限注意する。 自由に飲水できる患者では必要最小量にとどめ、定期的に血清Na・尿量・体重をモニタリングする。特に高齢者・乳幼児・飲水量の調整が難しい患者、周術期・意識障害を伴う患者ではリスクが高い
  • 心血管疾患・けいれんリスクのある患者ではのリスクを踏まえ慎重投与
  • 頻回投与ではvWF/第VIII因子上昇効果に(反応性低下)が生じる
  • NSAIDsなど作用を増強しうる薬剤との併用ではのリスクがさらに高まる

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛、点鼻製剤での鼻刺激感
注意 悪心
重篤・まれ による(重症例ではけいれん)、頻回・高用量使用時の血栓性イベント(まれ)

まとめ

  • 天然選択的に改変した合成アナログ。V1作用(血管収縮)をほぼ持たないため昇圧しない。
  • を介してを挿入しを増やす()。
  • 血管内皮のも刺激し、vWF・第VIII因子をから放出させる(軽症血友病A・1型)。
  • 2B型には禁忌(血小板減少悪化)、3型には無効(内因性貯蔵がない)。
  • が1%未満と極端に低く、剤形により用量が大きく異なる。
  • 最大の注意点は。自由飲水患者では必要最小量とNaモニタリングを徹底する。
  • 頻回投与ではvWF/第VIII因子上昇効果にが生じ、大手術・重症出血には向かない。