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Drug Atlas · B17 Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン · 必修

ソマトロピン

somatropin

分類
Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン
商品名(日本)
ジェノトロピンノルディトロピン
商品名(EU)
GenotropinNorditropin
科目
Pharmacology
トピック
B17: Thyroid and antithyroid drugs. Pituitary hormones. Hypothalamic hormones, hormonanalogs and antagonists
副作用
頭痛乳頭浮腫末梢浮腫
影響検査値
血糖
対象疾患
Noonan症候群ターナー症候群プラダー・ウィリー症候群下垂体機能低下症骨形成不全症視隔膜異形成症成長ホルモン分泌不全性低身長症

🧠 全体像(rhGH)そのもので、下垂体からのGH分泌が不足している状態をそのまま補充する薬である。GHの作用の大部分は肝臓で産生されるIGF-1を介して発揮されるため、治療のモニタリングは症状ではなくIGF-1というで行うのが実務上の要点になる。適応はという「狭義のGH欠乏」だけでなく、のようにGH分泌自体は正常でも身長・体組成の改善を目的に使う疾患にも広がっている点が学習上のになる。

薬効群の中での位置づけ

代表薬 機序 位置づけ
GH軸 組換えGH補充でGH抑制 作動・拮抗のペア。本群で唯一「補充と抑制」が対になっている軸
プロラクチン軸 D2作動→プロラクチン抑制 ドパミンが生理的に抑制
ACTH軸 合成 診断用途
ホルモン軸 オキシトシン V2作動/OXT作動 ↔ OXT拮抗 補充・作動と拮抗

は、同じGH軸を「増やす」「減らす」で挟み込むペアとして頻出する。 はGH欠乏(・GHD)に、はGH過剰()に使うという表裏の関係にある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='somatropin'>ソマトロピン</span>(組換えGH)を皮下注射"] --> B["肝臓・軟骨などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='growth hormone receptor, GHR'>GH受容体</span>(GHR)に結合し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dimerization'>二量体化</span>"]
    B --> C["JAK2が活性化"]
    C --> D["STAT5がリン酸化され核内へ移行"]
    D --> E["IGF-1遺伝子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcriptional activation'>転写促進</span>(主に肝臓)"]
    E --> F["血中IGF-1上昇"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='growth plate'>成長板</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chondrocyte proliferation'>軟骨細胞増殖</span>促進→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='linear growth'>線状成長</span>"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anabolic'>蛋白同化</span>・筋量増加"]
    B --> I["GH自体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct action'>直接作用</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipolysis'>脂肪分解</span>促進、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='insulin-antagonizing effect'>インスリン拮抗作用</span>(血糖上昇方向)"]

💡 GHの作用のほとんどはIGF-1という「者」を介して発揮される。 そのため治療のモニタリングは血中IGF-1濃度を年齢・性別内に収めることが中心になり、の推移がこれを裏付ける。

薬物動態

皮下注射で投与する(ペプチドのためでは消化管で分解され無効)。通常は連日皮下注射で、就寝前後の投与により生理的な夜間GH分泌のピークを模倣する。IGF-1値・を定期的に評価しながら用量を調整する。

適応

領域 使いどころ
(MPHD)のいずれも適応
成人GH欠乏症 等)で確認した重症例に、QOL低下などの症状を伴う場合に開始
GH軸の補充として、他軸(副腎・甲状腺・性腺)の補充と並行して管理
GH分泌自体は正常でも、があれば早ければ2歳から開始できる
身長だけでなく・筋緊張・運動発達の改善も目的に、診断確定後早期から開始が推奨される
その他 に伴う、SGA(在胎不当過小児)性など

用法・用量

小児GH欠乏症では体重あたり1週間0.16〜0.24 mg/kg(1日あたり約22〜35 μg/kg)を目安に連日皮下注射でし、思春期にはより高用量を要することがある。では開始用量の目安として45〜50 μg/kg/日、反応が不十分なら最大68 μg/kg/日まで増量する。成人GH欠乏症では小児期よりはるかに少ない用量から開始し漸増する。またはの顕著な低下をもって小児期治療は終了とする。実際の用量は病型・年齢・体重・で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 活動性の悪性腫瘍がある場合は投与しない。 GHの増殖促進作用により腫瘍進行を助長しうるため、治療後に開始する場合はおおむね12か月の経過観察で再発がないことを確認したうえで開始し、長期的な腫瘍学的を継続する
  • ⚠️ では治療開始前に必ず)を評価する。 重度の未治療OSA・呼吸器感染・高度肥満が重なった状況での突然死が報告されており、治療開始前の的評価が必須で、開始後3〜6か月以内に再評価する
  • 後の投与はに寄与しないため、成人での継続は真の成人GH欠乏症が確認された場合に限る
  • 糖尿病・のリスクが高い患者では、GHのによる血糖上昇に注意し血糖・を確認する
  • MPHDでは、GH自体が末梢での甲状腺ホルモン変換・コルチゾール代謝に影響し、それまで代償されていたを顕在化させることがある。副腎系を優先して補充してからGH・甲状腺ホルモンを進める
  • 頭蓋内圧亢進(頭痛・視力変化)、(股関節・膝の痛み、)、の進行に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 注射部位反応、軽度の頭痛
注意 、関節痛、インスリン抵抗性・血糖上昇
重篤・まれ 頭蓋内圧亢進()、の進行、での突然死(未治療OSA合併時)

まとめ

  • 組換えヒトGHそのもの。→JAK2/STAT5経路を介してIGF-1産生を促し、を進める。
  • モニタリングは症状ではなくIGF-1濃度・で行う。
  • 適応はGH欠乏症だけでなく、GH分泌が正常なにも広がる。
  • では開始前の睡眠時無呼吸評価が必須(未治療OSAでの突然死報告)。
  • には投与しない。治療後は一定期間の経過観察を要する。
  • GHのにより血糖が上昇しうる。
  • 後は継続する生理学的根拠がなく、成人では真のGH欠乏症のみ低用量で再開する。